プロローグ2
プロローグその2です。よろしくお願いします。
色々あったが、大きくなった。
いや本当に色々あった……
認めたくない現実をなんとか受け止めて、開き直ってカマキリとして生きる決意をした。そこから俺のカマキリとしての人生?が始まった。
アリに遭遇、戦って仕留めた所までは良かった。食べようとしたが文字通り歯が立たず、勝ったのに歯が立たないやないかい!
と1人で突っ込んだ。笑えなかった。
初めての脱皮はそれはもう苦労した。うまく脱皮できず、このまま剥けないんじゃないかと思ったぐらい。
もぞもぞ動いたら少しづつ剥けてきて、なんとか脱皮できた。
いつものように獲物を探していたら、空が急に暗くなった。何気なく上を見上げたら鳥が凄い勢いで降ってきて、本気で死を覚悟した。
近くにあった窪みに咄嗟に逃げ込んだけど、窪みが無かったら間違いなく捕まってたね。生きてるって素晴らしい。生を感じたね。
生きるために沢山の虫と戦った。俺は賢いカマキリだからな。下手に格上の存在に戦うことは絶対にしない。
ひたすら擬態して、気配を消して獲物を狩る。それを繰り返して繰り返して俺は大きくなった。強くなったし、その辺の虫に敵がいなくなった。
そんなある日、今日も獲物が来ないかなーと擬態してると、同種と思われるカマキリがこっそり近寄ってきた。
多分オス。なんで分かるかって?勘。多分だよ。
え、ちょっ、え、なに?こっち近寄ってくる。
喧嘩売ってるの??やるってんならやってやんよ。え、なんで後ろに回り込もうとすんの?
とりあえず威嚇。がおー!
おぉ、逃げてった。なんだったんだ全く。
なんだか交尾を迫られるメスの気分だったわ。
ん?あれ?俺性別どっち???もしかしてもしかすると、メス??
いやいやそんな訳ない。え?なんかそうな気がする。うそ、本当に?気づかなかった。てっきりオスなもんだと思ってたわ。
まあ性別なんでいいや。生きれれば。
生きれればいい。そう思っていた。
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そろそろ狩場をかえようかな。
この辺りを転々と狩場にしてたんだが、最近この辺に来る虫が少なくなった気がする。
全く居ないって訳じゃないけどさ。
少し遠出しよう。何か新たな発見があるかもしれない。いざゆかん!
………………ちょっと遠くまで来すぎた気がする。
なかなかいい狩場がない。ひたすら進んでしまった。そろそろ戻るか?でもなぁ。ここまで進んできたし。
…もうちょっとだけ、ちょっとだけ進もう。
草を掻き分けてる時はできるだけ小さく。葉が揺れると場所がバレる。慎重にっと。
ん?
これは、あー、まじか。あーーー。
アスファルトだ
おいおいおいおい、まじか。人間の生活圏か。俺のいた所は公園かなにかか?それか緑豊かな田舎とか?
やべっ!
人間!!人間おった!潰されたら死、俺は草になりきる。俺は草だ。その辺に生えてる雑草だ。これまでの出世術なのだ。
……よし、通り過ぎたぞ。ふぅ。
でかいな。人間。こんなでかいんだ人間、いやーでかいな。俺こんな小さいんだな。
語彙力を失ったわ。
お。家に入っていった。
この人間はこの一軒家に住んでるのか。周りに家は……ないな。やっぱり田舎なのかな?こんなだだっ広い自然のそばだし。周りに他の家は見えないし。
それに何だこの人間、暗い顔してんなー。なんて顔だ。仕事かなんか分かんないけど、おつかれさん。
俺は狩りをがんばるよ。全然良い狩場無さそうだから帰るけどな。じゃーな。お互いがんばろーぜ。
――――――――――――――――――――――――
……また来てしまった。じゃーなとか言ったけど。
なーんか気になって見に来ちゃう。
あの人間に興味が湧いてしまった。
少し顔色がいい時もあれば、こいつ死ぬんじゃないかってくらい暗い時もある。
なんだかカマキリさん心配になってきたよ。今日はどんな顔をしてるだろうか。
時計なんて近くにないから、俺の体感時間だとそろそろ帰ってくると思うんだけど。
お、帰ってきた、けども。だいぶ疲れてるな。
今日は酷いな。顔色最悪。フラフラしてるし、ちゃんと真っ直ぐ歩けてないじゃないか。
もう少しで家だ。がんばれ。
おい。
おい!
おいっ!!!!!
車!!!!
来てるぞ!!おい!!!
クソっっ!なにやってんだ!車のスピードは落ちない運転手は見えてないのか!?
気づけ!轢かれるぞ!
クソッタレ!!!足元に行けば、俺を見れば気づくか??
クソッ!!!!!
気づけ!俺を見ろ!足元にいる俺に気づけ!いっつも下向いて歩いてるんだから気が付くだろ!!
「うわっ、びっくりした、カマキリだ。」
人間はびっくりして後ろに一歩下がった。そのまま前を、見、ろ、あ。
目の前に迫る車。脳裏によぎるデジャブ。
ああ。
俺は、なにしてるんだろう。
ドンっ!!!!!!!!!!!!!!!!
プロローグはこれで終わりです。
次回!またカマキリですか?
お楽しみに!
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