第1話・出会い
この小説は801(BL)的な内容になっております。801の意味が分からない方。苦手な方は、逃げることをオススメします。おKだという方だけどうぞ!
いつもとかわらぬ蒸し暑い日だった。
いつもと同じ青々とした空。
いつもと同じ真っ白な入道雲。
いつもと同じ蝉の鳴き声。
ただ違ったのは…
クモの巣にかかった蝶を見つけたことだった。
〜僕は蝉、君は蝶〜
真っ黒な蝶、カラスアゲハがクモの巣にかかり羽根を必死にばたつかせ、そこから逃れようとしていた。
幸な事にこの巣にはクモは住んでおらず、クモのご飯になることはなかった。
ばたばたと暴れる蝶を僕、白弖 透はじっと見つめていた。
散歩している最中にたまたまこの蝶を見つけたのだ。
僕はアゲハに手をのばし、そっとクモの巣からはがしてやった。アゲハはクモの巣で羽根がベタつくようで、羽根が上手く開かなかった。
僕は、そのアゲハの羽根を痛めないようきおつけながらクモの巣をとってやった。
羽根は、スムーズに動くようになったが、アゲハは一向に飛ぼうとせず、なんだか僕をじっと見ているように見えた。
「大丈夫。君は飛べるよ。」
アゲハはが、一度頷いたようにみえた。
「わかったね?ほら、飛んで!」
僕はアゲハが乗っている手を空に高く掲げた。
すると、アゲハはひらひらと羽根を羽ばたかせ飛んで行った。
「バイバイ。」
僕は軽く手を振った。
アゲハはもうあんなに小さく見える。
元気なアゲハを見て。安心した僕は、軽くため息をはいた。
「透ーー!!」
しばらく、その場でぼーっとしていると後ろの方から母親の声が聞こえてきた。
ヤバ!今日病院行く日だったけ?
「はーい!今行く!!」
僕はそう言うと、母親が乗っている車まで走りだした。
走っている途中、僕はふと足を止め、アゲハの飛んで行った方を見た。
「また…会える気がするよ…それまで、バイバイ。」
僕はそう静かにつぶやき、また走りだした。