捕捉される女
短いです。
「絶対に逃がさない」
決めた。紫蘭を伴侶にする。
いや、確かにこのままいけば彼女が伴侶なんだけど、紫蘭本人が逃げたがっているし、万が一、破談になったら困る。
会いに来るほど大蛇が好きな女が他にいるわけない。紫蘭なら、大蛇に抵抗はないことがわかっているから尚更だ。
だが、どうすればいい?
緑華の場合と逆で、紫蘭は大蛇は好きだけど、俺を好きなわけじゃない。どちらかというと嫌われている。
このパターンは考えたことなかったな
別の日の定例の茶席で、俺は探りを入れることにした。
「紫蘭、青い大蛇は見たか? 」
「ええ、お会いしましたわ」
まるで大蛇が人のような物言いだな、気に入った
「あの蛇は大きいだろう? 怖くはないか? 」
「いいえ。大きいからといって危険とは限りませんわ。美しい蛇でしたし」
「あの蛇が気に入ったのか? 」
「そうですわね。優しい蛇ですもの」
俺が美しい? 優しい?
彼女に蛇の姿を誉められて、とても嬉しくて堪らない。
少しにやけてしまったらしい。不審げな紫蘭が思い出したかのように聞いてくる。
「そういえば、あの大蛇はどなたの蛇ですの? 」
「ああ、あれは俺の蛇だ」
本当は俺だけどな
「まあ、そうでしたの。蛇がお好きなのは女性皇族の方ばかりと思っておりました」
「そういうわけでもない。だが青い大蛇以外にはあまり触らない方がいい。蛇の主が機嫌を悪くする」
嫁姑、小姑問題は避けたいしな
「そうですわね」
「青い大蛇なら、いくら触っても構わない。
好きにするがいい。好きに会いに行け」
「ありがとうございます、嬉しいですわ」
「いつでも会えるというわけではないだろうがな。
そうだ、あの蛇に会いにいく時は、必ず事前に俺か、俺の側近に言え」
「なぜですの? 」
「いいから、絶対だ」
「? わかりました」
「それと、あの蛇と一緒なら、どこでも、いつでも、いて構わない。俺の許可も不要だ」
「どこでも? 殿下の執務室でも? 」
「ああ、執務室でもだ」
「よくわかりませんが承知しました」
先に、蛇の姿の俺から離れられないようにしてやろう
今日の会話は、すべて青い大蛇絡みだったが、いつもより話せたし紫蘭に表情があった。おまけに微笑んでもくれた。
可愛かったな
彼女と相愛になれたなら、どんなにいいだろう
その晩、俺は家族を集めて協力を頼んだ。
俺に紫蘭が落ちるまで秘事を話さないことも。
お読みいただき、ありがとうございます。
【緑華】
第4皇子 碧色の蛇になる
蒼亜のアシストもあり相愛の伴侶を得た。
【前皇帝陛下】
数年前に他界。蒼亜達の祖父
白い大蛇に変わる人だった。
紫蘭が森で迷った時、大蛇の嗅覚と熱感知で
紫蘭を見つけ無事辺境伯に届けた。
【現皇帝陛下】
銀色の蛇になる
皇帝としては○
父としては子煩悩で親馬鹿
妻を愛でるのが趣味
【第1皇子、第2皇子】
金色と赤色の蛇になる双子
いつも一緒にいる。
兄弟思いで優しい
蒼亜と10歳離れている
緑華の最初の婚約事件の時は
2人とも、長期視察で不在だった。
青い大蛇は全身濃い空色のアナコンダのイメージ
ヒトの姿は、青い目になった俳優の坂口憲二さん。
お兄さん好きの弟想いな勝手なイメージですので、
ご容赦ください。
あんなカッコいい俳優さん減ったな…