尻にしく女達 ~後日譚~
平和を取り戻した皇城の図書室。
紫蘭が本を読みにいくと言うので、ズルズルと、ついて来たら弟とその婚約者がいた。
「翠鈴様、お邪魔します」
「あら、紫蘭様。邪魔ではありませんわ、どうぞ」
(ちっ せっかくの密着デートが!)
(兄上、こっちのセリフですよ、はあぁ~あ)
「紫蘭様、蛇どもがイヤらしいこと考えてますわ」
「え? まさか」
「蛇なら、ベタベタしても怒らないからって、わざと蛇になって2人っきりになるのが手ですのよ」
項垂れる緑華。
バッと俺を見る紫蘭。
(緑華?)
(すみません、図書室に誘い過ぎてバレました)
「特に蒼亜殿下は大蛇ですからね、紫蘭様を、全身ぐるぐる巻きにして『密着ぅ~』などと、喜んでいるのですわ」
(バラしやがったな! このクソ幼馴染みが!)
(俺の翠鈴にクソはやめてください、クソは)
(緑華! お前が下手を打ったからだろうが!)
「蒼亜様? 本当ですの?」
ブンブンと鎌首を振る
「なぜ、目を剃らすんです?」
(違うんだ、紫蘭)
「いっつも、私をぐるぐる巻きにしてらしたわ」
(少しくらい、いいだろう?)
必殺、大蛇の上目遣い。
「蒼亜様、お触り禁止です!」
(えぇぇ!)
嫌だ嫌だと大蛇がバタバタ床を転がる。
「おほほ、ざまぁみなさい、どすけべ」
(くっそ~)
(兄上、すみません……)
(まったく、お前が翠鈴をつけあがらせるから)
(そこが可愛いじゃないですか)
(うへぇ お前何言ってんだ?
紫蘭の方が断然、可愛いだろうが)
大蛇と蛇が嫁自慢を始めたところで、
「しっしっ!」
(翠鈴、そんなぁ)
「蒼亜様も」
(紫蘭?! 俺を追い出したりしないよな? な?)
「お仕事へどうぞ」
(紫蘭、待て)
「ホラホラ 緑華様も」
(いーやーだーぁ)
追い立てられて、扉の向こうに出された蛇2匹。
探しに来た側近に捕まって、引き摺られていく。
思いだした側近達が図書室に向けて一言。
「「「ご協力、ありがとうございます!」」」
ヒラヒラと手を振る紫蘭に、俺は抗うのを諦めた。
【了】
お読みいただき、ありがとうございました。
これにて第3皇子編、完結です。
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