竜の路を往く・4
「長く伸びる道はさながら竜、そして各地へ枝分かれしていくさまは竜の頭がいくつもあるようだ。だから九頭竜の路、か」
「それならその道のはじまるマンジュ島は竜の尻尾ね」
などと話しながら進んでいくと広い場所に出た。
その先には、いくつもの分かれ道が並んでいる。
「じゃあここが胴体部分か。カッセ、どれがジャンドゥーヤへの道なんだ?」
「こちらだ。ちなみにグランマニエに戻るなら、左から三番目の道になる。しかし仮に戻ったところで、魔物騒ぎで港は閉鎖されていよう」
つまり元いた大陸に戻ることも可能だが、そこから直接東大陸に向かうのは現時点では出来ない。
カッセは迷わずジャンドゥーヤへの道を選ぶと、先へ先へと歩いていく。
「こちらとグランマニエへの道は比較的出口まで近く、単純な造りだ。他の道に入ってしまうと長く複雑で迷いやすい。危険ゆえ迂闊に入らぬように」
「わかった。気を付けよう」
デュー達に注意を呼び掛ける声は、落ち着いて大人びている。
だが、小柄な外見はデューと背格好がほぼ変わらないカッセを眺めながら、リュナンは首を捻った。
「何者、なんですかねえ? あんなぐるぐるに布巻いて顔どころか全身隠して」
「すごく……気になります」
同意するフィノの視線は、カッセの腰についている、長く太い紐状の飾りへ。
それは彼の動きに合わせてゆらゆらと動いているように見えるが……
「……カッセさん、素敵ですよね」
うっとりと溜め息を吐くフィノは、まるで恋する乙女のようで、
「えっ、嬢ちゃんまさかそんな、ああいうのがタイプ!? ミステリアス系?」
「え? えーと、よくわかりませんけど、カッセさんのこと、つい目で追っちゃって……」
などと頬を染めればいつの間に傍まで来たのやら女子二人も話題に加わる。
「ほほー、それは恋じゃの」
「あらあら♪」
途端に賑やかになる後方を一瞥すると、
「……陰ながら見ていた時も感じたが、いつも楽しそうだ」
「少しやかましいくらいだけどな」
と、カッセとデューが苦笑した。
東大陸までの道のりは、まだまだ遠く。




