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Tales of masquerade  作者: 万十朗
第二部
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再び、霧の山脈へ・1

 フィノの予知から世界の異変を調べるため、精霊の力の源となるマナが豊富な『マナスポット』を探し、シブースト村へ向けて旅立ったデューとフィノ、それにオグマの三人。


「さて、フォンダンシティを出たはいいが……ネグリート砦まで戻るのも面倒だな。かといってアトミゼ山脈は……」


 霧深く険しいアトミゼの山は初めてデュー達が訪れた時にもその自然の洗礼を容赦なく浴びせた。

 霧が視界を阻むだけでなく、足場が崩れて仲間と離れ離れになってしまった事を思い出したデューは、苦い顔をした。


「アトミゼ山脈ってどんな所なんですか?」

「ああ、フィノは行った事なかったんだな」


 興味深げなフィノにオグマが穏やかに口を開く。


「観光向きではないからな。危険だから普段人が立ち寄る事は少ない。あの時はアセンブルと王都を繋ぐ橋が破壊されていたから、仕方なくこちらへ来た……だったな、デュー」

「ああ。お陰でオグマと出会う事が出来たんだから、今思えば良かったのかもな」


 実際、オグマの知識と治癒術には旅の中で何度も助けられた。

 何より障気に満ちた王都へ行くには、彼がいなければすんなりとはいかなかったかもしれない。


「そ、そうか……」

「オグマさん、顔真っ赤ですよ♪」

「う、あまり真っ直ぐこういう事を言われるのは、慣れていなくてな……」


 そもそも人との会話も少し前までは慣れてなかったくせに、とデューは内心で呟いた。


「あっ、そ……それで、ひとつ頼みがあるんだが……」


 自分に向けられた注目を逸らすように話題を変えるオグマ。

 デューとフィノが「頼み?」と声を合わせた。


「その、アトミゼ山脈に……私の家に、用があるんだ。少し立ち寄ってもいいだろうか?」

「なんだ、そんな事か。どのみちネグリートまで戻るのも面倒だったところだし、オレは構わない」

「視界も悪く険しい山道を行く事になるが、フィノは……」

「大丈夫ですよ。これまでだっていろんな所に行きましたから♪」


 若者達の快い返事を聞いてオグマは少しばかり表情を和らげる。


「……すまない、すぐ済ませる」

「旅となれば必要な物もありますし、お部屋も片付けておきたいですよね☆」

「そういう訳だ。オレ達のことは気にしなくていい。あんな冒険をしておいて、今更怖いものなんかないからな」


 今までいろんな場所に行って、危険にも遭遇してきた。

 それを乗り越えた自分達なら大丈夫だと告げるデューにオグマは首を振って、


「いや、まだまだ危険な場所や険しい環境は沢山ある。例えば北のクリスタリゼ大陸は自然の城塞と呼ばれるほどの……」

「わかった続きは歩きながら聞くから、まずはアトミゼに行こう」

「……ああ」


 こうして一行は霧深い山へと足を向かわせるのであった。


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