幕開け・4
オグマを仲間に加えたデュー達はフォンダンシティを発った。
「その、マナスポットはどこにあるんだ?」
「すまない、全ては把握出来ていないんだが……わかっている所ならシブースト村の近くだな」
シブーストといえばミレニアがいる村だ。
特に栄えているでもなくこぢんまりとした小さな村だったと記憶しているが……
「あんな田舎村の近くにか?」
「あの辺りは自然が豊富だろう? 確かに豊富なマナの恩恵を受けて発展する街もあるが、あの村はそうしなかったんだろうな」
ああ、何も都会の側ばかりとは限らないのか、とデューは納得した。
「いくら豊富だからといって行き過ぎた搾取はマナの枯渇を招く。そうして荒れ果て、滅びた所もある」
「……だな」
それこそ欲深い人間の自業自得というものだ。
オグマの言葉にデューは深く俯いた。
「あの、オグマさん」
流れを遮ったのは、フィノの声。
「そういえば、リュナンさんはどうしているんですか? ガトーさんの所に一緒に行ったんですよね」
「あ、ああ……」
ガトーが作った蛍光石のペンダントに命を救われたリュナン。
だがそのペンダントは本来、ガトーが気を利かせてオグマの未来の恋人に渡すよう作った物だ。
それが通りすがりの、見ず知らずの男を助けるために使われたと知ったらあのガトーがどんな渋面をするだろう。
「……あれは見事な一撃だった」
「あ、やっぱり殴られたのか」
「そ、それでどうなったんですか?」
聞くのが怖いような気もしながらフィノは続きを促した。
「いや、一度殴ったら後は快く迎え入れてくれたよ。ガトー殿も自分の作品が人命を救えるならその方が良い、と」
「……でも殴るんですね」
「どうしてもムカついたんだろうな。そりゃ可愛い彼女を連れて来るはずがリュナンだしな……たぶんオレでも殴ってる」
一度その光景を思い浮かべ、デューはリュナンに合掌した。
「その後はどうしたんだ?故郷に帰ったのか?」
「いや、自分は行く場所もないからとガトー殿の手伝いをしている。今頃は使いを果たして戻って来る頃じゃないのか?」
「…………見事にパシリと化したか」
鋭い眼光に睨まれて縮み上がりながら返事をするリュナンが容易に想像出来る。
「リュナンには声をかけていかないのか?」
「そうだな、ガトー殿が良いと言えば……リュナンの力は頼もしいし、来てくれると助かる。けど無理に連れて行く事もないだろう」
オグマの言葉にデューとフィノは互いに見合わせ首を傾げた。
「……なんでだ?」
「ガトー殿もリュナンが来てくれて助かっているようだし、二人が案外仲良くやっているみたいだからな。頼まれ事をしているリュナンは活き活きとしていたぞ」
「「…………」」
どうやらオグマの目にはそう映っているらしいが実際はどんなものやら。
「リュナンに会ったら一応話だけでもしてみようか……」
「と、途中で会えるといいですね……」
何はともあれ、三人はシブースト村への道のりを行くのであった。




