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Tales of masquerade  作者: 万十朗
第一部
44/455

地中に潜む脅威・3

 これまでとは明らかに格が違う、大柄な魔物の出現にデュー達に緊張が走る。


「ばかな、前に来た時にはこんな魔物は……」

「言ってる場合じゃないな、もう全員敵と見做されてる」


 魔物は動揺するトランシュを見据えると、息を吸い込んだ。

 僅かに開けた口の隙間から、炎が零れる。


「まずい!」

「痛み和らげる光の衣よ!」


 吐き出される火炎球にすかさずオグマが補助術を唱え、トランシュを守る。

 避けきれなかった炎が多少降りかかったが、術のお陰で大したダメージにはならなかった。


「すまない、助かった」

「予想外の事にも思考を止めるな。判断が遅れれば命取りになる」


 ぴしりと言い放つと、オグマは目の前の魔物を見上げた。


「……一筋縄ではいかない相手のようだな。私が魔術で切り崩すから援護を頼む!」

「了解っ!」


 リュナンは短く返事をすると、魔物の攻撃からオグマを守るように立ちはだかった。


「旦那には指一本触れさせません、よっ!」


 斧槍が重い一撃を受け止め、押し返す。


「こいつぁオマケだっ!」


 よろけた魔物に力任せに拳を叩き込んで、強引に距離を離させる。

 逆上した魔物は狙いを変え、いきなりリュナンに飛び掛かる。


「ちょっ、うわぁっ!?」


 巨体とは思えない動きに今度はリュナンが殴り飛ばされた。


「大丈夫か、リュナン!」

「……へへっ、体力バカですからね。これくらいなら、なんとか……」


 ふらふらと立ち上がるリュナンにひとまずは大丈夫だと判断し、デュー達は戦いに集中した。


「すまない、待たせたな!」


 そこにオグマの術が完成し、水浅葱の瞳が煌めいた。


「切り刻め、風狼の牙!」


 刃のように鋭い風が幾重にも魔物を襲う。

 これには堪らず魔物も呻き声をあげる。


「怯んだか……行くぞ、トラ!」

「!?……あ、ああ!」


 デューの呼び掛けにトランシュは一瞬思考停止しそうになったが、すぐに魔物に向き直る。


 デューは大剣を、トランシュは長剣を構え、駆け出した。


「見切れるか!」


 まずデューが懐に潜り込み、高く掲げた剣を振り下ろし、続いて下から斬り上げると反動を利用して一度離れる。


「これでっ……」


 さらにトランシュが回転斬りを食らわせ、着地から一歩下がる。


 最後は二人同時に地を蹴って、


「「終わりだッ!!」」


 両側から渾身の力をこめて一閃、二人の剣筋が十字に重なった。


 この一撃がトドメとなり魔物は倒れ、それきり動かなくなった。


「す、すごい……」

「兄様もデューも、息ピッタリなのじゃ……」


 デューもトランシュも一緒に戦うのは初めてのはず。

 その感覚に戸惑っていたのは、誰よりもトランシュ本人だった。


「……デュー君、だったね。君はさっき、僕の事をトラって……」

「ん、そんな事言ったか?」

「い、いや……覚えていないならいい」


 全く自覚のないデューに戦闘中の咄嗟のことだろう、とトランシュは忘れる事にした。


「それよりも今はこの先に進む事だ。一刻も早く牙をなんとかしなくては……」

「こんなどんよりした障気、さっさと晴らしちゃいましょ♪」

「簡単に言ってくれるな……」


 シュクルはこの先に待ち受けているであろう脅威を思い浮かべ、深く深く溜息を吐いた。

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