渦中の王都・5
そして、翌朝。
「復活~☆」
「すごい回復力なのじゃ。さすが体力バカ……」
「おチビちゃん、そのコメントはないんじゃないの?」
すっかり体力バカのイメージで固定されたリュナンは笑顔を引きつらせてミレニアを見た。
「……もう具合は良いのか?」
「ばっちりですよ旦那♪……清々しい朝、とまではいきませんけどね」
リュナンの視線は、結界の向こうに見えるどんよりとした紫色の空へ。
「……この空を晴らして、清々しく帰って来たいですね」
「そうだな」
オグマもつられて見上げる。
陽の光も僅かにしか届かない王都は、朝だというのにまだまだ暗い。
と、
「買い出し終わったわよ~」
「閉鎖されているせいでどこも品不足だな。最低限の準備は出来たが」
買い物を終えたイシェルナとデュー、それにフィノが荷物を抱えてやって来た。
この状況では外からは品物が入ってこないのだろう。
品揃えが悪い店ばかりで万端とまではいかなかったが、それでもそれなりの買い物は出来たようだ。
「リュナンさんも回復したみたいですね。良かったです♪」
「ありがと。嬢ちゃんは優しいなぁ~☆」
フィノの優しい気遣いに感涙するリュナンだったが、
「ま、元気になって貰わんとビシバシこき使えんからのー★」
「だな」
という年少組の言葉に頭からずっこける。
「なんなんですかもう~!」
「それだけ頼りにしてるって事よ♪」
「え……」
落ち込んでいる時に希望の光が差し込むようなイシェルナの言葉。
振り向くと、そこには思わず見とれる最上級の美女の笑顔。
「姐さん……姐さんが俺を…………うぉぉぉぉここで応えなきゃ男じゃない! リュナン・ヘイゼル、全力で頑張りまぁぁぁぁすっ!!」
一気に奮起するリュナンに呆れるデュー達だったが、
「うふふ……チョロ甘さんね★」
などと呟き黒い笑みを浮かべる美女に気付き、凍りつく。
「何気にコイツが一番酷いな……」
「ま、いいんじゃないか?……リュナンは幸せそうだし」
「知らぬが仏、じゃの」
哀れみの視線を一身に集めている事など知らずに、リュナンは実に幸せそうだ。
「……とにかく、早くトランシュの所へ行こう」
デューはそんな彼から目をそらすと、街の中心にそびえる城を仰ぐ。
王都の朝は、その地下で起こっている事など想像もさせずに静まり返っていた。




