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Tales of masquerade  作者: 万十朗
第一部
32/455

濃霧の中へ・2

 フォンダンシティを発った一行は、再度ネグリート砦を訪れた。


 グランマニエ大陸の中心、王都へ続く現時点で唯一の入口である砦の門はやはりかたく閉ざされたままだ。

 騒ぎは一旦落ち着いたのか、以前のような人だかりはない。


「あ、あなた方は!」


 以前に門を通る交渉を持ち掛けた門番の兵士は、デュー達を見つけるなり姿勢を正した。


「ばっちり顔覚えられちゃったわね~」

「ま、目立つ風貌ばかりじゃからのぅ」


 人目をひく美貌とスタイルのイシェルナや明らかにこの辺りでは見ないような異国の衣装を纏ったフィノがいい例だろう。


「障気の中を通る方法、見つけてきたぞ」

「これで通してくれますか?」

「あ……えーと……」


 デューとフィノが詰め寄ると門番は困惑した。

 一番の危険、障気を避ける事は出来ても門の向こうにはその障気で狂暴化した魔物がいるのだ。

 それこそ、こちら側とは比べ物にならないくらい手強いのだろう。


「この先は危険ですし……一度開門したら、簡単には戻れませんよ?」

「わかっている」


 少年少女のまなざしは真剣そのもので、何を言っても聞かないのは目に見えていた。


 門番が、深い深い溜め息を吐く。


「…………一般の方をお守りするのが騎士の務めなんですけど……」

「このままだともっと大変な事になるかもしれないんです。お願いします!」

「大変な事って……」


 これだけ危険を訴えても、自らその中に飛び込むというのは軽はずみな気持ちで言っている訳ではないのだろう。

 障気の中を行く手段も見つけてきたというし、彼等が一般人というには戦い慣れているであろう事もわかる。


 そして、何より門番には疑念が芽生え始めていた。


「……この事態、いつになったら元通りになるのか……」


 橋が破壊され、砦の門も閉鎖して隔離された王都周辺。

 障気と魔物のせいで王都の者達は結界の外に出られない。


 だが自分が行ってどうにか出来る事態ではないし、やはり門を開ける訳にはいかない。


「……わかりました」


 絞り出すように騎士は答えた。


「ですが、正面から堂々と開門する訳にはいきません。ですからこれを……」


 差し出された手には、小さな鍵。

 それはチャリ、と音を立ててデューのてのひらに落とされた。


「これは……」

「裏口の鍵です。そこの奥へ行った所にありますから……」


 うんと声をひそめて、門番は裏口がある方をこっそり指し示した。


「ありがとうございます」

「いえ、どうかお気を付けて」


 フィノはぺこりと頭を下げて、すぐにでも行こうとするが、


「フィノ、気持ちはわかるが準備をしてから行こう。ここから先は今まで通りとはいかないだろうからな」

「あ、はい」


 オグマの言葉に引き返し、仲間達と道具屋へ向かう。


「オグマは慎重派じゃの~」

「備えあれば嬉しいな、って感じかしらん?」

「それは何か違う気が……」


 そんな彼等の背中を見つめながら、


「オグマ…………ってまさか、あの……!?」


 会話の中に聞こえた名前に思い当たると、門番は再び背筋を伸ばした。



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