トロフィー
二人で席まで戻り、真っ先に蓮先輩の前に行き
『本当なら蓮先輩がもらっていたものだと思います。私が2年7組の伴奏者として、こんなにも優しくして
くださった先輩方に感謝と、私に伴奏をさせてくださった、蓮先輩に感謝します。このトロフィーは蓮先輩のです。どうぞ』
と、言って渡した。
『えっ? 俺? そんな、俺だったらここまで出来たか自信ないよ。クラスの奴らだって、美桜ちゃんと楽しい時間を過ごしたい。頑張っている後輩の前で先輩らしくありたくてカッコつけてたからだよ。だから合唱も上手く出来たし金賞なんて立派な賞がもらえたんだよ。全て美桜ちゃんのおかげなんだよ』
蓮先輩が私に語ってくれた。
2年7組のトロフィーを抱きしめて泣いてたら
『俺、あのトロフィーになりて~なぁ』
と言う大倉先輩の声が・・・
『じゃあ、2組か6組のトロフィーになって来れば?』
という声に両クラスのトロフィーの行方を見てみる先輩方と大倉先輩。
2組のトロフィーは、担任の先生が頬ずりして喜んでいる。
(ラグビー部の顧問をしている体格の大きい古谷先生です)
6組はトロフィーにキスをしている来年定年を迎える石原知子先生です。 大倉先輩が
『嫌だ 7組のトロフィーになりたい』
と言って振り向いた大倉先輩。