第2話 シッタトキ
〜舞視点〜
「な、なんてベタなんだ・・・」
舞は受け取った手紙を読んで仰天した。
「ナニナニ、何て書いてあったの〜」
「俺たちにも見せろよー、舞」
綾香と優姫はその手紙が例の(仮)舞に恋している人からじゃないかと内容を読みたがっている。
「あっ」
ついには二人に無理やりひったくられてしまった。
「ちょ、ちょっと、返してよー」
舞は返してもらおうとしたがそれはすぐに不可能になってしまった。
なぜかというと優姫に手紙を上に上げられてしまったからだ。
実は舞はこの三人の中で一番背が低いのだ、そして優姫はこの三人の中では、いや、このクラスの女子の中では群を抜いて一番高い。
綾香なら(もしかしたら)まだしも、優姫にやられてはもう、あきらめるしかない。
舞はそう思い
「はぁ〜」
とため息をつき大人しくいすに座った。
「ナニナニ、・・・藤田舞さんへ お話があるので明日、放課後裏庭へ来てください。・・
・だってさ」
「うわっ、何てベタなのー、そりゃ男子に告られた事のない舞だって『なんてベタなんだ』って思っちゃうね〜」
「う、うるさいな〜、そういう経験なくて悪かったですねっ!」
「はいはい、ごめん悪かった」
「そんなことより、これ、いったい誰が書いたんだ?差出人の名前が書いてないぜ」
「そうよねえ〜、う〜ん、多分、高橋裕也《たかはしゆうや》はありえないと思うわ〜」
「そりゃそうだろ」
舞は今の会話で不思議に思ったことがあった。
「その高橋何チャラって、誰?」
そう言った瞬間、さっきまで話していた二人が会話をやめ、ありえないって言う顔で舞をみてきた。
「うそだろ、仮にもクラスメイトだぜ」
「そうなの?」
もう一度舞はたずねた。
「まぁ、舞は男に興味ないからしょうがないか」
「そうだな」
二人は同時に
「はぁ〜」
と深いため息をついた。
それが舞には気に食わなかったがあえてスルーした。
「あのね、高橋裕也っていうやつはね今話題の人気アイドルの《YUU》にメチャクチャ似てるという、女子の間ですっごく人気の男子よ」
「ふぅーん、そうなんだ」
「『ふぅーん』って、それだけっ!」
「うん、それだけ」
舞がそう言った瞬間、二人は
「ありえない」
と言ってまた、
「はぁ〜」
とため息をついた。
「いったい、何回今日はため息の音を聞いただろうか?」
舞は手紙のことなど忘れてそんなことを考えていた。
悲しいかな、それが<あたし>が<おれ>を初めて知った時だった。
こんにちは、春日まりもです。
評価でご指摘されたので、今回から<〜視点>と書くことにしました。
この作品を読んでくださった皆様、本当にアリガトウございます。
もしよければ、これからもよろしくお願いします。あと、またまたもしよければ、私の勉強になるので評価してもらえたらと思っています。