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囚人棟の(裏)動物使い  作者: 蛇炉
4/10

第四話 雑用と命名

『――――もっと手を動かせ!!!』


「・・・そんな、こと・・・ううっ、言われて、もっ・・・あうっ」


『――――もっと丁寧に!!!』



サカ怒鳴り声が部屋の中に響く。

そのたびに、俺は身を縮ませてつつも必死に手を動かした。

手を動かす度に、それはビチャビチャと音をたて、ヌルヌルの液体が手に絡み付く。

液体のせいで、手から何度もそれをこぼしそうになる。

俺は、ヌルヌルの手で必死にそれを逃がさないように・・・あっ



『――――うっ・・・!!!』



サカはうなり声にも近い声を上げると、逃げ出したそれを捕まえた。

そして、ホッと息を出すと俺の顔を睨み付けてきた。



『――――おまえは皿洗いも出来ないのか!!!』



サカはすごい剣幕で怒鳴ると、先ほど捕まえた皿をさっと水にくぐらせ、軽く水分をふき取り、綺麗になった皿の山へ静かに乗せた。



俺は今、皿洗いをさせられている。

なぜかは・・・知らん。

バイルとの話を終え、俺は部屋に帰されるのかと思ったら連れてこられたのが厨房だったのだ。

厨房に入ると、サカから布きれを渡され『――――これから皿洗いをする。手伝え』と言われたのだ。

そして、皿の洗い方、しまう場所などを教えられて今に至っている。



「だ、だって・・・泡で皿が滑って・・・あっ」



話しながらそういうと、再び俺の手から皿が滑り落ちた。

すかさず、サカが腕をのばしてそれをつかむ。

そして、水にそれを通し、自分の持っていた皿と一緒に山へ積んだ。



『――――おまえは・・・皿をもっとしっかり握れ』



サカはそう言いながらも手を休めず、二枚の皿を山へ追加した。

それを見ながら俺は、妙に悔しかった。

俺は、半ばやけくそになりながらゴシゴシと皿の表面を擦った。

そして、やっと無事に一枚の皿を綺麗にすることが出来た。



「ど、どうだ!!俺だってやれば出来るぞ!!!」



俺は胸を張って綺麗になったばかりの皿をサカにつきだした。

すると、サカは目を細めるとそのまま顔を縦に振った。



『――――まあいいだろう。その調子でドンドンやれ』



サカは皿から目を離すと、再び視線を下に落とし、驚異的なスピードで皿を洗っていった。


は、早い・・・

手がブレてる?


俺はサカの手元をジーッと見つめながら首を傾げた。

すると、サカがこちらをジロリと睨んだ



『――――何をボーッとしている!!!さっさと手を動かせ!!!』


「す、すまん!!」



俺は慌てて視線を下げ、いそいそと皿を洗い始めた。














==============














「これで、最後っと」



俺は洗い終えた皿を積み上げた。

そして、手に持っていた布きれをシンクの縁に掛けた。



「やっと終わった~~」



俺は、両手を上に放り出すとそのまま大きく伸びをした。

すると、背中当たりからポキポキと音が鳴った。

長時間同じ体勢で皿と格闘していたから、体のあちこちから同じような音がした。



『――――時間が掛かりすぎだ。俺一人で片付けるのと変わらないではないか』



サカは嫌みたらしくそういうと、皿の山の一角を持ち、後ろにある棚へ皿をしまっていった。

俺は、サカの後ろ姿を睨みつけながらも、大人しく皿の片付けを手伝った。

途中、何度も皿を落としそうになったが、何とか一枚の犠牲も出すことなく無事にしまうことが出来た。



「ふぅ・・・」



いつの間にか額に出ていた汗を拭いながら、俺は棚についていた扉を静かに閉めた。

すると、サカが足音を立てながら厨房の端へ移動していった。

何をするのかと思ったら、サカは厨房の端にちょこんとある丸椅子に腰掛けた。

椅子に座ると、サカは一度大きな首をした後に右肩に手を回して首を左右に動かした。

すると、ゴリッバキッと骨を折った時のような音を立てた。

俺は思わず自分の首を確認するように手を伸ばしていた。


・・・大丈夫だ、折れてない

って、当然か


自分の首がついていることに安心した俺は、ホッとため息を吐いた。



『――――8番、こっちに来い』


「ん?なんだ?」



俺は首を傾げながらサカの近くに寄っていくと、サカは突然右腕を俺の方へつきだしてきた。

サカの腕は俺の胸くらいの高さに上げられており、様子を見るようにジッとこちらを睨んできていた。

俺は訳が分からず差し出されている腕をジロジロと見た。


思いの外筋肉質な腕は、とても太い。


すると、サカは低いうなり声を上げた。



『――――何をしている!!、さっさと揉め!!!』


「は?何で俺が?」


『――――お前の刑だ!!我々三人のケアも刑に含まれている。さっさとしろっ!!!!』



サカは不機嫌そうにそういうと、腕をぐいと俺の方へ近づけてきた。

サカの態度は気に入らなかったが、俺の刑に含まれてるらしいから従わないわけにはいかない。


俺は、差し出された腕を渋々掴むと、両手でグイグイ握り始めた。


サカの腕は、俺が思っていた以上に硬くなかった。

どちらかというと、フワフワのモフモフだった。

筋肉質だが、そこまで堅くない。



『――――ほう・・・マッサージは人並みに出来るようだな』



サカが感心したようにそう呟き、ニヤリと口元を釣り上げた。



「こんくらい誰でも出来るっての・・・」


『――――いや、俺たちは出来ない。もし同じように腕を握ったら、たちまち腕がただの肉塊になる。』


「そ、そうなのか・・・」



俺は、事もなにげに恐ろしいことを言ったサカに、若干引いた。

自然に体をサカから少し離す。

すると、サカは突然右腕を引っ込めると今度は左腕を差し出してきた。


は、反対もかよ・・・


俺は少しためらったが、どうせ渋ってもやらされるだろう思い、大人しく左腕もマッサージした。

しばらく左腕のモフモフを楽しんでいると、サカは大きく息を吐き出した。



『――――もういい、十分だ』



サカはそう言って腕を引っ込めると、丸イスから立ち上がり体を伸ばした。

そのあと、少しストレッチの様な動きをし、突然俺の腕をガッシリ掴んだ。

そして、そのまま厨房の出口に向かって歩き始めた。



「お、おい!!何処に行くんだよ」


『――――監守室だ。バイルの奴に会いに行く』



サカからバイルの名前が出てきて、俺は顔をしかめた。



「あの変態野郎の所か?」



俺が嫌そうにそういうと、突然サカが立ち止まり、俺の方を見てきた。

サカは、両目を大きく開き、俺の顔をジッと見ていた。

やがて、サカの口がつり上がり、体が小刻みに揺れ始めた。

そして、とうとうサカは大口を上げて笑い始めた。



『――――ふはっ、ははははははははっ!!!!。そう、そうだ!!その変態の所だ!!。ふっ、ふっはっはっはっはっはっはっ!!!!!!』



サカは、バイルのいる監守室前に着くまで笑うのをやめなかった。














==============














『なるほど・・・、それでサイガスの馬鹿笑いが聞こえてきていたのか』



バイルが納得したようにそういうと、こめかみに指つまんで、グリグリと動かし始めた。

サカは一応謝っていたが、未だに笑いが収まらないらしく、声が所々うわずっていた。

それを見たバイルは、憂鬱そうにため息を吐いた。



『――――でも確かに、バイルってかなりの変態野郎だよね~・・・さっきのこともあるし(笑)』



バイルの横に控えていたドレスも、クスクスと笑っていた。

すると、バイルはサカとドレスを交互に見ると、がっくりと首を落とした。



『・・・俺の味方はいないのか』



バイルは両手で顔を覆うと、悲しそうな声でそういった。

そんなバイルを見て、とうとうドレスも声を上げて笑い出した。


あ、哀れだ・・・


俺は苦笑いを浮かべながら、悲しそうなバイルをただ見守った。

あくまで、見守るだけで近づかない。

バイルが指の隙間からちらちらこちらの様子を伺っているのも近づかない理由のひとつだ。



『――――ひぃ~、はー・・・それで?、どうして彼女を連れてきたのかな?、サイガス、説明してもらえる?』



いきなりキリッとした声でそういったドレスに、サカは苦しそうに息を吸いながら答えた。



『――――なぜって、それは、ぷっ!、こいつは俺の手に余るから、フッ、返しにきただけだ・・・』



サカはそういうと、俺の背中をドンッと押し出した。

俺はあわてて目の前の机に手を突き、何とか倒れずにすんだ。

俺は、机に手をついたまま首だけを後ろに向けると、サカをにらみつけた。

するとサカは、俺の顔をちらりと見ると、プイッと顔を背けてしまった。



『・・・まだ初日だぞ?、複雑な事は出来ないし、勝手が分からんだろう』



バイルは首を傾げながらそういと、サカは鼻を鳴らした。



『――――複雑なことか・・・そうだな、皿洗いはこいつにとっては難しすぎたのかもしれないな』



バカにするような口調でそういうと、サカは俺の方を見てニヤリと笑った。

すると、バイルの横に控えていたドレスがわざとらしく両手を口元に当てた。



『――――本当かい?!、皿洗いとはまた・・・二人でやったのかい?』


『――――ああ』


『・・・ちょっと待て』



バイルはそういうと、自分の懐から懐中時計と取り出した。

そして、ブツブツと何かを呟きながら空いている方の手でなにかを書き留めた。

しばらくすると、バイルの手が止まり、フゥッと息を吐き出すと懐中時計を懐に再びしまった。



『二人でやった割には、随分時間が掛かっているな。皿でもひっくり返したのか?』


『――――いや、俺が落ちる前に全て拾ったからな。一枚の被害も出ていない』


『なるほど・・・囚人番号8番の尻ぬぐいと、集中力の低下か。それなら、計算誤差の許容範囲内だな』



バイルはそういうと、視線を下げ、再び何かを書き留めた。

俺は、何を書いているのか気になって軽く体を乗り出して見た。

そこには、一枚の紙にビッシリと文字が書かれていた。



「うわっ、なんだこれ」


『ん?、これか?・・・お前の調書だ』


「ちょうしょ?」



俺は聞き慣れない言葉に、首を傾げると、バイルの代わりにドレスが答えてくれた。



『――――これは君の能力を可能な限り細かく記帳しているものだよ。君の活動限界時間・身体能力・思考判断力とか、とにかく色々調べて此処に書いてるんだ。君の取扱説明書を作ってる感じかな?』


「と、取扱説明書?!」



思わずデカイ声を出して、グイッとバイルに顔を近づけていた。

それに合わせて、バイルは顔をしかめながら首を引いた。



『そこまで驚くことはないだろう?、お前は俺たちの世話をするんだ。俺たちがお前の事を何も知らないんじゃ、お前を効率的に使えないだろう?』



バイルの発言に、俺は言葉を失った。


俺を・・・使うだって?

こいつらの世話をするだけで良いんじゃないのか?

むしろ、俺がこいつらの管理をするんじゃないのか?



『まあ、サイガスの話を聞く限りだと・・・あまり器用ではないな。これも記載し無いといけないな・・・』



バイルはそういうと、再び手元の紙にスラスラと文字を書いていった。

しばらくすると、バイルは紙から顔を上げ、俺を真っ直ぐ見据えた。



『さて、囚人番号8番。折角来たんだから、お前の呼び名でも決めようじゃないか』


「俺の呼び名?」



俺はバイルの言葉を繰り返すと、アゴに手を当てて首を傾げた。

すると、ドレスが嬉しそうにバイルの肩に手を掛けた。



『――――バイルバイル!!、それなら俺考えてきたんだ~♪』


『おお、そうか』



バイルは、肩越しにドレスを見ると、ドレスは一度バイルから離れ、コホンとわざとらしく咳払いした。



『――――それでは!!俺が考えた名前を発表しま~す!!』



すると、バイルとサカがパチパチと拍手をし始めた。

ドレスは、二人の顔を交互に見ながら止めるように手をかざした。

二人は、それを見ると緊張した面持ちでドレスに注目した。



『――――では、発表します!!俺が考えてきた名前は~』



そういうと、バイルはそこで言葉を切り、十分な間を取ってから高らかに名前を言った。



『――――“長髪の女”で~す!!!!』



室内にしばらく木霊した声が、虚しく消えていき、静寂が訪れる。



「・・・・名前かそれ?」



俺は静寂の中、つい率直な感想を口に出してしまった。

すると、三人の視線が一気に俺に向いた。



『――――・・・確かに、名前とは言えぬかもしれないな』


『名前じゃなくて、特徴だもんな・・・』


『――――え~、これじゃダメなの~?』



三人は思い思いの感想を言い合うと、再び室内に静寂が戻ってきた。

しばらく誰も喋らない時間が続いたが、突然サカがピンッと耳を立てて声を上げた。



『――――うむ!!我も一つ思いついたぞ!!!』


『サイガスか・・・期待は出来ないな』

『――――サイガスか・・・期待は出来ないね』



サカが叫ぶのと同時に、バイルとドレスの声が見事に重なった。

すると、途端にサカが不機嫌そうな顔で二人に食ってかかった。



『――――フンッ!!、我が考えた名前を聞けば、考えを改めるだろう!!聞くがいい、我が考えた名前をッ!!!』



サカはそういうと、バッと両手を広げると、高らかと名前を叫んだ。



『――――こいつの名前は、“はな子”だ!!!』


『却下だ』

『――――却下だね』

「却下ッ」



全員が、ほぼ同時にその名前を否定した。



『――――なぜだッ?!、お前もか囚人番号8番ッッ!!!!』



サカは、悔しそうに歯ぎしりしながら俺の方を指差してきた。


いや、だって・・・はな子とか

絶対無いだろ

それだったらさっきの“挑発の何とか”(ちょっと違ったか?)って方がまだマシだ。


俺がそんなことを考えていると、バイルがため息を吐いた。



『お前ら・・・全然ダメだな~。名前ってのは、その人物を表すものだ。しっかりした名前を考えてやらないとダメだ』



すると、サカがギロリとバイルの方を見た。



『――――偉そうな事を言いおってッッ!!そういうお前はどうなんだッ!!我が考えた名前より優れた名前があるのだろうな!!!』



いや、お前より優れた名前って・・・

ハードル低いな、おい


そんなことを考えながら苦笑いを浮かべていると、サカはこちらを見てきた。

そして、何を勘違いしたのかニヤリと笑みを浮かべた。



『――――見ろ!!囚人番号8番も一度は否定はしたものの、俺の名前以上の名前は無いと考えているぞッッ!!!』



いや、考えてない考えてない

むしろ、お前の考えた名前以外だったら何でもいいよ



『サイガス、その言葉は、俺の考えた名前を聞いてからにして貰おう』



バイルはそういうと、「フフフッ」と不適な笑みを浮かべた。

そして、バイルは骨の手を机につくと、イスを引いて立ち上がった。



『では、俺の考えた名前を発表しよう』



バイルはそういうと、そのまま事務机を離れ、俺の方へ歩いてきた。

そして、俺の横に立ったバイルは俺の顔を真っ直ぐ見つめてきた。



『俺が考えた名前は、“ハッちゃん”だ!!!』



バイルの声は、ドレスの時と同じように、部屋の中で木霊した。

ドレスと時と違ったのは、直ぐにサカが騒ぎ出した事だ。



『――――お前もダメではないかッ!!!!なんだその名前はッ!!!!』



サカは、一人でワーワー騒ぎだし、バイルを責めた。

その騒ぎを納めたのは、ドレスの一言だった。



『――――そうかな~?、俺は結構良いと思うよ?』



ドレスのその肯定的な言葉を聞き、サカはぴったりと口を閉じた。

そして、ぎこちない動きでドレスの方を見ると、サカは両目を見開いた。

そんなサカを見て、ドレスは弁明するように喋り始めた。



『だって、僕らが出した名前の中で、一番親しみやすいし、呼びやすい。それに、しっかりと“囚人番号8番”って呼んでた名残を感じられるし、忘れづらいと思うんだよね。慣れるまで呼ぶのに抵抗があるかもしれないけど、それはどんな名前でも一緒だし、やっぱり“ハッちゃん”って言うのがいいんじゃないかな?』



スラスラとドレスは言葉を紡ぐと、バイルも満足そうに頷いていた。

サカも、合理的な理由にただ唸ることしかできないようだ。



『っと、言うわけだ。囚人番号8番、今日からお前の呼び名は“ハッちゃん”だ』


「あ、決定なんだなそれで・・・了解」



俺は割とあっさり決まった名前に、若干違和感を感じつつもそれを快諾した。



『――――み、認めんぞ・・・俺は、絶対に認めんぞ~~~~~ッッ!!!!』


「サカうるさい。ちょっと黙ってろ」



俺がそういうと、ドレスとバイルの二人が不思議そうな顔でこちらを見てきた。

そして、二人はお互いの顔を見ると、ドレスが首を傾げながら訪ねてきた。



『――――ハッちゃん。サカってもしかして・・・サイガスのこと?』


「ん?、そうだ」



俺が頷くと、騒ぎ立てていたサカが突然ピタリと止まった。



『――――・・・待て。なぜ我の名が“サカ”になるんだ?』



そういって、首を首を傾げたサカに、俺は簡潔な答えを返した。



「面倒で長いから」



それを聞いたサカは、俺の顔を見たままあんぐりと口を開いて固まった。

そんな様子を見たドレスが指を差しながらカラカラと笑い声を上げた。



『――――あっはっはっ!!!、サイガス、随分おしゃれな名前を貰ったじゃないかっ!!』


「お前も略してるぞ、ドレス」



そう言った瞬間、ドレスはぴたっと笑うのを止めた。

そして、ギリギリと音が聞こえそうな位ぎこちない動きで、首だけをこちらに向けてきた。



『――――は、ハッちゃん。い、一応聞くけど、そのドレスって言うのは・・・俺のことかい?』


「そうだ」


『――――はっはっはっはっはっ!!!ドルマク、お前随分かわいらしい名前じゃないか!!!』



いつの間にか復活していたサカが、ドレスを指差しながら馬鹿笑いを始めると、ドレスが高く跳躍し、そのまま二人はとっくみあいを始めてしまった。

そんな様子を俺とバイルは、見守るように見ていた。

すると、バイルが俺の肩をつんつんと突き、小声で聞いてきた。



『ハッちゃん、もしかして、俺の略称なんかもあるのか?』



少しキラキラした目でそう聞いてきたバイルに、俺は首を横に振って答えた。



「お前はバイルだ。考えつかなかったから」


『そ、そうか・・・』



バイルは少し残念そうにそういうと、二人でサカとドレスが落ち着くまで観戦を続けたのであった。

後日、サカとドレスに「バイルだけあだ名が無いのはずるい」と言い寄られ、渋々名前を考えさせられたのは、また別の話で。






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