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CPL

 その日から、坂本はマンションの一室から一切出ることはなくパソコンの画面に向かって、カチャカチャとクリックする作業を延々と繰り返した。ヘッドホンから聞こえてくる喘ぎ声と、やたら出てくるオークにコマされるエルフを数十回を見ていくうちに段々と洗脳されていき、何時の間にか

(あれ、この気の強そうなエルフも良いものなんじゃ?)

と次第に思うようになっていった。元々ストレスを抱え続けていた上に、下手に禁欲的な環境による逃げ場のない煩悩によって、妄想が坂本本来の思想を超越した瞬間である。そして最終調整当日の早朝までアダルトゲームをプレイし続け、坂本の腹は決まった。


  東日本大学付属病院特殊調整槽室、そこに呼び出された坂本は白沢医師と佐々木看護婦の二人と全裸の状態で面会していた。特殊調整槽室には、多数の被験者が培養槽で保管されているようで見ていてあまり気分のよい代物ではない。もっとも、坂本その培養槽に入ることとなるのだが。

  「お前さん、この三日間で自分のなりたいものは見つかったかね?でないと、時間をくれてやった意味が無くなるのだよ。」

  白沢はいつも通りのしかめっ面で坂本に問いかけた。

  「そりゃ、当然ですよ。明確な将来像が脳の中でありありと浮かんでいます。」

  「そ、そうか。」

  あまりにも自信たっぷりに語る坂本にさすがに面食らったらしく、白沢も思わず声を引きつらせていた。

  「っんん、そこまで言い切ったのなら話しは早い。お前さんはその培養槽の中で寝るだけだ。なに、密封される際に強力な睡眠導入剤ですぐに終わる。それと、培養槽から排出された後は佐々木君がお前さんの面倒を見てくれるのでな。あいさつしておけ。」

  「では、改めまして佐々木恵ささきめぐみと申します。坂本さんよろしくね。」

  前回入院していた際にお世話になった佐々木看護婦を改めて見てみると、温和そうなお姉さんと言った感じの人で目元の泣き黒子が印象的な女性だ。周囲から頼りにされそうなタイプに坂本は思えた。

  「ええ、こちらこそよろしくお願いします。」

  「ふふふ、美しく変身されたあなたに会える事を楽しみにしてますよ。」

  そう佐々木看護婦は微笑みながら坂本に答えた。

  「では、培養槽に入りたまえ。なにあっという間だ、夢を見る暇もないぞ。」

  白沢に指示され、坂本は培養槽に入っていった。中に入り姿勢を正しくすると、培養槽の蓋が自動的に閉まった。

  「それではまた会おう。N-451番培養槽に睡眠導入剤注入開始!」

  白沢の指示が聞こえたと同時に、坂本に急な眠気が襲い掛かってきた。だが、前回の手術のような怖さはない、あるのは自分がどの様な姿になるのかの期待だけである。

  (やっぱり、エルフになるんだろうな・・・。)

  そう考えながら坂本の意識は落ち、培養槽は緑色に光る液体で満たされることになる。これから坂本は二週間かけて肉体を魔法少女へと変態させる。培養槽はその時が来るまで搭載された機能によって、坂本を調整し続けるのだった・・・。

  

  そして二週間後・・・。

  (ビービービー、N-451番培養槽ハイシュツハイシイタシマス。タントウシャハショテイノバショデタイキシテクダサイ・・・)

  「ゴホッ、ゴホッ・・・」

   坂本は培養槽の底から排出され、緑色の培養液塗れの状態で意識を戻した。まだ、ボンヤリとした状態だが自分の体の状況を確認するためにふらつきながら立ち上がった。まず、坂本は手を見てみた。手は男性だった時とは違い細く尚且つ褐色である。そして肝心の耳に、手を当ててみるがやはり横に長い俗に言うエルフ耳であった。

  (ということはダークエルフか・・・。)

   ダークエルフとは、一般的なエルフ像が金髪で色白なのに対してダークエルフは褐色や黒色が定番である。坂本も一般的な色白のエルフとなると思ってはいたが、ダークエルフになるとは想定外であった。もっとも、プレイしていたゲームにもダークエルフエルフが登場していたので、無意識のうちにあこがれていたのだろうと坂本は考えた。そして、培養液のケースを鏡代わりにして坂本は全身を確認した。

   全体を見ると、身長は男だった時とあまり変わらず170cm代前半の女性としては高い身長だ。髪の色は銀髪で、スッキリとしたショートヘアーである。そして、顔は気の強そうな印象を相手に与えるだろうと思われる切れ目のしっかりとした顔立ちで、目の色は青色だ。坂本が一番気になっていた胸は適度に大きくバランスの良い形はしていた。また、腕や腹部からは筋肉質に感じられ、まさしく激しい戦闘もこなせる完璧なナイスバディに思えた。

  「これが、私か・・・。」

  思わず口に出した声は、クールな女性と言った印象でこれでは冷徹な女軍人だなと坂本は感じていた。

  (絶対藤崎大尉の影響だな。)

  そう思うと、居ない筈の藤崎大尉の声が聞こえそうになってきた。さて、今この部屋には誰も居ない。そして、ここには女性になったばかりの坂本一人だけだ。・・・と言う事は男ならやることは一つである。

  (よし!じゃあさっそく「失礼します、坂本さんお目覚めですね。」)

  慌てて振り向くと、そこには佐々木看護婦が佇んでいた。心を落ち着かせ、冷静になると佐々木看護婦に話しかけた。

  「ええ、おかげさまで。」

  「それはなによりでしたね。しかし、坂本さん素晴らしい体ですね、こうクールな感じのカッコイイと思わせるタイプです。」

  (何か様子が変だぞ・・・。)

  佐々木看護婦は口元をにやつかせこちらを向いていて、はっきり言って不審に思えてきた。

  「えっと、佐々「恵さん」え?「恵さんって呼んで」ええっと恵さん。」

  「ふふふ、この仕事についてから色々な女の子に会ってきたけれど私の好みそのものだわ。さあ、怖がらなくて良いのよこちらに着なさい。」

  (ヤ、ヤバイ!逃げなくては!)

   そう考えてすぐに出口の方へと駆け出すが、手足が何かに縛られて勢いよく地面に転がってしまう。確認すると、佐々木の手から光り輝く鎖が坂本を拘束していた。

   「私、こう見えても元魔法少女として活躍してたの。けど、残念ね物判りの悪い子には特別に可愛がってあげるわ。大丈夫、女の子というモノをしっかりと教え込んでア・ゲ・ル!」

  「・・・もしかしてレズビアンの方ですか?」

  「正確には元々男だからホ「それは言わないでください」安心しなさい、身をゆだねるということは真の幸せへの追求に繋がるのよ。あなたがネコで私がタチでね。さあ、二人っきりで一緒にね。」

  「イ、イヤダーー!!ヤメロー!ヤメてくれ!!」

必死になって抵抗するが、魔法少女に成りたての佐々木ではどうにか出来るわけがなかった。こうして、坂本は佐々木に拘束されながら女というものを丸一日かけて教え込まれてるのであった。魔法少女となっても彼、いや彼女の不幸は終わる気配はない。

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