べつに、どっちかを選べなんて言うルールはないし
今度は一緒になって騒ぎ出した2人。
「こいつとツーショットなんて、絶対に嫌だ。」
「同じく。何が悲しくて、野郎と撮らなきゃならない。」
「ああ!」
撮影していた携帯を取られ、消されてしまう。
パソコンに送っといたからデータは大丈夫だけど、現像が面倒だ。
手間を考えてうんざりしていると、おもむろに光也が近寄り、
パシャ。
「…謎のスリーショットですね。」
「なんで祐樹入ってくるの~」
「お前だけがいい思いするなんて、はらわたが煮えくりかえる。」
2人とも、舌打ちはやめましょうね。
携帯を取り返すと、すぐにわたしは
「消去、と。」
「ちょ、くるみ~!」
「なんで消すんだ!光也はなんですぐに転送しない!」
驚いた顔。こっちのほうがレアなんだよね~。
王子は爽やかに笑ったまま、辛辣は仏頂面のまま、
ほとんど表情が動かないから。
もちろんこれも、いじるふりをしてちゃんと撮影しています。
うっふっふ。いくらで売れるかな~?
「だって消さないと。怒られちゃう。」
加工の手間が嫌だというのもあるけど。
「え。」
「誰にだ?」
わたしは笑みを浮かべる。
いつも真一文字の自分の口が、弓なりにつりあがっていくのがわかる。
これがにやける、ということなんだな。
「My sweet heart.」
対外向けに表現するには、これが一番適切だろう。
「それって…」
光也がもう一度聞こうとしたとき、
「は、葉山さん。」
話題の人が現れた。
なーいすタイミングですよ。
「はぁい。」
そう言って、教室のドアからわたしを呼ぶ人にかけていく。
その勢いのまま、抱きつく。
「もう、胡桃でいいって言っているのに。…私たち、付き合ってるんでしょ?」
「お、いえ、あ……うん。」
すごい、あ行すべて言っちゃってる。
「胡桃、もしかしてそいつ。」
さすが、察しが良いですね祐樹くん。先生は嬉しいよ。
「うん、私の彼氏。」
ついでにおもちゃも兼ねてくれている彼は、隣のクラスの男子。
「委員会で一緒のとき、いちいちズキューンと来てたんだよねぇ。
殺す気かってくらい。そしたら、きのう告白してくれて。」
「く、くくくくくくるみさん!」
「『く』多すぎ。」
それ動揺しすぎでは。注意したら、すぐにしゅんとなった。
「すみません。」
かわいい…ここが学校じゃなかったら絶対おそっ
―げふんげふん。
「ふふっ。い~よ!じゃ帰ろっか。」
わたしは彼の片腕をつかみ、両手を絡ませる――要するに。彼に胸が当たる、アレだ。
あはは、顔がゆでダコのようだよ。
おっと、このまま帰るところだった。
最後の言葉は、忘れちゃいけない。
「てことで、これからは一緒に帰れないの。ごめんね!」
呆然とする2人をおいて、わたしは愛する人にぶらさがったまま、帰るのだった。
― 了 ―
友だちとね、テレビ見てた時。三角関係の幼稚園児が出てきたんです。
それで、このあとどうなるのかな~?
と話していたら、一人が
「女の子はどちらも選ばずに、他の人をとる」
と。で、生まれたのがこれです。
やばい、自分楽しみすぎた。




