~繋~
きみは不完全だ。
それは、きみ〝が〟ではなく、
この世界を完全と想定した場合に、
不完全だ。
ぼくは完全だ。
それは、ぼく〝が〟ではなく、
この世界を不完全と想定した場合に、
完全だ。
このふたつの隔たりとはなにか?
簡単だ。
きみは、世界を愛し、
ぼくは、自身を愛している。
きみには、世界を想う理由がある。
世界を悲しむ権利がある。
怒りの油田も、慈しみの源泉も、持ち合わせている。
残念ながら、ぼくにはそれが無い。
ぼくは、ぼくで在れば良い。
最たる思想も、革命の息吹も、持ち合わせていない。
どんなに需要がなくたって、ぼくで在り続けられればそれで良い――
きみが、どんなにぼくを望んだって、
それは叶わない。
世界の不完全を憂うきみと、
完全を良しとしない、ぼくなのだから。
きみは、世界のためのきみであれ。
ぼくは、きみのためのぼくであれ――
支えるよ! まっすぐに! なんて、言えれば良いさ。
でも、ぼくは卑怯だから、
世界に嫌われたくはないんだ。
例え、きみに嫌われたとしても。
――きみは、遠い彼の地の命を想う。
ぼくは、自分の人生を惜しむ――
絡み合うわけがない。
きみは世界を抱きしめようとしている。
ぼくは、ぼくは……
ぼくは、決して届かないと知りながら、
自分自身を強く抱きしめようと、
背中の後ろに回した右手と左手を、
一生懸命に、繋ごうとしているだけだ――
お読みいただき、ありがとうございました。
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【※この先は、作者による作品解説です。
自己解析・自己考察を含みます。
読後の余韻を大切にされたい方は、ここで読むのをお止めください】
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今日も世界のどこかで戦争が続き、よからぬ組織が暗躍している。
人類に平等などと言う言葉は存在せず、産まれた場所によってそのほとんどが決まる。
朝からこんな作品を書き上げる私みたいな暇人もいれば、直接的な行動を起こしている人もいらっしゃるだろう。
しかし、世界の大半は無関心だ。
無関心こそが、日本の民主主義における絶対的多数なのだ。
それでは、抗いようもない。
結局、私だってそうだ。
ニュースを見て情報を得るだけ。
画面越しに悲しむだけ。
届かぬ想いを馳せるだけ。
不条理に見て見ぬふりを決め込むだけ。
だって、仕方ないじゃないか。
学校に行かなければならない。
仕事に行かなければならない。
家事・育児・就活・終活・介護・納税……
私たちは忙しいんだ。
せめて、自分自身を愛そうと、
独りよがりに抱きしめるだけ。
そんな、作品です。




