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初めての共同任務と、最悪の連携

青雲の里を出て二時間。彼らが進む古い街道は、すぐに鬱蒼とした森に呑み込まれた。空気は湿気を含み、鳥の鳴き声だけが、重苦しい静寂を破る。

隊長のクロ先生は、松葉杖をつきながらも先頭を歩いていた。リナは精密な地図と巻物を携え、周囲の霊力の流れを分析しながら、冷静にその横を進む。

そして、後方では、二人の落ちこぼれとエリートが、火花を散らしていた。

「おい、ケンジ。お前、さっきからどんだけデカい音を立てて歩いているんだ?忍びの基本は隠密だろうが。まるで象だぞ。」タロが苛立ちを隠さずに囁いた。

ケンジは背負った荷物(ほぼ即席ラーメンの山)を揺らしながら、口笛を吹いた。「あ?俺は隠密なんて柄じゃねえよ。俺の忍道は、正面突破だ。それに、お前が俺の歩き方に文句を言うな、エリート。歩き方が気に食わないなら、お前が俺を背負って進めばいいだろ?」

「フン。お前のその重い荷物(主に食料)なんて、触りたくもない」タロは鼻で笑った。「どうせ、任務中に腹が減って動けなくなるのがオチだ。俺の火遁の燃料にもならん。」

「うるさい!」リナが低く鋭い声で二人の間に割って入った。「静粛に。あなたたちが互いに罵り合う騒音で、周囲の霊力の乱れが全く感知できないわ。私たちは今、カラス面の男が残した痕跡を追っているのよ。この里と里を結ぶ主要な街道は、彼の足取りを追うには最善の道ではないわ。」

「そうだ。リナの言う通りだ」クロ先生が立ち止まり、背後の森を指差した。「奴は一般的な道は使わない。この森の奥深く、霊力の枯れた場所を選んでアジトを築いている可能性が高い。ケンジ、お前は霊力に反応せず、ただ突進できる。タロ、お前は精密な炎で、痕跡を炙り出せる。リナ、お前は幻術で敵を混乱させる。いいか、連携が全てだ。」

先生が言い終わるか否かの瞬間、地面が揺れた。

「グルルルル...」

道の真ん中に、高さ二メートルを超える巨大な**大岩猿おおいわざる**が現れた。その体は岩と土で構成されており、霊力で固められた皮膚は銃弾すら弾くと言われている。

「くそっ、野生の霊力獣か!」タロが顔を顰めた。

「こいつは霊力が不安定な場所に出没する、厄介な生き物だ。二人とも、連携して対処しろ!」クロ先生が叫んだ。

ケンジは待てなかった。彼の血が叫んでいた。「ドカンとやっちまえ!」と。

「よし、ちょうどいいウォーミングアップだ!」ケンジは雄叫びを上げ、バッグを放り投げ、一目散に大岩猿に向かって走り出した。「見たか、エリート!これが俺の正面突破だ!」

「馬鹿か!無許可の単独行動は規律違反だ!」タロは叫びながらも、仕方なく印を結び始めた。「火遁・豪火球の術!」

タロの口から、直径三メートルの巨大な火球が轟音と共に放出された。タロの火遁は精密で威力があり、岩猿の頭部を正確に狙っていた。

しかし、その瞬間、ケンジが岩猿の腹の下を潜り抜け、その巨大な胴体を勢いよく押した。

「どけどけぇええ!」

岩猿はよろめき、タロの放った火球は、岩猿の頭上を通り過ぎ、森の木々を焦がすだけに終わった。

「テメェ、ケンジ!何をしてやがる!?」タロは怒りで顔を真っ赤にした。

「あ?避けただけだろ!せっかく俺がヤツの体勢を崩してやったのに、お前の火が当たらねえのが悪い!」

その隙に、岩猿は怒り狂い、その岩でできた拳をケンジに向かって振り下ろした。

ガァアアアアン!!

ケンジは反射的に両腕で受け止めたが、地面がひび割れ、彼は膝まで地面にめり込んだ。彼は歯を食いしばり、紫電のスパークが再び手の甲でチラついたが、まだ完全に発動しない。

霊力チャクラが分散してる!硬すぎる!」ケンジは唸った。

「二人とも、聞け!」リナの静かな、しかし有無を言わせぬ声が響いた。「あなたたちの連携不足が、この状況を招いた!タロ、あなたは攻撃を止めなさい。ケンジ、あなたはそのまま盾として維持!」

タロは不満そうだったが、リナの冷静な眼差しに押し切られた。「ちっ...わかった。」

リナは目を閉じ、素早く印を結んだ。彼女の霊力は微かだが、非常に緻密だ。

「幻術・霧隠のげんじゅつ・きりがくれのおり

岩猿の巨大な目が見開かれた。その目は、突然、濃い霧に覆われた森の中にいると錯覚した。岩猿は混乱し、攻撃の焦点を失い、その場で動きが止まった。

「幻術は一時的なものよ!ケンジ、あなたの紫電を使わず、純粋な体術で、岩猿の左足を粉砕しなさい!それがこの獣の唯一の霊力接続点だわ!」リナが正確に指示した。

「左足...霊力接続点...」ケンジは唸りながら岩猿から脱出し、言われた通りに岩猿の左足に集中した。

「そしてタロ!岩猿が怯んだ瞬間に、全霊力を込めた火遁を左足に打ち込む!絶対に外さないで!」リナが命じた。

「言われるまでもねえ!」タロは屈辱的だったが、リナの戦術が的確であることを理解した。彼は霊力を限界まで高め、口元に蒼い炎の渦を集中させた。

ケンジは跳躍した。怒りではなく、集中。彼は体術を極めた者だけが持つ驚異的な精度で、岩猿の左足の関節部をめがけて、正拳突きを放った。

ドゴォン!!

岩猿の関節が砕ける、恐ろしい音が響き渡った。岩猿はバランスを崩し、巨体がぐらついた。

「今よ、タロ!」

「火遁・爆炎のかとん・ばくえんのやり!!」

タロの口から放たれた炎は、もはや火球ではなく、全てを貫く鋭い槍と化していた。その蒼い炎は、ケンジが砕いた関節の隙間に正確に突き刺さった。

ゴオオオオオ!!!

霊力接続点を破壊された岩猿は、断末魔の叫びを上げ、全身の岩が崩れ落ち、ただの巨大な石の山へと変わった。

ケンジとタロは、互いに顔を見合わせた。全身から湯気を立て、疲れ果てていたが、誰もが認める勝利だった。

「どうだ、エリート!俺の盾がなかったら、お前の火は当たってねえぞ!」ケンジが息を切らしながら勝ち誇ったように言った。

「フン。お前の暴走をリナが止めなかったら、俺の火遁の前に、お前が潰されていただけだ」タロは顔を背けた。

リナは疲弊した様子で印を解き、二人に向かって深いため息をついた。

「...合格はあげるわ。だけど、あなたたちの不協和音は、この先、里を滅ぼすかもしれないわよ。」

クロ先生は、松葉杖にもたれながら、遠くからその光景を静かに見守っていた。

「なるほど。力は噛み合わないが、互いの隙を埋める...悪くない。だが、先は長いぞ。」

こうして、落ちこぼれチームの雷風行は、最初の戦いを、最低の連携と最高の騒音で終えたのだった。

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