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天翔の聖地へ、決戦の雷鳴

三人は、山奥深く、雲海の上にそびえ立つ**天翔の聖地てんじょうのせいち**へと到達した。古びた寺院は、夜鴉一族よるがらすいちぞくによって闇の霊力で覆い尽くされ、周囲の空気は重苦しく、儀式の不吉な霊気が満ちていた。

「もう儀式は始まっているわ...霊力の中心部へ急ぐ」リナが囁いた。

リナは、山全体を覆うような巨大な**幻術げんじゅつ**を寺院の入り口に展開し、外周の衛兵たちの目を欺いた。

タロは、隠密行動おんみつこうどうに徹し、ケンジを連れて寺院の最奥部へと向かった。

儀式の間は、寺院の地下深くに作られていた。そこは、古代の石の祭壇さいだんが中心に据えられた広間になっていた。祭壇の上には、踊り子の街のオークションで集められた古代の遺物が並べられ、禍々しい霊光を発している。

その祭壇の前に立つのは、夜鴉一族の総帥そうすい、ヤテンだった。彼は、これまで登場したどの敵よりも古く、巨大な闇の霊力を放ち、顔には夜鴉一族の紋章である三本の鉤爪の仮面をつけている。そして、その両脇には、彼らを追ってきた**影守かげもり**の姿もあった。

「夜鴉の儀式は、すでに佳境だ。遅かったな、愚かな忍びどもよ」ヤテンの声は、地の底から響くように重々しい。

ケンジは、師の仇である影守と、全ての元凶である総帥ヤテンを見て、全身の紫電しでんが燃え上がった。琥珀の勾玉まがたまが、その暴走を必死に繋ぎ止めている。

「儀式は、させない...!」ケンジは、**雷剛らいごう**を地面に叩きつけ、広間に雷鳴を響かせた。

ヤテンは冷笑した。「雷神のらいじんのうつわが、自ら餌場にやってきたか。感謝する。貴様の血脈が、我々に真の力を与える!」

「ケンジ!行くわよ!」リナが合図を送った。

決戦が始まった。

雷風行チーム vs. 影守

「邪魔だ、闇の番人!」タロは叫んだ。彼はもはや逃げる忍ではない。

タロは、これまでで最も熱く、そして精密な火遁術を放った。彼の炎は、手のひらの中で針のように鋭く凝縮され、影守の全身を覆う闇の装束の、わずかな霊力循環の隙間を狙って打ち込まれた。

「火遁・灼光の精針かえん・しゃっこうのせしん!」

「馬鹿め!炎は闇には勝てん!」影守は、影の霊力で防御したが、タロの炎は熱量ではなく光の純粋な霊力を持っていた。影守の装束の闇が、一瞬、霧のように蒸発した。

「ぐっ...!」影守は怯んだ。

リナは、即座に続く。彼女の幻術は、広間の壁を歪ませ、複数のタロとケンジ、そしてクロ先生の幻影を作り出し、影守の視覚と霊力感知を同時に混乱させた。

「闇は、光と錯覚には勝てないわ!」リナが叫ぶ。

タロとリナの連携は、クロ先生の犠牲と、厳しい修行によって完全に磨かれていた。影守は、二人の高精度な攻撃に翻弄され、防御に手一杯となった。

ケンジ vs. 総帥ヤテン

「お前の相手は私だ、小僧」ヤテンは、祭壇から一歩も動かず、巨大な闇の霊力を放出した。

「お前らが、里を襲い、先生を...!」ケンジの怒りが頂点に達したが、彼はそれを暴走させなかった。琥珀の勾玉の錨が、彼の意識を繋ぎ止める。

「俺は、お前の道具にはならない。この力は...俺の意志だ!」

ケンジは、雄叫びを上げると、雷剛に全力で体重と衝動を乗せた。肉体と血脈が一つになり、雷剛全体が、巨大な紫の刀のように輝いた。

「雷剛・怒涛の天衝らいごう・どとうのてんしょう!!」

ケンジは、祭壇を破壊するためではなく、ヤテン自身を狙って雷剛を振り抜いた。それは、大地を砕く純粋な衝撃波だった。

ヤテンは、冷酷な笑みを浮かべた。彼は、両手を祭壇にかざし、古代の遺物に霊力を流し込んだ。

「禁忌・嵐の招来きんき・あらしのしょうらい!」

祭壇から、壁画にあった竜のような形をした、巨大な風と霊力の渦が放出された。ケンジの紫電と、ヤテンの風の霊力が、広間の中心で激突した。

ガアアアアアアアン!!!!

広間全体が、凄まじい衝撃波に揺さぶられた。タロとリナは防御に徹し、影守は衝撃に吹き飛ばされた。

ケンジの雷剛は、ヤテンの風の霊力を突き破り、祭壇の核へと直撃した。

バキャァァァァァン!!

古代の遺物からなる祭壇が、雷剛の破壊力によって粉々に砕け散った。儀式に必要な霊力の流れは完全に断たれた。

「ち...ま、まさか...!」ヤテンの顔に、初めて動揺の色が走った。

儀式は失敗した。しかし、祭壇の破壊は、制御不能となった古代の霊力の暴発を引き起こした。寺院全体が激しく揺れ、壁に巨大なひび割れが走る。

「儀式は阻止したが、寺院が崩壊する!」リナが叫んだ。「逃げるわよ!」

ヤテンは、崩壊する天井を見上げながら、不敵な笑みを浮かべた。

「小僧...我々の儀式は失敗したが...貴様の血脈は、既に完全に目覚めたぞ。制御不能な力を、一人で抱えて生きるがいい...。この世界が、貴様を怪物と呼ぶ日を、待っているぞ!」

ヤテンは、闇の霊力を使い、崩壊の隙間から影守を連れて、急速に地下へと姿を消した。

ケンジは、雷剛にもたれかかり、荒い息を整えた。体内の紫電が、以前とは比べ物にならないほど強力に、そして激しく脈打っている。儀式は阻止したが、ヤテンの言葉が、彼の心を深く刺した。

「ケンジ!ぐずぐずするな!」タロが駆け寄り、ケンジの腕を引っ張った。「逃げるぞ!先生の犠牲は、ここで終わらせるな!」

三人は、崩れ落ちる寺院を後にした。夜鴉一族の目論見は阻止されたが、彼らの闘いは終わっていなかった。ケンジの血脈は完全に目覚め、彼は世界中を巻き込む嵐の心臓となったのだ。

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