落ちこぼれと「不具」の拳
炎天下の夏の日差しが、青雲の里の忍者アカデミーの訓練場に容赦なく降り注ぐ。空気は汗と土埃、そして極度の緊張感で張り詰めていた。今日、十六歳の若者たちにとって最も重要な日――卒業試験である。
何百人もの訓練生が整然と並び、皆、清潔な道着を身にまとい、額には里のシンボルである青い雲の鉢金が巻かれている。彼らは小声で囁き合いながら、こっそりと印の結び方を復習していた。
ただ一人を除いて。
列の最後尾で、まるで雷に打たれたかのように逆立った黒髪の少年が、なんと居眠りをしていた。口元にはよだれが垂れ、彼はすやすやと寝息を立てながら、時折、口をくちゃくちゃさせ、「もう一杯...もう一杯だけ焼き豚ラーメンを...」と寝言を呟いている。
「ケンジ!いますぐ起きなさい!」
クナイほどの速度を持ったチョークの塊が、空を切り裂き、少年の額に突き刺さった。
「痛っ!」ケンジは飛び起き、額を押さえながら、目をこすって周囲を見渡す。「敵襲か!? どこだ!ぶっ飛ばしてやる!」
訓練場全体が一瞬静まり返った後、すぐに爆笑の渦に包まれた。
顔に傷跡があり、火のように気の短い監視官のクロ先生は、手に残ったチョークの粉を握りつぶしていた。
「ケンジ、ここは卒業試験だ、ラーメン屋ではない!お前が最後だ。すぐに前に出ろ!」
ケンジは頭を掻き、全く恥じる様子もなくへらへらと笑った。彼は帯を締め直し、まるでカニのようなぎこちない足取りで試験台へと向かう。
「よし」クロ先生は、訓練場の中央に置かれた巨大な花崗岩を指差した。岩の上には赤い魔方陣が描かれている。「今年の課題は単純だ。五大元素(火、水、土、風、雷)いずれかの忍術を使い、この岩に傷跡を残せ。ひびが入れば合格。そうでなければ...」
クロ先生は目を細め、凄まじい殺気を放った。「...お前は三年連続で留年し、この学校の恥ずべき歴史の中で最も偉大な記録保持者となるだろう。」
下の訓練生たちはまたしてもクスクスと笑い始めた。
「あの『木の腕』ケンジにできるなら、豚だって木に登れるぜ。」
「一番簡単な子の印すら、鶏がうずくまったような形にしちまうんだ。何を期待しろってんだ。」
ケンジはそれらの言葉を無視し、岩の前に立った。彼は深く息を吸い込む。実際、彼の心臓はドキドキと激しく鳴っている。誰よりも分かっている。自分には霊力がないことを。体内の経穴は固く閉ざされた扉のようで、エネルギーの欠片も外に漏れ出せないのだ。
「でも、じいちゃんと約束したんだ」ケンジは心の中で呟き、その瞳に決意が宿った。「俺は偉大な忍者になってやる。たとえ俺だけのやり方でやるとしてもだ。」
「始め!」クロ先生が叫んだ。
ケンジは気合を入れるように叫んだ。「はぁあああ!」
彼は印を結び始めた。
両手を重ね合わせる。
人差し指を親指に引っ掛け、小指を中指に巻きつける。
「カチッ!」という乾いた音が響いた。岩がひび割れた音ではない。ケンジの指が捻じれた音だ。
「ぐぁあああ!指がつった!先生、指がつりました!」ケンジは片足で飛び跳ね、両手は絡み合った電線の束のようになり、顔を苦痛に歪ませる。
訓練生たちは腹を抱えて笑い転げた。クロ先生は額を押さえ、心底うんざりしたように首を振った。「もういい、ケンジ。降りなさい。お前の不合格...」
「待て!」
ケンジは大声で叫び、全身から汗が噴き出した。彼は絡まった指をほどこうと、歯で自分の腕を強く噛んだ。「まだ...まだ終わってない!」
「霊力がないんだ、ケンジ。現実を受け入れろ」クロ先生はため息をつき、その口調にはわずかな同情が混じっていた。「忍者だけが道じゃない。鍛冶屋になるか、それとも...ラーメン屋にでもなりなさい。」
その言葉は、冷たい水のようにケンジの顔に浴びせられた。ラーメン屋?絶対に嫌だ!
ケンケンジの胸の中で、激しい怒りが燃え上がった。それは単なる怒りではない。熱く、ビリビリとし、そして...痺れるような感覚。彼の心の奥底から、奇妙なエネルギーが脈動し始めた。それは経穴を通らず、血管を直進し、まるで目覚めた竜のように渦を巻く。
「俺は...合格する!」
ケンジは吠えた。印を結ぶ代わりに、彼は右の拳を強く握りしめた。これまでの全ての力、全ての屈辱、全ての渇望を、その一撃に込めた。
「あいつ、素手で花崗岩を殴るつもりか?」ある訓練生が驚いて声を上げた。
「腕が折れるぞ、絶対に!」
ケンジは気にしない。彼は腰を回し、勢いをつけ、そして正拳突き(せいつき)を放った。
ケンジの拳が岩の表面に触れた瞬間、時間が止まったかのように感じられた。
ケンジだけが感じた。髪の毛ほどの細さの、小さな紫黒色の稲妻が、彼の指の関節をかすめて閃いたのを。
ドォン!!!
耳をつんざくような爆発音が響き渡り、土埃が視界全てを遮った。小さな衝撃波が広がり、最前列の訓練生たちは顔を手で覆わなければならなかった。
「な、なんだ今の音は?爆弾か?」
「あのバカ、こっそり爆発札を使ったのか?」
埃が晴れたとき、全員が口をあんぐりと開けた。クロ先生の顎は、地面に届きそうなくらい下がっていた。
巨大な花崗岩はそのまま残っていた。砕けてはいなかった。
しかし、岩の中心、ケンジの拳が触れた箇所には、前面から背面まで貫通した丸い穴が開いていた。その縁は滑らかで、恐ろしいほどの熱で焼かれたように赤く焦げ付いている。
ケンジは肩で息をしながら、そこに立っていた。彼の右腕からは湯気が立ち上り、道着の袖は焼け焦げ、鍛錬による小さな傷跡だらけの引き締まった腕があらわになっていた。
彼はクロ先生を振り返り、白い歯を見せてニヤリと笑った。
「先生...これで『傷跡を残した』ことになりますか?」
訓練場は水を打ったように静まり返った。誰ももう笑おうとはしなかった。彼らは岩の穴を見て、そしてケンジをまるで怪物のよう見つめた。あれは忍術ではない。それは、何か恐ろしいものと結びついた純粋な暴力だった。
クロ先生は唾を飲み込み、眼鏡を直した。彼はケンジの目深くを見つめ、それから震えるケンジの腕に視線を落とした。彼は呟いた。「雷遁?いや...印がない...まさか...」
彼は咳払いをして、厳格な表情を取り戻そうとした。
「コホン!うずまきケンジ(いや、姓が違う)...ヒムラ・ケンジ!」
ケンジは直立した。「はい!」
「お前のやり方は...極めて非美的で野蛮であり、標準的な忍者のカリキュラムから完全に逸脱しているが...」クロ先生は少し間を置き、珍しく口元に笑みを浮かべた。「...しかし、結果として岩は深刻な損傷を受けた。お前は...合格だ!」
「やったー!」
ケンジは飛び上がり、天地を揺るがす勢いで叫んだ。彼は訓練場を走り回り、呆然としている友人たちとハイタッチしようとした(が、彼らは怖がって手を引っ込めた)。
しかし、ケンジの喜びは長くは続かなかった。
突然、晴天だった空が暗くなった。冷たい風が訓練場を吹き抜け、生臭い血と錆びた鉄の匂いを運んできた。青雲の里の旗が激しく揺れる。
アカデミーの門の上から、一つの黒い影が現れた。彼は破れた黒いマントを纏い、顔にはカラスの頭蓋骨の形をした仮面をつけている。彼は門の頂上に立ち、下の訓練生たちをまるで蟻の群れのように見下ろした。
「青雲の里よ...」彼の声は、金属がガラスを引っ掻くような、耳障りな低い声だった。「**『嵐の心臓』**を引き渡せ。さもなくば、この場所を更地にしてくれる。」
教師たちは即座に構えを取り、クナイと手裏剣を引き抜いた。クロ先生は叫んだ。「全訓練生は後退しろ!隊列を維持しろ!」
ケンジはよそ者を見上げた。彼の心臓がズキッと痛んだ。体内の血が再び沸騰し始めた。今度は先ほどよりも激しく、まるで相手の存在に...応えているかのように。
カラスの仮面の男は目を細め、その視線はケンジの場所で止まった。彼は不気味に笑った。
「見つけたぞ。匂いは濃厚だ。」
ケンジはぞっとした。彼は感じた。自分の楽しい卒業の日が、公式に悪夢へと変わったことを。
「おい、そこのクソ鳥ジジイ!」ケンジは足が震えているにも関わらず、口だけは達者で、男を指差した。「あんた、俺の卒業式を台無しにしやがったな!合格するのに三年もかかったって知ってるのか!」
謎の男は首を傾げ、殺気を爆発させた。
「面白い。その大きな口がいつまで利けるか見てみよう。」
彼が手を挙げると、空には黒い渦が出現し始めた。
偉大なる落ちこぼれ、ケンジの冒険は、そんな最悪の一日から始まったのだった。




