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我らは生徒会!  作者: イチバ
第1年 全員停学
6/7

第Ⅵ話 パトリオット戦車戦

戦車戦を開始したとはいえ、非常にこれは、パトリオットからすると難題だった。

戦車をまともに保有していなかったパトリオットは急遽戦車を購入したはいいものの、その資金はパトリオット・シンジケートの金である。生徒会による鎮圧にて資金が減らされ、購入できたのは安い訓練用機数機だったのだ。サン・シャモン突撃戦車は過去に秋の歌女学園という高校から中古で購入したもので、銃以外は未改修。ここまで来ると、もはや貧乏としか言いようがない。

パトリオットは、闇が深いのだった。


マップは第一次世界大戦のような砲弾クレーターが大量にある場所。実際の戦闘を想定しているのか…。とはいえ、このマップは俺らにとって有利。


「前方!敵戦車!」

「側面をとったぞ!」


クリスティーM1928の特徴は圧倒的な機動性。速度も走破性も高く、側面を取りやすかった。つまり、クレーターや丘に隠れながら素早く側面を取れる。

だが、注意すべきことは装甲。厚くても最大13ミリ程度。旧型のサン・シャモンにも余裕で抜かれてしまう。


「撃て!」

「はい!」


照準器を合わせ発射。命中し貫通した。


<Bチーム1両大破>


無線から判定が出た。このまま他の奴らも撃ってやる。


<Aチーム2両大破>


味方が2両やられた。さすがにそう上手くはいかないようだ。


「無理に行くなよ」

「分かってます」


後退し別の路を進もうとしたその時、サン・シャモンの75mm砲が命中。履帯が外れた。


「履帯を撃たれた!」


俺は砲旋回を急ぎ照準を合わせサン・シャモンに向かって発射。正面装甲を貫いた。


<Bチーム1両大破>


「履帯を外す!援護してくれ!」


操縦手が工具を持ちハッチを開け外に出た。俺は照準器を除き砲旋回をしながら辺りを見回し、戦車長は双眼鏡を覗く。


「まだか?」

「そんな早くできるか」


念の為説明しよう。クリスティー式と呼ばれるこのサスペンションは履帯、つまりキャタピラがなくてもホイールで走ることができるのだ。とはいえ自動で外れるわけではなく手動で、工具を使いボルトやピンを外さなくてはならない。外し終わった履帯は何かで結んで車体にくっつけるか放置するかの2択。


「終わったぞ!」

「よし!出発する」


この修理をしていた時間の間、2対3まで試合は進んでいた。味方も敵もどこにいるかわからない状態で、慎重に進むことになった。


「見えないな…」

「サン・シャモンはエンジン音が静かですからね…」


サン・シャモンは世界初のハイブリッド車である。そのため、他の戦車と比べてエンジン音は静か。待ち伏せの可能性も少なからずあった。


<Aチーム1両大破。Bチーム1両大破>


無線から相打ちの連絡が入った。これで1対2。


「…見えた!11時方向!背を向けてるぞ!撃て撃て撃て!」


照準を合わせ発射。サン・シャモンに命中する。


<Bチーム1両大破>


これで1対1…。


バゴンっという衝撃音が聞こえ、車体が大きく揺れた。


<Aチーム1両大破>

<戦闘終了。戦闘終了>


エンジンを撃たれたのだ。火災が発生し、急いで俺らは車両から出た。消火器を持った審判員達が駆けつけ消火。この試合は俺達の負けとなった。



「くそーっ!惜しかったのに…」


生徒会室で俺は嘆いた。


「確かに。でも点数は良かったんだろ?なら上々じゃないか」


確かに。点数はA+。搭乗員との見事な連携、外すこともなかった射撃は評価された。ただ、悔しいっ!


「朝山はどうだった期末…」

「あー…俺か。数学赤点だった」

「マジで?」

「油断しすぎた…」

「夏休みどうなんの?」

「補修行きだよ…めんどくさい」


朝山は昔から頭が良かった。常に高得点だったし、俺より上の学科(コース)に入学できていた。なのに、数学が赤点…珍しい。

とりあえず、期末テストを無事乗り越えた俺は安堵していた。


期末テストが終わると何があるか。

待ちに待った夏休みである。ちなみに赤点は補修の場合がある。

そして、生徒会には再び大仕事が始まるのだ。

文化祭の準備である。

文化祭での生徒会の仕事は5つ。

①企画書確認

②異装届確認

③生徒会の出し物決め

④パンフレット確認

⑤役割決め

1つずつ紹介しよう。

企画書確認とは、各部活の文化祭の出し物についてが書かれた書類の確認。不適切なものはないか、記入ミスがないか、提出していない部活はないか。これを確認しなければ文化祭当日で大混乱を引き起こすため非常に重要である。

異装届確認。コスプレの許可証を確認する。そのコスプレがコンプラ的に大丈夫かが一番確認されるところ。かなりヤバいコスプレをすると来校者からのクレームがあるからである。企画書と異装届確認は生徒会の人が預かり、実際に確認するのは文化祭実行委員長と生徒会顧問である。

生徒会の出し物決め。そのまんま。ちなみに生徒会も企画書を出さなければならない。

パンフレット確認。文化祭実行委員が作成したパンフレットを確認する。不適切ではないか、記入ミスはないか、印刷ミスはないか。また、生徒会長の言葉を記入する場合もある。

役割決め。文化祭当日、生徒会は実行委員や風紀委員と協力して受付をしたり、巡回をしたりしなくてはならない。よくあるのが小さな子の迷子と不審者対応である。迷子はまだしも、不審者対応は先生と協力しなくては非常に危険である。(イチバ)の高校にも不審者出没はたまにあるという。ちなみに不審者対応の先生は、ヤ◯ザみたいな見た目の先生や高身長、筋肉モリモリマッチョマンの先生だ。

※学校で異なる場合があります。


「受付やりたい人ー」

「じゃあ私やるー」

「じゃあ私も」

「受付は愛媛ちゃんと加藤ちゃんで決定。パンフレット確認は誰やる?」

「あい」

「川門パンフレット確認よろしく。それ以外の人は巡回ねー」


こうして、生徒会の夏休みは始まるのだ。

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