第1年後編 第Ⅲ話 生徒会内戦
選挙で教師陣が恐れるのは公約ではない。生徒会内の分裂である。
「新渡戸先生。生徒会の方は大丈夫ですか…?」
「それがちょっとまずいんですよね…宥めてはいるんですが…」
生徒会では高峰と朝山が口論になっていた。応援演説者の取り合いが原因だ。
「いいや!俺が貰う!あいつは幼馴染だ!信頼もある!」
「高峰!応援演説者は仲の良さや過去じゃない!内容が全てだ!」
応援演説者の名前は天城 汐恩。同学年で男っぽい性格を持つ文系女子だ。高峰の幼馴染。朝山とは同じクラスの関係にある。
「もう3年生は生徒会来ないしどうしよう…」
この喧嘩に愛媛と加藤は悩んでいた。
3年生は2週間後にAOを控えており、選挙当日が最後に来る日。それまでは勉強状態で来ないのだ。2年生の川門も英検を控え来ていない。
つまり、今は1年生のみ。
「…最終手段使おう」
「最終手段?」
加藤がとある場所に向かって走っていき、愛媛も気になってついていく。
口論が止まらない中、加藤と愛媛はとある人物を連れてきた。
天城ご本人である。
「ストップ!」
その声に2人は息切れをしながら止まる。
「天城…?」
「何をしにここに…」
「2人を止めるため!私のいない所で何してんだよ…」
呆れながら天城は2人を見つめた。
「そんなに喧嘩するなら私どっちも応援演説しないよ?」
「うぐ…」
「当たり前じゃん!確かに選挙は大事だけど、君ら当選の事しか考えてないじゃん。会長って生徒代表でしょ?なら、もっと他の人のこと考えたら?私だって2人いるわけじゃないんだし…」
まるで母だ。あんなに3日間以上喧嘩していた2人を鎮めた。
天城の話が終わると、後は自分達でなんとかしなと帰ってしまった。
「ごめんね天城ちゃん…忙しいのに」
「いいっていいって。あの2人が喧嘩してるとこなんて見たくないもん。朝山はいつもクラスの中心で頭もよくてさ、頼りになるし、高峰は、頭がめっちゃいいわけじゃないけど、誰よりも私を理解できて笑わせてくれる。私にとってあの2人は羨ましい。生徒会が憧れで入ったあの2人は、そのまま自由に楽しく生徒会をして、私の憧れであってほしいしさ」
天城の純粋な願いに加藤はウルッとしてしまった。
「天城ちゃん…素敵な平和主義者すぎるよ…」
生徒会室で、2人は反省していた。確かに、周りのことを考えていなかったと感じた2人はそれも視野に入れ、とあることを血行する。
「…すまん。熱くなりすぎた」
「こっちもちょっと言いすぎた…ごめん…」
「…でも、天城は譲れない」
「…朝山。わかった。ここは1vs1と行こう」
射撃訓練場に行き、生徒会が貸し切ると2人は配置についた。天城をどちらが手に入れるのか。
<よーい、スタート!>
愛媛の合図で2人がスタート。ステージは木の板で作られた迷路。狭い通路や部屋の中を想定している。
使う武器はM1911のみだ。
あいつに近接戦は効かない。合気道の技で吹っ飛ばされるに決まってる。とはいえ、俺は銃が得意じゃない…。完全に俺の不利だが、戦略でなら勝負に出れるはずだ。
高峰が選んだのは待ち構え。視覚を利用しクリアリングをしてくる朝山を狙い撃つつもりだ。
一方、朝山はこう考えていた。
あいつは近接戦はしてこない。俺が合気道をしているのは知っている。とはいえ、距離があるとあいつは当てられない。スピードで近接戦に持ち込むしかないか。
上から愛媛と加藤は見ていた。ちょうどそこに川門先輩も現れる。
「あれ?川門先輩?」
「なんか今面白いことしてるらしいから来ちゃった」
「テスト明後日ですよね…?」
「でもこれ見逃したら絶対後悔するだろ」
朝山が素早くクリアリングをしている最中、高峰は素早く背後に周り、発砲するが外れた。
「そこか!」
朝山は走って距離を詰めていく。
高峰の背中が見え、発砲するが間に合わず隠れられた。
「逃がさないぞ高峰…」
ゆっくりと前に進み、角を曲がるとバッタリと高峰と出会う。
早撃ち勝負だ。
「ジャム!」
「玉詰まりか!」
2人同時にハンドガンは玉詰まりを起こす。朝山は別の路に飛び込み逃げ出した。逃げながらコッキングし弾を正確に送り込む。
「はぁ…はぁ…クソッタレ…」
再び高峰を探し始める。
例え待ち構えられていようが構わない。素早く技を使えばいいだけだ。
飛び出て周りを確認するが高峰はいない。
どこへ行った…走った足音もしなかったはず。そう遠くには行っていない。
そこだ朝山。そこがベストポジションなんだ。
高峰の作戦に朝山は掛かった。
バンバンバンバンッと、ペイント弾が朝山の頭に1発命中した。
「…上…だと…」
高峰は両足と片手を使って体を固定し、もう片方の手でピストルを制御し命中させたのだ。
「…一本取られたな」
勝負あり。練習場からビーッと試合終了の合図がなった。
「面白い試合だったぞ2人とも」
「川門先輩…」
「だが2人ともまだまだだ。朝山。お前は合気道に頼りすぎたな。接近戦を仕掛けすぎたが故にトラップに引っかかった。高峰。お前は射撃の腕が下手すぎる。あの1発もまぐれ同然。もっと練習しろ。あと2人とも銃の整備しなさすぎ。だから弾詰まりなんて起こすんだよ」
川門先輩からのアドバイスを聞き、俺らは頭にインプットする。確かにと思わせるアドバイスは、ちょっと心に刺さった。
結果、天城は俺の応援演説者となり、俺らのバトルは幕を閉じた。




