07 村長確保
やっぱり。罠を張るための金は殺した冒険者から奪い取ったものか。
「こんにちわ〜、村長さん」
「な、なぜだ?なぜ網にかかっていない__ラビットフット?お主ら冒険者の分際で騙したのか?!」
「るっせぇじじぃ!死んで償えやぁ!」
「待てナルシスト!展開が早すぎるぞ」
その冒険者に追い詰められてるのはどっちなんだか。
「ね、じいさん。ボケてるんなら村長辞めたら?むいてないよ」
「あぁ?儂はボケとらん。やはり冒険者は乱暴じゃな急に喧嘩うってきやがって__」
「じゃあ、どうしたらゴブリンの村をゴブリン30体と見間違えるのかなぁ?私には理解できないや!」
「ふん!知るか。だからなんじゃ?謝ればいいのか?」
「おいじいさん。あまり舐めた真似すんなよ?お前なんて私の気分一つで塵と化す事を覚えとけ」
口の利き方を考えろよ、と耳元で囁くと村長さんは腰をぬかした。
目上の人との会話はちゃんと考えなきゃ__ね?
「村長さんは冒険者ギルドに連れて帰ろっか。しっかり罪を償ってもらうよ?……分かった?」
顔を青ざめながら必死に頷く仕草は実に滑稽だ。
「あと、最後に聞くよ?……今まで人を何人殺した?何知らぬ顔で何人死地に送り込んだ?」
「そ、そんなの覚えとらん!それより、この事を見逃してはくれないか?老い先短いんじゃ。な?金なら出せるだけ出す__」
「村長さん。二度目の忠告だよ?相手を見て物を言ってね?次その口開いたら__」
「殺すぞ?」
「……カノン、さすがに殺してはダメだ。此奴の罪は国に任せよう」
「あぁ、俺もそのチビの意見に賛成だ。死んだほうがマシだと思わせる処置を国にしてもらえば良い。さすがに殺すと世間の声が厳しいからな」
本当に2人がいてくれてよかった。
このままだったら村長は__。よかったね、村長。2人のおかげでまだ生きれるよ?
「じゃあギルドに帰ろっか。皆、私に寄って、転移魔法で帰るよ。」
「ちょっと待て。大事なことを忘れてねぇか?」
「……?いや、何も忘れてないと思うけど」
「リーダー決めだ」
あー、確かに。
ゴブリンとか色々な事あって忘れてた。
「もうカノンで良いんじゃないか?今回はカノンが活躍していただろう」
「おいチビ。ちょっと黙れや」
「チビとはなんた、チビとは!」
正直、今回のクエスト私がMVPだと自負しているだが。もう、私しかいないでしょ。
「俺なりに考えてみた。……この3人で手合わせして一番強かったやつがリーダーだ」
「え、なにそれ。めっちゃ面倒くさい。嫌だよね、アリス?」
「なんだそれ!楽しそうだな!よし、やろうではないか」
あれー?アリス乗り気じゃん、あれー?
さっきまで私で良いとか行ってたじゃん、アリスの嘘つき。
ま、私も2人の強さ気になってたし丁度いいか。
「する場所はどうするんだ?……冒険者ギルドの訓練場は__」
「「……」」
「なぜ2人とも無言なんだ?」
「いやー、そのー、私、訓練場破壊常習犯なんで」
「右に同じだ」
「なに、奇遇だな!私もだ」
このパーティーやべぇぞ。
「てか、それを踏まえて何でてめぇは訓練場を勧めたんだよ」
「そこしか思いつかなかったんだ、仕方ないだろう」
「……待って、ここ田舎だから地形変わる程度だったらバレないんじゃね?」
「たしかに!カノンは頭がいいな」
「じゃあそこら辺でやるか」
確か、来る途中にいい感じに開けた場所があったな。
「あのー、お願いですので村から離れたところにしてください」
村に被害が及びますので__。さっきまでの威勢はどうしたやら村長がかぼそい声でつぶやいた。
正直、村長が捕まったらそれなりに村の評判悪くなるから、今更被害を考えることもないと思うけど。
「じゃあやるかー。久しぶりに対人戦だー」
「あぁ、楽しみだ。地形が変わりすぎると怒られるからな。気をつけねば」
「お前ら、死んでも文句言うなよ」
「死んだら文句は言えないだろう。君は馬鹿か?」
「あぁ?!誰が馬鹿だチビ!」
「誰がチビだナルシスト!」
「はい、はい。そこのケンカップルは静かにしようね」
「「ケンカップルではない/じゃねぇ!」」
やっぱ仲いいな、こいつら。
「対人戦で地形が変わるって何__?」
お願い村長、そんな化け物を見る目で私達を見ないで。
今日で1週間毎日投稿を終了させ、毎週金曜投稿に変えていこうと思います。
これからもこの作品を読んでくれると嬉しいです。