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028 アリスvsプラン(続)


「ハァッ__ハァッ__。ッ大分体力が削られているのではないか?」

「それはッ、ハァハァ__、お互い様ではありませんかッ?」


 戦いも、もう終盤。もうあと少しでこの戦いは終わる。

 アリスはこのままいけば負ける、そんな確信があった。

 現に、プランは腕から血を流しているほかに目立った傷はないがアリスは先の戦いで雷を直接受けたため、体のあちこちに切傷ができ、血で染まっていた。


 ダメージならば差異はないのかもしれないが、あまり動くことのないプランと重い戦斧をもって素早く動き回るアリスにとっては、今の状況はあまり好ましくない。


 次が最後の一撃。

 次が決まるか決まらないかでアリスの勝敗が決まる。


「来てくれ、《ワイドキング》!」


 地鳴りと共に巨大な影が現れる。

 死霊を司る王__ワイドキング。


「カフェから見ないなと思っていたんです。それで、ワイドキングを召喚して何を?まさか共闘でもしますか?」

「まぁ、そんなところだな!」

「……まさか」

「あぁ、そのまさかだ」


合体(ユナイト)


 次の瞬間、ワイドキングが眩い光に包まれる。

 それはやがて少しずつ小さくなっていき、アリスの胸元へ引き寄せられ吸収されていった。


 胸元から紫色の禍々しいオーラがでてきて彼女を包み、その姿を変えていく。

 オーラが晴れていくごとに変化したアリスが徐々に見えてくる。


 ワイドキングの肋骨はアリスの上半身を守るかのようにその形を具現化した鎧となり、腕と足の骨は力の流れとなって全身を巡る。


 アリスはその鎧の下にワイドキングを感じさせる淡い紫のドレスを着ており、胸元が開いている。

 普段の子供っぽいアリスからは感じることのない魅力がそこにはあった。


 普段の桜色のポニーテールは毛先にかけて紫のグラデーションにそまってゆく。

 その頭上にはワイドキングがつけていた王冠と比べると、小さめの王冠を斜めに被っている。


 戦斧もまた変貌する。

 刃の内側には骸骨の意匠が刻まれ、紫の光が脈打つように流れている。


 変貌前の戦斧は威圧的な戦斧だったが、今はそれに禍々しさが追加されていた。


「すごいな__。ワイドキング!共に戦うぞ!」


 骸骨王の魂を宿した可憐な戦士が、堂々と前を向き、その目はプランを捉えていた。


「まさか……ワイドキングと《契約》していたとは知りませんでした」

「あぁ、恋バナしている内にワイドキングから契約を持ちかけられたのだ」


 契約すればすぐに召喚できて恋バナをもっといけるからな、と嬉しそうにアリスは語る。


 話が終わると2人は向かい合う。


 次の瞬間、プランの周りに先ほどとは比べ物にならない量の魔法陣が展開される。

 魔法陣には、比べ物にならないほど魔力が込められているようだった。


「これで終わらせます。この技はつい最近開発したばかりの技なんです。見せるのは貴方が初めてですよ」


 そう宣言すると、プランは宙に浮いた。


『レギオン・ブレイカー』


 空が暗転し、魔法陣から無数の光が発射される。

 それは今からおこる魔法の恐怖を打ち消すかのような、とても__とても綺麗な流れ星のような魔法だった。


 それが一つ、また一つと重なり最終的には一つの光線となっていた。


「勝負!」


 アリスはそれを見て踏み込む。

 一筋の光に向かって飛び込んでいき、戦斧を振りかぶる。

 自身の最後の力を全て使った渾身の一撃。


『終式・桜天』


 アリスの最終奥義。


 アリスは戦斧を天に掲げ、全身の力を刃へと注ぎ込んだ。


 踏み込みと同時に戦斧が振り下ろされる。桜色の衝撃が刃をつつみ、彼女の闘志そのものが形を持ったかのように迸った。


 光線と戦斧が正面から衝突する。

 瞬間、轟音が周囲の耳を劈いた。

 光と鋼が噛み合い、衝突波が円となって大地を抉る。


 光線の魔力がアリスを押しつぶそうと迫るが、歯を食いしばりアリスはさらに踏み込んだ。


 桜天の一撃は退かず、砕くための力。そう、心の中で己に説く。


 「うぉぉぉぉぉお!!!!」


 刃が振り下ろされる。渾身の1振りの衝撃波が天の光を真っ二つに断ちながらプランに迫る。


 爆光が辺りをつつみ込み、それが散った時には辺りの暗闇はもとに戻っていた。


 プランはフラフラとおぼつかないが、宙から地面に、足をつく。

 どうやら、ギリギリのところでカノンが身体強化を施したようだった。


 光線を断つことで減速した斬撃波はプランに莫大なダメージを与えたようだが、やはり身体強化が良かったのだろう大事には至らなかった。


 プランは地面に倒れ込み、疲労と魔力切れで起き上がれないようだった。

 アリスも疲労と蓄積したダメージが体力を蝕み、倒れた。


 この戦いは引き分けか__そう思った矢先、アリスの腕が立ち上がろうと力んでいる。


「ぅゔ……」


 うめき声を上げながらも立ち上がろうとする姿にはこの戦いの勝利への執念か感じ取れた。


 身体をつんざくような痛みに耐えながら、上半身を起こし、足に力を入れて立ち上がる。

 立ち上がった反動でまた倒れそうになるが、倒れまいと踏みとどまる。


 そして、プランが倒れている所へとゆっくり、ゆっくり、歩みを進めていく。


「私の、勝ちだな」

「……貴方最後、私を殺す気だったでしょう。カノンが身体強化を施してくれなかったら死んでいたかもしれませんよ」

「すまない、力の加減を忘れてしまっていた。しかし、それをいうならお互い様ではないか?」

「そうですね、あの光線が直撃していれば貴方が死んでいたかもしれませんね」


「__良い勝負だった」

「えぇ、本当に」


 そういい終わった2人の間には静寂が広がり、アリスの勝利をプランは黙って受け入れた。

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