023 茶番
「おい、ケガしても知らねぇぞ」
「え、レディに怪我させるの?」
「……レディ?どこに__」
「唐突だけど、今私の辞書から手加減って文字が消えた」
さっきまでの狐に摘まれたような顔はどこに行ったのだろうか。
よくよく思い出してみたらノエルって戦闘狂だったので不思議無ことではないな、と改めて再認識。
ちなみに、被害がでると困るので只今魔界に来ている。ここなら、多少ぶっ壊しても土地は再生するので訓練や戦闘訓練に最適だ。
それはさておき、(ノエルとアリスはともかく)なぜ私がわざわざ全員を転移させなければならないのか。
人数が増えると、魔力消費量が比例して、増えるからやめてほしい。プランとサーナは使えるだろ。
「じゃあこのコインがおちたら開始ね」
そしてなぜ私が審判をするのだろうか。
そう不満に思いながらコインを投げる。
カンッ__。
コインからでたとは思えない耳をつんざくような音にその場にいた全員が疑問の声を上げる。
「あ」
「むっ」
「あら」
「は?」
「え!」
私がコインを弾いた瞬間、あり得ない速度でコインは空に向かっていった。
人って本気出せばこんだけ飛ぶんだなぁ、ちょっと感心。
「おいカノン、てめぇ!何飛ばしてんだよ」
「いや、投げるって行った時に何も言わなかったのはそっちじゃん、つまり私悪くない」
「投げると飛ばすは違ェ!」
いやぁ〜、怪我したくないから避けられるように身体強化かけまくってたの忘れてた、ごめんね。
こりゃコインどっか行ったな。
探しに行くのが面倒くさそうだ。
「__どうする?」
「私が投げます。まったくカノンは仕方ないですね」
そう言いながらコインを投げるプラン。
「あ、ちょっと待ってプラッ……」
カンッ__。
言わなくても察するだろう。多分私が投げたよりも飛んだのではないか。
なーにがカノンは仕方ないですね、だ。
「ダサッ笑」
「今、何かいった?」
「いえ、なんでもないでっす!」
ゴミをみるような目で凄まれたので、無意識に答えてしまっていた。怖いね。
多分プランのために作られたと思うんだ、この言葉は。そう、化けも……。これ以上言おうとするとなぜか寒気がしてくる。
世の中には言わない方がいい言葉というものがあるのさ。
「__いい判断だと思いますよ」
そう言ってニッコリと効果音がつきそうな微笑みを見せるプラン。
なんの事かは考えないようにしておこう。
そう、それが長生きのコツなのだ。
「で、どうする?」
「しょうがないな!私がやろうではないか」
「え?」
「む?なぜそんな不安な目でみるんだ!これでも力加減は得意なんだぞ」
まぁ、アリス以外に任せられる人もいないので任せるしか選択肢はないのだが。
「じゃあ……任せた」
「任せろ!」
フンッ__と気合いをいれるアリス。お願いだから飛ばさないでくれ。コインと言ってもお金なんだ。
わたし、今金欠なんだ。そしてプランが投げたお金、なぜか私の財布から取られたやつだし。
今も尚、なんの違和感もなく私の財布からお金を取ってってるじゃん!
最低でも2枚無くなってるんだけど。
「アリスをそんな子に育てた覚えはありません!」
「いや、カノンの子ではないのだが」
ツッコミながらもコインを探す手は止めないアリス。お母さん悲しい。
「では、行くぞ!」
どうやら私の財布から見つけ出したお金を手に気合いをいれるアリス。
お願い、飛ばさないでくれ__!
コッ__。音がなったと同時に動くノエルとサーナ。
私が極限まで強化した動体視力で、どうなったか説明しよう。
まず、力加減を考えすぎたアリスはコインを飛ばす、というより落とすといった表現が正しいような弾き方をした。
結果、音がなってから1秒もたたないうちに落ちたのだが、その瞬間を両者見極め、戦闘が始まり今に至る。
私の考えとしては、反応できたノエルとサーナよりも__。
「お金なくならなくてよかったぁー!」
やっぱり、世の中金なのである。
更新遅れすぎてすいません。




