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19 もう一人の全属性適正者

「ここが71階だよ」

「__周りアリスはいない、か」

 

 71階に転移した。後はアリスを探すだけ。

 サーチを使うか、そう思った矢先。


「と__も、わ__ぞ!」


 結構遠くにいるのか、声は途切れ途切れだがアリスの声だということはわかった。


「アリス!」

「ちょ、ノエル!何があるかわからないからせめて強化魔術を__、追うか」


 ノエルは私の話を聞かずにアリスの声が聞こえた方にすぐさま走っていった、というか突如出した羽で飛んでいった。

 追わないわけにもいかないので、速度強化を掛けてノエルを追う。


 え?なんで強化魔術が必要かって?そりゃあ、私がノエルを追えるわけないじゃないか。

 こちとら、ひきこもり"天才"魔術師だぞ?才能は全部魔術極ぶりなんだ。

 天才ってワードが大事だから忘れないように!


 そうしてしばらく全力で走っていると、少し大きめな空洞のところに座っている人影が見えてきた。


「っ!おい、カノン!あのピンク髪」

「アリスだ」


 だが、服がところどころ破れているし汚れている。

 それに、アリスの目の前には__ワイドキング?!

 もしかして攻撃されてる?


「アリス!ちょっとそこどいて!」

「__ん?カノン?なんでここに__む?!」


 アリスが動く前にノエルが先についてアリスを抱えて被害が出ないところに行ってくれる。


「ナイス、ノエル!」

「おい、手加減したら承知しねぇぞ!」

「もちろん」


 ひっさしぶりにやっちゃうか。

 どうせここダンジョンだし、一階ぐらいなくなっても問題ないでしょ。

 跡形もなく、魂さえも消し飛べ!



『天より現れし神の怒りよ。地より見守りし神の悲しみよ。今こそ我に預け給え。』


『天変地異』


 唱えた瞬間、光が辺りを包み込んだ。

 私はすぐさま最上級防護壁をアリスとノエルに5重に張る。私が一番距離近いから私は6重だけど。





 光が消えた時には周りには大きい岩、小さい岩が転がっていた。


「__まじか」


 ダンジョンの階がなくなりすぎるといけないから十分の一に抑えたのは確かだけど、それでも一階分なくなった。

 71階は70階になったし。

 なのに__。


「なんで生きてるの?」


 ワイドキングは生きていた。

 でも無傷ではない。体のあちこちに空洞ができ、血も大量に流れている。呼吸すら危うい。

 骸骨って呼吸するのか分かんないけど。

 カヒューカヒュー言ってるから多分呼吸だと思うけど。


 直撃くらって生きているなんて絶対おかしいし、あれを防げるような術を持った奴なんて見たことな__いや、一人いた。

 あいつなら、ありえる。

 でも遠距離からじゃさすがにあれば防げないから……。


「いるんでしょ、でてきたら?"サーナ"」


 私の声が階層に響く。


「あちゃ〜、やっぱりバレちゃったか!」


 元気溌剌とした声がしたかと思うと、少し離れた岩陰からショートカットの女の子が出てきた。


「やっぱ、カノンの魔術はすごすぎるわ!無詠唱だったとは言え8重ぐらいには防護壁張ったのに」

「私は詠唱したし、それより無詠唱のくせに8重であれを防ぐとか相変わらずの防護力だね」

「そんな褒められてもぉ〜」


 みかん色の艶やかなショートカットにルビーのような赤い瞳。少し野生児っぽい、動きやすさ重視の服をきているこの女の子サーナ。


「いまそこのワイドキングを観察してる途中だからさぁ、殺されちゃ困るわけ」

「だから今日の会議もこなかったわけだ」

「ちゃんといくつもりではあったよ!?只、ちょっと予定よりも長引いただけで」


「ぷはっ」


 すぐ近くの岩の下からノエルがアリスと共に顔を出す。


「クッソ、もう少しで死ぬところだったじゃねぇか、カノンの野郎」

「死なないよ、私が防護壁張ったんだから」

「あ!テメェ、おい!確かに手加減するなとは言ったが、コレはやりすぎだろ!階層消えたじゃねぇか」


 一応手加減したんだよな。手加減しなかったらコレだけじゃすまなかったし。

 だから手加減したのにさ、怒られるし、多分手加減しなくても怒られるし、ノエルは我儘だな。


「おい、なんか今失礼なこと考えただろ」

「はにゃ?」

「可愛い子ぶるなや」

「かわいいからしょうがないでしょ」


「はぁ?なんだお前__ってそいつは?」


 一気にノエルの警戒心が高くなる。やっぱ分かっちゃうのかな、強者のオーラって。


「このバカはサーナ、どんぐらいバカかって言うとアリスと良い勝負するぐらいかな」

「めっちゃ、バカじゃねぇか」

「なんだと?!君とは初対面だろうが!」


「そして後2人の内の一人、全属性を使える魔術師だ」

「よろしくー♪」

「は?」


「とりあえずさぁ、紹介とかいいから早くワイドキング回復させてあげてほしいんだよねぇ」

「あ?なんであんなやつ」

「それについては私も同感だ!」

「アリス!?」


「何いってんだテメェ?!さっきお前あいつに襲われそうになってたじゃねぇか」

「あれはツンデレについて語ってたのだ!」

「は?何いって__」

「とりあえず回復しよっか」




「この度は誠に申し訳ございませんでした!私とノエルが早とちりしたばかりに!」

「そうだそうだー」

「サーナ!元はと言えばサーナがワイドキングの番を引き離したのが原因でしょうが!それがなければミノタウロスが中層に登ってくることも、アリスが落ちることも無かったんだからね!」


「まぁまぁ、カノン落ち着くのだ。私は無事だったではないか」

「いや、それもそれでさ、なんで無傷なの?」

「ふむ、そうだな。__気合だ!」

「おっけー、アリスに聞いたのが間違いだったわ」

「なに?!」


『いえ、私も紛らわしかったのでお互い様です』

「番と引き離しちゃってごめんねー、ワイドキングちゃん!」

『あ、それについては後でお話を』

「ゑ?」


「それにしても、よくあの攻撃から生き残ったな」

「そりゃあこの私、緑の防護壁だらね!」

「?どうゆうことなのだ?」

「あ?アリス知らねぇのか?」

「じゃあ、私が説明するよ」


「魔術師には3パターンいて、防護壁などの守る魔術を得意とした"緑"。攻撃魔術を得意とする"赤"。緑と赤ほどではないが、どちらも得意とするオールラウンダーの"黃"。

 この3色に分かれている。色は魔術を習い始める時に師匠に視てもらうのが通常。

 パーティーを組むときなどにも色は重視されるので、魔術師は全員自分の色を把握しているんだよ」


「サーナは緑だろ?」

「そうそう!緑は守りの魔術の防御力が、他の魔術師やりも高いからね!」

「一緒の魔術を使っても緑の方が防御力は高くなるだよ、それに習得率も色によって異なる」

「あ、カノン!それ私が言おうとしたやつ!」

「すまん」

「軽っ」


「じゃあカノンは赤か?」

「いや、私は黃」


「は?黃なのにあんなに攻撃力あるのか?」

「いや、多分そこらの赤よりもあると思う。なんなら防御力とかもだよ」

「じゃああれか__茶ってことか」

「そう、茶ってことだよ」

「2人とも何いってんの?」


「しかし、それなら黄色は最強ではないか?攻撃も防御も上がるのだろう?」

「うーん、まぁそうい訳でもないんだけどねぇ」


「緑の防御力がプラス200されるとしたら、黄色は100。赤の攻撃力が200だとしたら黄色は100って感じかな」

「では黄色が不利ではないか!」

「いや、そのかわり緑は攻撃が0だし、赤は防御力が0だね」


「ふむ、分からん!」

「え、まじ共感しかないんですけど!私もそれ理解するのに3年ぐらいかかった!」

「私からしたらそっちの方が意味分かんないよ」


「ちなみあと一人の全属性適正魔術師は赤!」

「あいつは攻撃力だけならまじで最強なのにね」

「防御力がなぁー、」

「防御力がねぇー」


「なんだ?そんなに弱ぇのか?」

「まじで防護壁とか紙」

「神?」

「紙。いや、紙なんて言うのもおこがましい。濡れた紙かな」

「クソじゃねぇか」


「そうだよ、ゴミカスなんだよ」

「サーナの攻撃力もゴミカスだけどね」

「ちよっと!それは言わない約束でしょ?」

「そんな約束した覚えはないよ」


「まぁ、こんな岩だらけのところでの雑談も何だし、この間見つけたいいカフェがあるから、そこで話そ」

「いいねー♪カノンのオススメカフェはマジでオススメだからね」

「じゃあ私のそばに寄って」


 みんなが私の所に集まったのを確認して__って、ん?


「ワイドキングもいくの?!地上混乱しちゃうよ」

「うわっ、カノン仲間はずれだー!悪いんだぁ」

『ひどいですカノンさん、!』

「え?これ私が間違ってんの?」


『まぁ、これは冗談でして』

「え?」

「や〜い、サーナだけ考え方ぼっちー。意思疎通が図らないバカじゃーん」

「え?そんな言う?」


『ちゃんと姿を変えるので安心してください』


 ワイドキングが胸の前で手を合わせて何か唱え始めると、ワイドキングの頭の上に魔法陣が現れ、足先にむかって降りてゆく。


 魔法陣を通ったところはだんだんと変化し、魔法陣が体全体を通って消えた頃には、骸骨の姿はなく綺麗な女の人がいた。


『じゃあ行きましょう』

「うん、なんか情報量バグだけど、それも含めてカフェで聞くね」


『転移』


 目を開いた時には設定した冒険者ギルドの扉の前__のはずだった。

 誰か答えてほしい。なぜ、ギルドの扉が見えるはずの私の視界に、超笑顔なお姉さんがいるんでしょうか。


「えっと__いつも受付してくれるお姉さん、どどど、どうしたのかな?」

「今、国の方からギルドにダンジョンが一階分なくなったと報告がありました」


「そんな事できるの、カノンさんぐらいしかいないんですよ、何か知ってること、あります?」

「え〜っと、とりあえず私のオススメカフェに行きません?」



 後にカノンは語る。あの時の受付嬢、プランの笑顔は笑顔ではなかった。あんなに怖い笑顔は今まで見てきたどのモンスターより醜か__。


 これ以上聞くと、我々にも被害が起こりそうなので聞かなかったことにしよう。

 え?気になるって?

 世の中には聞かないほうが良い事ってのがあるんですよ、いや本当に。

 生きてベットで寝たいのなら、興味を持たず、聞かなかったことにするのが得策でしょう。


 ほら、今耳を澄ませばカノンの叫び声__いや唸り声?が聞こえてきますよ。


「ごめんなさいごめんなさい!やっぱプランさんが、いや様が!一番美しいですぅ!!!だから頭を雑巾みたいに絞らないでぇぇ!!!」

前回一話分サボってしまったので二話書きました。

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