015 覚醒
ノエル目線
「アリス__」
アリスが落ちた。いや、違う。__俺が落とした。
あぁ__助けられなかった。あんな小せえやつ一人助けられなかった。
『ヴォォォォォォ!!』
ミノタウロスが突進してくるが、それを俺は軽くかわす。
もう、何も考えられねぇ。
『フー……フー……ヴォォォォ!!!』
俺にむかって何度も何度も向かってくるミノタウロス。
皮肉なもんだ。いつもならこの突進に手こずって、殺るために頭ん中ぐちゃぐちゃになるくせに。
こんな時に限って頭が冴えてやがる。
アリスがいねぇなら、守るもんもねぇなら、必要ねぇのに。
「__ざっけんな」
何一人で鬱になってんだ?俺らしくねぇ。
あいつは少し下に行ってくるって言ってただろうが。
たった出会って数週間だが、その数週間仲間だったんだ。いや、現在進行系で仲間なんだぞ。
そいつの言葉、仲間の俺が信じなくてどうする?
「ハッ__おい、牛なんて呼ぶのも図々しい中途半端な牛」
『ヴォ゙?』
「俺があいつにマウント取るための材料になれやぁ!」
脳汁ドヴァドヴァだぜ__さぁ、一緒に踊ろうやァ。
『大叫喚地獄!黒縄地獄!衆合地獄ゥ!』
俺が鎌を振るたびに、鮮明な血がスポットライトの光のように視界を赤くそめる。
「吹っ飛べやァ!」
今の技で少し宙に浮いたミノタウロスの鳩尾周辺に、回し蹴りをくらわす。
不思議だ。いつもなら勝つことしか考えてなかったのに、今日はえらく楽しい。
勝利の快感よりこっちの方が癖になりそうだァ。
「もっと__もっともっともっと踊り狂えやァ!!」
空いた手と足を使って、鎌を使いながらミノタウロスにダメージを負わせていく。
こいつらは超再生のスキルをもってる。腕を切っても少し経てば生える。
だから、重症にさせるのは困難だァ。じゃあ……。
再生が追いつかねぇ程ボロボロにしてやろうじゃねぇか!
『ヴゥ゙__ヴゥ゙__ヴォォ……』
本来ミノタウロスに物理攻撃は効きにくい。(まぁ、体格見ればわかるわな。)
そんなミノタウロスに物理攻撃で圧倒している。
アァ__本当に癖になりそうだァ__!
「いいねェ、俺は今気分が良い。喜べ牛。この姿を見たやつは片手に充分収まる程度だ」
「ユニークスキル "覚醒" 発動」




