14 ワイトキング
「アリス__アリス__アリスー!!」
まったく、ノエルは心配性だな!
この高さ落ちても根性でどうにかなるものだぞ!今度教えてやろう。
それに下に落ちているのだ、強いモンスターのいるところにたどり着けるのだぞ。
こんなにワクワクすることはないだろう!
ゴッ__少し経ってアリスは地面に落とされる。
「……思ったよりも衝撃が少なかったな!よかった!よかった!」
さて、私はどの辺に落ちたのか__少し探索するか。
突如、凄まじい殺気を感じ咄嗟にバックステップで距離を取る。
「ほぅ……よもやこの中ランクダンジョンに死霊の王がいるとはな」
ふむ、本来下層にいるはずのミノタウロスが上層部にいたのはこいつが原因か。
まったく、情けないな!
強いものが下にいるのに、挑戦せずして逃げるとは。
それはおいといて、だ。なぜ死霊の王がここにいる?
本来なら上位ランクダンジョン__それも北の方のダンジョンにいるはずだ。
地域によってダンジョン内のモンスターの種類は異なる。ここは南の温かい地域にあるダンジョン。
普段寒いところにいる死霊の王が出るなど、さすがの私でもおかしいことはわかるぞ!
「それに普段死霊の王が従えてるアンデッドもいないな」
やはりおかしい。どうする?戦いたいのは山々だが、こういう未知のモンスターを倒してしまっては怒られるのではないか?
こう__上の人とかに。
『ここに転移させられたのは私だけです。手下はいつものダンジョンにいるでしょう』
……死霊の王が喋ったぞ!
死霊の王は喋るのか?!
だがモンスターが話すなんて聞いたことないぞ?
やはり、倒さずにギルドに伝えたそうがいいのか?
『あぁ、やはり困っていらっしゃる。すみません、普通のモンスターはしゃべらないですものね』
「幻聴ではないようだな!」
それより、声がとても綺麗だな!
もっとシャウトが効いている野太い声だと私の中で勝手に思っていたのだが、やはり偏見はよくないな!
『まぁ、声が綺麗だなんて。ありがとうございます。褒められたのは初めてです』
「む?声に出していたか?」
『いえ、私は少々特別な死霊の王でして。心の声を聞くことができるのです。嫌でしたら遮断するので気軽に仰ってください』
「それはすごいな!ところで、先程転移されたと聞いたのだが、それは本当か?」
『えぇ、夫と話ている最中、急に足元に魔法陣が現れまして__気付いた時にはここに』
「それは大変だな!」
『手下のアンデッドと視界共有して術者を見つけ出したのですが、この距離では視界を共有するのが精一杯で姿形しかわかりませんでした』
『金髪で緑の瞳をもった人__夫との時間を邪魔した罪は重いですよ__』
「ふむ……そのような見た目の人はしらないな!すまない」
「ところで夫はどんな人__死霊の王なんだ?」
『ウフフ、聞いてくれますか?』
そういって楽しく夫の事を話しだした。
よほど夫が好きなのだろう。夫婦仲がいいのは良い事だ!
『夫はいわゆるツンデレと言うやつでして、言葉はきついのですけど優しい心を持っているのです』
「む!私の知り合いもそうだぞ!」
『まぁ!これは話が弾みそうですね!』
こうしてアリスと声が綺麗な死霊の王の恋バナが始まったのだった。




