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10 ノエルの過去

 この人がノエルのお兄さん__?

 だとしたら見た目が、どう見ても悪魔族だ。


「あぁ?兄?アレン、たしかお前は悪魔族だよな?こいつはどう見ても天使族じゃねぇか。」


 お、ナイスクエスチョン!元リーダー。

 でもね、天使族なのは見た目だけですよ、見た目だけ。

 中身はちょっと信じられないぐらい悪いですよ?


「えぇ、そうですよ。ノエルは天使族ですが、私は悪魔族です」

「なんだそりゃ?説明し__」

「さっき愛しのマリンさんが、あなたのことを呼んでいましたよ。行かなくていいんですか?」

「え?マジ?マリンちゃ〜〜〜ん!」


 そう気色悪い叫び声を上げながらマリンの元に走り去っていく元リーダー(変態)


 マリンっていうのは前のパーティーの盗賊(シーフ)。スタイル良くて顔もいいから元リーダーが目をハートにしてるんだよね。

 ま、一方通行なんだけど!


「では、改めましてアレンです。ノエルがお世話になっています」

「アリスだ、よろしくな!……兄というのは本当なのか?種族が違うようだが__」

「はい、少し事情があって。それよりも、あなたの髪と瞳の色は綺麗ですね。東方にあると言われる国の花に似ている」

「アリスでいいぞ!私もこの髪は気に入っているんだ。母と、同色だからな」


「その花の名前は何というんだ?」

「サクラ、というらしいです。まだ見たことはありませんが、とても綺麗だと聞いています」

「そうか!私も見てみたいな」


 おっと、なんかアレンとアリスいい感じじゃない?

 ここは邪魔者は去ったほうが良いかも?


「っ__」

「ノエル?!」


 急にノエルがギルドを飛び出した。

 アレンと会ったときから様子が変だったけど__何か関係があるかもしれない。

 はぁー、面倒だけど追いかけるか__。


 そう思った矢先、横からピンクのポニーテールを揺らした少女が、一気に私を追い越してギルドをでていった。


「アリス?!__もう、私疲れてるのに」

「2人とも行ってしまいましたね。__私もパーティーに戻りますか。改めて、ノエルをよろしくお願いします。それと__」


「あなた、相当な実力を持っていますよね?なぜこのパーティーを追い出されたんですか?」

「……私は何処にでもいる普通の魔術師だよ。だからあのパーティーを追い出された。それだけのことだよ」


「いえ、あなたは凄い人だ。他の人とは練り上げられている魔力の格が違う。私は魔術師としてあなたに敬意をはらいます」

「……そっか、ありがとう。そう言われたのは初めてだ。じゃあね、__私は飛び出していった奴を追わないとだから」

「弟がご迷惑を」


「いや?迷惑だなんて思わないよ。彼は私の大切な仲間だからね」


 そう言って、私はギルドを去った。


* * *


「ハァ__ハァ__ハァッ__」


 もう少し、もう少しだ。

 足に力を入れて加速し一気に近くなったナルシの手をつかむ。


「やっ__と、捕まえた。急にどうしたんだ?とりあえず帰ろう。カノンも心配している」

「どうせ__だろ」

「む?すまない、聞こえなかった」


「どうせ兄さんのほうが良いんだろって言ったんだ!」

「……は?」


「何を、言っているんだ?」

「__俺は天使族の母と悪魔族の父を持つ、いわゆる亜種だ」


 ノエル曰く、その子供のアレンとノエルは双子として生まれたらしい。

 物心つく頃から世間から白い目で見られていたが、ノエルの父も母も種族の中では慕われていた為理解してもらえるのは時間の問題だったらしい。


 しかし、子供のノエルとアレンはそういうわけにもいかず。

 アレンは見た目は怖いが、柔らかい物腰といつも浮かべる笑みから皆から慕われていた、だが顔は良くても口が悪いノエルはいつも一人だった。


「どうせてめぇも、思うんだろ?兄さんのほうが喋りやすいし一緒にいて楽しいって。俺じゃなくて、兄さんとパーティー組めたら良かった__」


「ノエル!!」


 ビクッと肩を震わせてこちらを見るノエル。


「私がいつ、そんな事を言った!」


「……は?」

「私がいつ、そんな事を言ったか聞いているんだ!」

「だって、皆言うんだぞ?俺じゃなくて兄さんのほうが良いって。俺と一緒は嫌だって」

「だからなんだ」

「え__」


「私は他とは違う!たしかにアレンの方が物腰柔らかいし、喋りやすいし、私のことをチビだと言わないだろう」


 目線を逸らすノエル。


「だが、私はアレンのほうが良かった、などとは思わん!」

「……!」


「たしかにお前は口が悪い、だがいつも言っていることは的確だ。それに博識だ。私が疑問に思ったこともすぐに返答してくれる」


 無視なんかせず、いつも真っ直ぐこっちを見て話してくれる、疑問に答えてくれる。

 私にとってはそれで十分だ。


「私はお前のそういうところが好ましく思うぞ!」

「は、はははははは、はぁ?!」


「む?どうしたのだ?そんなに顔を赤くして」

「う、うるせぇ!黙れやぁ!ほら、さっさと戻んぞチビ」

「誰がチビだ!やはりそこは直せ!そこはアレンを見習え!」


 しかも、ナルシがギルドを飛び出したのが事のほったんだろう?

 まぁ、いつも通りに戻ったんなら何よりだ。


「おい、チビ」

「チビと言うなと言っているだろう、ナルシスト!」


「ありがとな」

「……うむ!いつでも頼ると良い!私たちはパーティーメンバーだからな!」


 フッと笑うノエル。

 いつもの人を嘲笑するような意地悪い笑い方じゃなくて、子供のような、素からでた様な笑い。

 こいつはこんな笑い方をするんだな。


「それと、初めて俺様の名前を呼んだな」

「そうか?無意識だったから分からないが__チビなんて呼ばなければ私はいつでもノエルと呼ぶぞ?」


「あ!やっと見つけた!2人ともどんだけ走ったのよ?!ギルドから3キロはあったよ?」

「うるせぇ黙れ変態」

「はぁ?!急な悪口やめてよ!」


 そうやって3人で元の道を戻っていく。

 笑いながら、時に暴言を吐きながら。でも、誰も嫌な思いにはならない。

 ここの雰囲気は心地よいな。

昨日更新し忘れていた分です。

遅れてすいません!

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