00 プロローグ
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「カノン、お前もう要らないわ。」
「……は?」
「今日で脱退してもらうから、荷物をまとめて出て行け」
目の前のリーダーは、何を言っているんだろう?ダッタイ?この私が?
元々、頭は悪いと思っていたがこれほどまでとは思わなかった。
「ちょ、どういうこと?リーダー、ついに狂った?」
「俺をリーダーと呼ぶな、もうお前はメンバーではないだろう?」
嘘の日はとうに過ぎ去ったので、冗談ではないだろう。
嫌、冗談にしても悪質すぎるのだが。
「じゃあ元リーダー、理由を聞いても?」
「……まず、お前はケガをしたメンバーの治癒もしないで後衛で突っ立っているだろう」
魔術で相手のモンスターの一番得意な魔術属性を封じていたから動けないだけでしたが?
「まぁ、最近は普段の鍛錬のおかげで怪我をしなくなったがな」
私が強化魔術かけたから、いつもより速く動けて回避できてるだけでしょ。
当たっても、そっとやちょっとじゃ怪我しないって。
なぜなら"この私が"掛けた強化魔術なんだから。
「それに、パーティーの金を好き勝手使っていただろう」
「許可はもらったはずだけど?」
「何もしないくせに魔力回復ポーションなど要らないだろう?無駄遣いだ」
いやいやいやいや。
最高峰の身体強化でしょ?
それでも怪我しちゃった時の治癒でしょ?
追加のモンスターを警戒しての索敵魔術でしょ?
相手の動きを悪くする身体弱化でしょ?
極めつけに、相手の一番得意な魔術を封じるチート魔術まで使って、ポーション1日1本だよ?
普通の魔術師だったら魔力切れで倒れてるよ?
「このパーティーがAランクになれたのもお前を除いた俺たちの実力だ」
「……へぇ、ちなみに私の使える魔術適性覚えてる?」
「……あぁ、そう言えばお前は魔術師だったな。使っているところをみたことがないが__使える魔術なんてあるのか(笑)?」
そう、それが答えね。
後ろで、メン__元メンバーがクスクス笑ってやがる。
一人だけ焦っている女の子は見ない顔だ。私の抜けた穴を塞ぐ役割を担うのだろう。
まぁ、軽く見積もっても私のほうが圧っ倒的に上かな。
……もういいや、その程度の実力で私の抜けた穴塞げると思われるほど、こいつらは、私の事を侮っているらしい。
いいだろう。……こんなクソパーティー抜けてやる。
「後悔すんなよ」
それだけ言い残して私はパーティーホームをでた。
***
正直、私は魔術に人生かけてきたのでそれ以外は全部からっきしだ。
冒険者をやめたら食べて行けないだろう。
なので、ソロで冒険者をすることにした、のだが__。
「……暇だ」
別にクエストを受けようと思えば受けれるし、出かけようと思えば出かけることができる。
でも違う、違うのだ。
私が求めているのは、暇な時間を簡単に埋め尽くせるほどの馬鹿騒ぎがしたいのだ。
元々、根っからの大騒ぎ大好きマンの私が、ここまで我慢できた事に拍手だ。
「よし、メンバー募集しよう。この私がリーダーなんだ、人が来すぎて逆に困っちゃうかもしれないな」
なんて想像も虚しく、集まったのは二人だった。
1人は桜色の髪を高い位置でひとくくりにし、下から私を上目遣いで見てくる。
本人に自覚はないのだろうが__身長が小さすぎて上目遣いにしか見えない。
種族はドワーフだろうか?それにしては華奢だ。
もう一人はさっきの低身長とは対照に、高身長でいかにも紳士って感じだ。髪は金髪でサラッサラ。
口元には薄い笑みを浮かべていて逆に胡散臭い。
種族は__天使族?それとも顔面が良いただのヒューマン?
わからないが、女には困らなさそうな顔している。
ちなみに私はヒューマンだ。
「えー、じゃあ面接をしていこうと思います」
「了解だ。なんでも聞いてくれ。答えられることは全て答えよう!」
「チッ、面接があるのかよ。それならそうとちゃんと書いとけや。楽に入れると思ったのによ」
……え?