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1:ステータスボード

「クソッ! なんでモンスターハウスなんてっ」

「だ、誰も入ってないダンジョンだと、よくあることだそうです」

「早く階段まで引き返すぞっ。おいロイド、遅れるな!」


 お、遅れるなって言ったって、全員分の食料と毛布、それにドロップアイテムだって背負ってるんだぞ。

 早く走れる訳ないだろう!


 新しく発見されたダンジョンでは、地下に下りる階段を発見するだけでギルドから報酬が貰える。

 その報酬目当てで俺たちはこの、三日前に発見されたダンジョンに来ていた。

 そして運よく地下一階、そして二階と立て続けに階段を発見。

 地下二階を暫く進んであったのは──


 モンスターハウス。


 偶然できた、モンスターが群れた場所だ。


「あの角を曲がれば階段はもう直ぐよ。ロイド急ぎなさい! もうそんな荷物捨てなさいよ!」

「ダメだ! ロイド、絶対背負い袋を捨てるなよ!」

「何言ってんのよルイック。ここまでの稼ぎと生き残ること、どっちが大切だと思ってんのっ」

「待てまてまてまてっ。階段前にもモンスターがいるぞっ」


 斥候のバーリィが一足先に角を曲がって急停止する。

 俺の前を走っていたリーダーのルイックも立ち止まった。


「十匹以上いるじゃない! 今の私たちじゃ倒せないわよっ」

「ど、どうするんですか? 階段は目の前なのにっ。こんな……こんな所で死ぬのは嫌ぁ」

「どうするどうするどうする。ルイックどうすんだ!」

「どうするって……くそっ!」


 後ろから三十匹以上来ているんだぞっ。前の十匹ぐらい!


「俺も戦うっ。少しぐらい怪我をしたって、階段さえ登れば奴らは上がってこれないんだ。行こう、みんな!」


 普段は荷物持ちでも、もしもの時は俺も初期スキルで援護する。

 攻撃力は低いけど、注意を逸らすぐらいは出来た。


「ロイドが戦う? てめぇなんてなんの役にも──いや、そうか。ロイド、荷物を寄こせ! ライザ、こいつにブレッシングを」

「彼にブレッシングしたって、雀の涙ですわっ」

「やれ! ロイド、モンスターの気を引くために突っ込んでくれ。奴らがお前を追ってこちらに背を向けたら、一斉に俺らで攻撃をする。何匹か倒せば階段に登れる隙が出来るだろう」

「わ、分かった」


 背負っていた荷物をルイックに渡すと同時に、ライザから祝福(ブレッシング)のスキルを付与される。

 身体能力を上昇させる支援スキル。これを付与されれば俺も最低限の動きが出来るようになる。

 

 短剣を握りしめて地面を蹴った。

 

「──"ファイア"」


 ブレンダの魔法が後方からさく裂する。だけど一匹に傷を負わせただけだ。

 それでもモンスターどもの気を引くには十分だった。

 姿勢を低くして奴らの横をすり抜け、背後に回り込む。


「おい! こっちだっ。こっちを見ろ! "プチ・ファイア"!」


 魔術師の初期スキルを使って、最後尾の奴を攻撃。

 するとモンスターは悲鳴を上げ、こっちを振り向いた。

 釣られて他のモンスターも振り向く。


「今だルイック!」

「あぁ、サンキューなロイド。俺たちのために犠牲になってくれてよぉ」

「は?」


 犠牲?

 犠牲ってなに?


「ごめんなさい、ロイド。私、ここで死にたくないの」


 モンスターの隙間から見えたのは、狂気に歪んだライザの顔だった。






「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


 俺を囮にして、自分たちだけ逃げるなんて!

 

 ブレッシングが付与されているおかげで、普段より速く走れた。

 それに疲れもしない。

 だからって感謝するもんか!

 今こうして数十匹のモンスターに追われているのは、奴らのせいなんだから!


 でもブレッシングの効果が切れる前に、階段までなんとかして戻らないと。


「なのに、くそっ! 数が増えてるじゃん!」


 追いかけてくるモンスターの数が確実に増えてる。

 数が増えるたびに地響きが増し、天井からパラパラと土が落ちてくる。

 まさかダンジョンが崩落するなんていわないよな?


 そう思った瞬間、突然足元が崩れた。


「うっ、うわあぁぁぁぁぁ!」


 な、なんだこれ!?

 地面に空いた穴は滑り台のようになっていて、俺は物凄いスピードで落下する。

 真っ暗で何も見えない。岩でも飛び出していたら一巻の終わりだぞ。


 不安を他所にどこにもぶつかることなく、俺は地面に投げ出された。

 ごろごろと転がり、それが止まるとすぐさま立ち上がって身構える。


「何階層まで落ちたんだろう? そんなに深くなさそうな気もするけど」


 滑っていた時間はそれほど長くはない。でも正直分からない。いったい何階分落ちたのか。

 ただここは明るかった。そしてモンスターもいない。


「部屋? ボス部屋なら、まだ誰もここまで到達してないんだからいるはずだし」


 ダンジョンの主であるボスは、最深部の部屋にしか湧かない。

 いないってことは、ここがボス部屋、もしくは最深部じゃないってことだ。


 けど──


「なんだ、あの台座」


 それほど広くもない部屋の真ん中に、台座がひとつポツンと置かれていた。

 近づいてみると、台の上に石板が一枚ある。


「簡単な古代文字だな。えぇーっと──」


 見習い魔術師の職業訓練で習った文字だな。

 

【ステータスボード】


 それだけが書かれていた。

 ステータスボードって、なんのことだろう?

 他に何科文字はないのか。埃が積もって見えないだけとかないよな?


 石板に触れると、突然それが光って──俺の手に吸い込まれた!?


「え? どこいったステータスボード!?」


 ブォンっと音がした気がして、目の前に光る半透明な枠組みが浮かび上がった。


「うぉ!? え、なに、なんだこれ?」


 そこには俺の名前や性別、それに数字がずらりと並んでいる。




【名 前】ロイド

【年 齢】16歳

【種 族】人間

【職 業】見習い冒険者 レベル4 +


【筋 力】25

【体 力】25

【敏捷力】25

【集中力】25

【魔 力】25

【 運 】25


【ユニークスキル】

 平均化


【習得スキル】

『プチバッシュ レベル1』『プチ忍び足 レベル1』『プチ鷹の目 レベル1』

『プチ・ヒール レベル1』『プチ・ファイア レベル1』


【ステータスポイント】3

【スキルポイント】3 




 な……なんだよこのオール25って。

 

*この作品は3年前に投稿していた作品です。

続きを執筆するにあたって、ステータスの調整を行いました。

それに伴ってステータス表示回では前後の描写が若干変わったため、思い切って新作として

投稿しなおすことにしました。

【12:20に第二話を更新します】


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