第七章: 聖なるクエスト(後編)
落とし穴を滑り降りると地面にドンと落ちてしまった。どうやら地面はふかふかの腐葉土みたいでそれほどは痛くなかった。と「きゃーっ」と悲鳴をあげながら滑り降りてきたアリシアのお尻が見えた。もちろん滑る勢いがあるからアリシアは俺の顔を通り過ぎて俺のお腹に着地した。
「ご、ごめん、ジャン、痛くなかった?」
「あ、ああ。なんとか」
体勢的にアリシアの顔がすごく近くにあるので結構しゃべりにくい。
ふとアリシアは起き上がって言った。
「あっ、大蛇がいる。あのトカゲ人間を食べてる!」
いや、俺は起きあがろうとしてもお腹にアリシアさんが座っているので起き上がれないんですが。
なんとか身をよじってみると胴回りが一抱えもありそうな大蛇がトカゲ人間を丸呑みしようとしている。
「アリシア、ごめん、俺のお腹から降りて。」
「あら、ごめんなさい。ジャン、痛くなかった?」
アリシアが急いで俺のお腹から降りてくれたので俺は上半身を起こすことができた。
もうあのトカゲ人間はほとんど大蛇の口の中に飲み込まれてしまっていた。
「あの二頭のトカゲ人間を食べてお腹いっぱいになってくれればいいんだが。」
「なんだか目を爛々と輝かせてこちらを睨んでいるわね。」
大蛇はゆっくりとトカゲ人間を飲み込んでいるが、その視線はもう俺たちの方にロックオンしている。
後ろは石壁になっていて逃げることはできない。
俺たちをここに連れてきた落とし穴もすでに消失しているみたいで見つけることはできない。
横にも壁があり、ここは一種の部屋になっているようだ。地面だけが土である。逃げ道は大蛇の後ろにある出口だけであった。
長さが7〜8mもある大蛇はいきなり俺たちの方に突進してきた。
俺はアリシアの前に出て蛇の眉間に思いっきり剣を叩き込んだ。けれども蛇の頭蓋骨は途方もなく硬かったようである。鱗にもなんの傷もついていなかった。
蛇は頭を強打して少し怯んだのか後ろに退いた。剣ではダメージを与えられそうもないので俺はナイフに切り替えて体を刺しに行った。
ところが、ナイフで刺しても蛇の皮は硬く、ナイフが突き通らないのである。
そのうち蛇の尻尾が俺の体に巻きつき、俺を締め付けてきた。ナイフでその締め付けを離そうとしても無駄だった。万力のような力で締め付けてくる蛇の尻尾に俺の体や骨も軋みそうに悲鳴を上げた。多分肋骨の何本かには既にヒビが入っているかもしれない。ジワジワと締め付ける力が強くなってくるのでだんだんと息を吸い込むのも苦しくなってくる。
次第に酸欠になってくる頭に過去の記憶が走馬灯のように甦ってくる。
「あれ、これって初めてみる小さい頃の記憶だぞ。」
今更エドワードの記憶を蘇らせても意味がないよなあ。
その時、アリシアが「ライト(光球)」と叫ぶ声が聞こえた。
途端に大蛇が身をよじって暴れだした。
俺は締め付けから解放された反動で地面に投げ出され、やっとのことで立ち上がると蛇の頭部が白い光で輝いている。
どうやらアリシアは大蛇の眼にライトの呪文をかけて目潰しすることに成功したらしい。まだ大蛇は目潰しから逃れようと暴れているが、光の球は大蛇の目から離れない。
「アリシアって魔法が使えたんだ。」
大蛇はだんだん疲れたようでだらんと力を抜いて寝そべってしまった。
俺は大蛇の口にナイフを差し込むと上顎から上に向かって思いっきりナイフを突き通した。大蛇は一瞬大きく痙攣するように身をよじらせたが、その後は力無く地面に伸びてしまった。
ナイフで刺した傷口からはどくどくと蛇の血が流れ続けている。
蛇の死を見届けてからアリシアの方に近づくと、彼女は真っ青な顔をして冷や汗をダラダラ流しているようである。
「アリシア、大丈夫か?」
俺がアリシアに声をかけると、アリシアは「わた、私ってちゃんと魔法をかけられたのよね。」と囁くように言った。
「大丈夫だよ。立派な魔法だったよ。おかげで俺も助けられた。」
それを聞いたアリシアは力が抜けたみたいでへなへなと地面に座り込んでしまった。
「大丈夫か?アリシア。」
「ええ。でも初めてまともに魔法を発動したら疲れちゃった。少し休んでいいかしら。」
「ああ、もうあの大蛇にもトドメを刺したから安心して休んでいいよ。」
そうして休んでいた時に俺も何か違和感を感じていた。
なんだか、大きな屋敷でお父上やお祖父様、お母上など多くの人と住んでいた記憶があるのだ。
そうか、イアンもその中にいたなあ。
今まではイアンに言われたエドワードの名前もむしろ本来の名前として馴染んでいる。今までは自分の名前はジャンであってエドワードという名前は意識的に使う偽名みたいな感覚だったのだ。
アリシアに俺の記憶が戻ったみたいだということを言うと、アリシアはむしろ嘆いたのが意外だった。
「どうしたの?」
「あなたが平民の方が良かった。辺境伯って高位貴族じゃない。私みたいな低位貴族とは不釣り合いって言われるわ。」
「辺境伯って言っても領地は魔獣に占領されているからなあ。まあ、まだ平民みたいなものだよ。」
「そんなことを言ってもあなたは既にサーでしょう。この年齢で騎士爵を得ている人など滅多にいないわよ。」
「あれは国王陛下が勝手に任命したわけで。」
アリシアはなぜだか急にプイと向こうを向いて小声で「あなたは私の護衛騎士なんだから。悪い虫なんてつけさせないわ。」と言う。
悪い虫ってなんのことだよと思うがそれを聞いたら余計にアリシアが機嫌を悪くすることはわかっているので、俺は黙ってアリシアの横に座っていた。
少しするとアリシアもだいぶ機嫌が治ってきたようで「さあいきましょう。」と立ち上がった。
大蛇からは大きな魔石を抉り取ることができたし、蛇の皮も剥ぎ取ることができた。この硬い蛇の皮は防具を作るのに有用かもしれない。胸の明らかな激痛は肋骨が折れている証だと思われたので、貴重なポーションだったけれど一本をここで飲むことにした。ポーションで痛みは治ったから次にモンスターが出てきても対応ができそうである。
アリシアが投げつけたあの黄金の蛇像はちょっとあちこちを探したけれど見つかることはなかった。この部屋に他に蛇の絵になりそうなものはなかったのでもしかするとあの大蛇が黄金像の化身だったのかもしれないと言うとアリシアも納得したみたいだった。
大蛇の部屋を出ると壁の材質はわからないが、ほのかに光っているようだった。
アリシアは「もしかするとここからが古代の祭壇かもね。古文書にも古代の神殿は壁が光るので松明はいらないと書いてあったはずだわ。」と嬉しそうに言う。
俺は油断をせずにゆっくりと先へ進むことにした。
奥に進むとまた大きな扉がある。扉のデザインは植物をモチーフにしたレリーフで、そんなに趣味は悪くない。扉の左右には羽を生やして角のある怪物像がある。
「ガーゴイルだな。」
「ガーゴイルですね。」
古代から聖域の門番として置かれることのあるゴーレムの一種である。
設置されて随分経っているのだろう。表面にはいくつかひび割れができている。
「ジャン、ガーゴイルは普通の武器では傷つけられないわよ。私が剣に祝福をかけてあげる。」
俺が剣を差し出すとアリシアは刃に指を沿わせて呪文を唱えた。呪文が唱えられると俺の剣は僅かに輝きを増した。
「アリシア、体調は大丈夫か?」
「ええ。呪文を唱えるのも慣れね。でも効果時間は短いからさっさとお行きなさい。」
「よしっ」
俺が扉のところに駆け寄ると二体のガーゴイル像は命を吹き込まれたかのように動き出した。
俺はそのガーゴイル像の一体に狙いをすまして斬撃を放つと「お、よく切れる。」袈裟懸けに深く切ることができた。
返す刀でもう一体にも斬撃を送った。
「相変わらず物凄い剣ね。」アリシアは呆れたように呟く。
俺は他の人がどうなのかよく知らないので自分がすごいのかどうかについては自信がない。
ガーゴイルはトドメを刺すと木っ端微塵に砕かれてただの石のかけらになってしまった。
「じゃあ扉を開けるよ。」
「ええ。」
俺がグッと力を込めて扉を開けると目の前にドラゴンがいた。その鱗は半透明で白く、まるで水晶のような輝きを保っていた。ドラゴンが少し動くと鱗と鱗が擦れてシャラシャラという音を立てている。
ドラゴンの奥には祭壇があり、そのてっぺんには大きな透明な宝玉が安置されている。
祭壇の横には大きな岩がありそこに剣が突き刺さっていた。
アリシアは「きっとあの宝玉が聖女の宝玉だわ。」と俺に言った。
いや、それはわかるのだが、宝玉を手に入れるためにはその前に立ちはだかっているドラゴンをどうにかしなければならない。
とりあえずドラゴンに「いやあ、その後ろの宝玉を取りたいからどいてくれないかな。」って頼んでみた。
ドラゴンは何も聞こえなかったかのように微動だにしない。
剣に掛かっていた祝福の効果は既に切れている。アリシアにもう一度魔法をかけてもらえるかどうかはわからない。もう2回魔法を使っている。まだ慣れない魔法をかけさせるのはアリシアには負担だろう。
そうなると、ここからドラゴンを倒す方法を考えなくちゃならない。これまでギルドで雑談していた時に聴いたドラゴンへの攻撃方法はいくつかある。一つは魔剣である。ドラゴンスレイヤーなどの魔剣は勇者が使わなくてもドラゴンに傷を与えることができる。けれども残念ながら俺の剣は普通の剣だ。
もう一つは普通の剣でもドラゴンの弱点を切ることでダメージを与えることができると言う。
例えばドラゴンの羽は皮膜なので普通の剣でも切り裂きやすい。ドラゴンは一般に羽根だけでなく魔法の力で飛んでいると言われるが、羽を切り裂くとバランスを崩して落っこちて地面に激突すれば大ダメージを与えることができる。
この方式でダメージを与えるにはドラゴンが上空を飛んでいる必要があるが、現在、相手のドラゴンは地面にしっかりと足をつけている。
別の方法としては、ドラゴンは全身を鱗に覆われており、普通の剣はドラゴンの鱗を切ることはできないのだけれど、唯一、下顎から首にかけての鱗は食物を飲み込む関係上柔らかいらしい。なのでその辺りを触られることをドラゴンは嫌っており逆鱗とは触るとドラゴンの機嫌を損ねる場所として有名である。
この逆鱗の場所から上に剣を突き上げると脳に届く。さっき大蛇を倒したのと同じ理屈である。大蛇の場合は口に手を入れて剣を上に突き刺したが、ドラゴンの場合、剣を口に入れたならばその鋭い牙で腕を噛みちぎられるかもしれない。
そのため、下顎から上に剣を突き上げるのが一番いいと言うことになる。
ドラゴンはブレスを吐くだろうからあまりチャンスはない。また、ナイフだと下顎から脳までは刺しきれないだろう。つまりは剣で一突きというのが唯一の戦法だろうと思う。
俺はタイミングを測って一気に飛び込むことにした。ドラゴンは何も言わずに微動だにしていないので何を考えているのかわからない。
自分の呼吸を数えて精神を落ち着かせるとドラゴンの懐に一気に飛び込んでその下顎から上に剣も砕けよと突き上げた。
そうすると、思ったより硬い感触があって、あのゴブリンジェネラルから巻き上げた剣は真っ二つに折れてしまった。
すぐにドラゴンの前足の攻撃が飛んできた。
俺は逆宙返りをして飛び退き、半分に折れた剣を構えてアリシアを守ろうとする。
折れた剣で守ろうというのは滑稽の部類なのではあるが。
と、ふと奥にある剣が目に入った。奥の岩に突き刺さった剣である。あれを引き抜いて戦えばドラゴンにも太刀打ちできるのではないか。よく見ると僅かに輝いている。もしかすると魔剣かもしれない。
相変わらずドラゴンは微動だにしない。
再び精神集中して一気に前に出た。ドラゴンは同じように前足を振り下ろして攻撃してきた。
おれはドラゴンの脇を走り切ることで回避した。
そのまま祭壇の脇の剣のところに辿り着き、その剣を岩から抜いた。
思ったよりあっさりと剣はつるりと抜けてしまった。
その途端、俺の頭に何か声が響いてきた。
「我が名は聖剣アスカロン。エドワード・スペンサーを担い手として認識した。聖剣の再起動のため聖龍ホムラは剣の中に帰還せよ。」
その時、後ろにいたドラゴンはグッと引っ張られるように剣の中に吸い込まれた。
「一体何がどうなっているんだ。」
俺が呟くと、いきなり頭の中に別の声がした。
「お前は聖剣アスカロンに選ばれたのだ。」
「はあ?どういうことだ。お前は誰なんだよ。」
「我は今ここで其方と相対していたドラゴンだ。名はホムラと言う。」
「そういえばあのドラゴンは消えている。」
「うむ。聖剣が再起動したのでもはや我は剣の中に戻ったのだ。」
「全く意味がわからないけれど、俺は別に喋っちゃいないのになぜ話ができるんだよ。」
「今のところお前はこの剣を振るうに最低限の技能までは持てている。だから接触していると意思の疎通が出来るのだ。けれどもこれは他の人には聞こえないから注意しておきたまえ。」
それを聞いてアリシアは?と振り返ってみると、彼女も硬直している。
「あ、あの、急にドラゴンが消えちゃったんだけれど。」
「ああ、あのドラゴンはこの剣の精みたいなものらしい。」
「やっつけちゃったの?」
「いや、この剣が再起動したから剣の中に帰ったみたいだ。」
「ふうん。」
そうしてアリシアはおずおずと部屋の中に入ってきた。
ドラゴンが爆笑しているのが感じられる。
「はっはっは、我が剣の精か。それは大いに笑える。まずはその岩の横に鞘があるはずだからそこに我、聖剣アスカロンを収めると良い。」
俺は鞘を見つけるとこの聖剣を収め、自分の腰に吊るすことにした。
「もうドラゴンがいなかったら安全よね。」と言いながらアリシアは俺の横に来て、「あの宝玉を取っていいかしら」と聞いてくる。
「まあ、大丈夫じゃないかな。」と俺は答えたけれど、アリシアは一緒に来てとせがんだ。
まあ、そこまでなんだからと言ったけれど、また変なポータルが開いても困るので俺も彼女の横について祭壇を登って行った。
祭壇のてっぺんまで登ってアリシアがそおっと手を差し伸ばして宝玉を掴むと宝玉がいきなり虹の色に光り輝いた。
思わずアリシアが宝玉を取り落とそうとしたけれど、俺は「しっかりと宝玉を掴んで。」とアリシアに言った。俺が白い布を出して宝玉を包むと光はやや収まるが、アリシアが宝玉に触るとまた光が溢れ出してくるのでこの光はアリシアの力で起こっていることは明らかだった。
とにかく宝玉は白い布で包んでバッグに詰めて、他に何かないかあたりを捜索してみた。すると小さな宝箱があってマジックバッグが一つと小さいけれど高価そうな宝石がいくつかと古い金貨が入っていた。
持って帰っていいかなと剣に手を当てて考えたが、ホムラも何の返事もよこさないのでまあ構わないかとみんなバッグに入れて持ち帰ることにした。
で、どうやって帰ればいいんだろう。
大蛇の部屋に戻っても行き止まりだし、他に分かれ道などはなかった。
せっかく宝玉を手に入れても出口がなければここで飢え死にするだけじゃないか。
俺たちは必死に出口を探し回り、ついには小さな隠し扉を見つけた。
隠し扉の向こうには魔法陣が描かれていた。
アリシアにお願いして魔力を流してもらうと魔法陣は淡く光を放ちながら起動し、気がつくとあの最初の邪神の神殿の裏側に立っていたのである。
それで、急いで街道まで戻り、そこから王都まで歩くともう夕方になっていた。何とか日暮までに王都の門をくぐらことができたので、そのまま神殿までアリシアを送ることにした。
アリシアは宝玉を持って帰ってきた割には何だか無口である。
「アリシア、大丈夫?」
「あ、ええ。いつもと変わらないわ。」
俺はアリシアと頭の神殿の裏口から神官を呼んだ。
名前の知らない神官が出てきてアリシアを見て驚いている。
「まだ神殿のクエストに入っておられなかったのですか?」
「神殿のクエストは無事完了したよ。」
俺がそう言うと、その神官は驚いて「え?神官長を呼んできます!」と言って奥の方にすっ飛んで行った。
神官長と神官マルコが連れてこられた。
「おや、ガードン男爵とはお会いにならなかったのですか?」と神官長が聞いた。
アリシアは黙って俯いただけだったので俺が「ああ、会ったよ。訳のわからないことを言ったので追っ払ってやったけれど。」と言うと、神官長は「平民風情が偉そうな口を聞くな。」と俺を睨んできた。
神官のマルコさんが「まあ、まあ。ガードン男爵はこちらには何の連絡もされなかったのでもうアリシアさんをご自分の領地にお迎えになったのだと思っていたのですよ。彼によると男爵とアリシアさんは相思相愛だったと言うことですから。」
アリシアはさすがに怒気を含んだ低い声で「そんなことは一切ありません。」と答えた。
「では、クエストを達成せずに神殿を離れるならば金貨100枚の違約金を払う必要がありますよ。男爵が出したのはもはや単なる神殿への寄付という扱いになるでしょうから。」
「ああ、アリシアはクエストを達成したんだよ。宝玉は手に入れた。ほら見ろ。」
俺はバッグから宝玉を出した。
神官長とマルコ神官は宝玉を見て「宝玉が光っている。誰か聖女が手を触れたのか?」とお互いに驚きあっている。
「はあ?手を触れたのはアリシアだけだよ。ほら、アリシア。」
俺がアリシアに宝玉を手渡すと宝玉はもう部屋が眩しくなるくらいに光を放ち始めた。
「聖女様」
神官長とマルコ神官はいきなりアリシアに平伏すると「あなたは聖女様です。間違いありません。ああ、ガードンなどに取られなくて良かった。神の恵みに感謝です。」などと言い出した。
「そもそもガードンにアリシアを攫わせようとしたのがお前らじゃねえか。」
俺もちょっとムカついた訳である。
神官長は「いいですか、聖女は純潔であることこそが重要です。あなたのような下心満載の男が聖女様に近づいてはいけません。今から聖女様は修行に入らねばなりませんからあなたはさっさとここから出てゆきなさい。」と俺を追い出しにかかった。
マルコ神官に手を引かれて「さあ、聖女様、修行を始めねばなりません。」と言われたアリシアは「えっ、ジャン、私はジャンと一緒がいいのよ!聖女なんて聞いていないわ!」と叫びながら奥の方に連れてゆかれてしまったのである。