特別な話~祝!PV50万記念!イェアー!~
暗い暗い空間の中に、黒ローブはいつもいる。
自分ひとりが光に照らされた状態で。
「――――――おや?また来てくれたのか?いやあ、嬉しいなあ。最近話し相手どころか人にすら会ってなくてね、ちょうど恋しかった所なんだ」
黒ローブはやはり誰に説明するでもなく、ただふらふらと、さまようかのように歩き続ける。
「えーっと、どこまで話しただろうか・・・・・・」
指を顎にあて、考え事をするようなしぐさをとる黒ローブ。
「ああ、そうだ思い出した。確か――――――」
そして黒ローブは話し出す。
暗い空間の中には、聞き手などいないのに。
「・・・・・・」
龍稀がまたもや屋上で寝ている。彼は本当に昼寝が好きだな。いっそ昼寝と結婚すればいのでは?と思うほどだが、昼寝はそもそも生物じゃないので結婚できない。残念。
「・・・・・・次こそは・・・・・・」
そこへお客様が一人。
まあ、例の少女なのだが。
少女はアイアンクローを食らわないように、慎重に近づく。
ただし、龍稀はこの時点でおきている。
一瞬だが、目を開けたのを見た。ただし、私にしか分からないくらいのものすごい速さで。
「バレてない・・・・・・よね?」
残念。完全にバレてます。
そう言いつつ少女は龍稀に近づき――――――、
「・・・・・・(無言でアイアンクローをかます)」
「うぇっ!?いつの間に気づいて頭が粉砕されるうううううううう!!」
ギリギリメキメキとアイアンクローをかまされた少女の頭が悲鳴を上げる。相変わらずスゲェ威力。
「・・・・・・(無言でアイアンクローを止める)」
「・・・・・・あれ?どったの?」
いつもならもっと長く食らっているらしく、突然の停止に驚く少女。
「・・・・・・誰か、来る」
「え?」
少女が、何そのニュータイプと聞こうとした時、
バァン!と、音を立てて屋上の扉が開いた。
「うひっ!?」
「・・・・・・誰だ」
びっくりして龍稀の背中に隠れる少女。龍稀はそれを庇うように前に出る。
「誰?いやあ、別に誰だっていいんじゃね?俺はあんたと殴り合いしに来ただけだし」
扉の奥から現れたのは、いかにも現代っ子という感じのチャラ男。
「俺が勝てば俺の株が上がるってもんでしょ!なあ『戦女神』さんよ」
「!・・・・・・その名を使うな。中二病患者」
『戦女神』という言葉に反応する龍稀。
「中二病・・・・・・?何だそりゃ」
「見ていて痛々しいことを平気でしたり、聞いていてウザったいと思う言葉を言う人の事」
得意げに少女が説明する。
チャラ男は意味を理解したのか、見る見るうちに顔が真っ赤になっていく。おお、こわいこわい。
「来いよ、中二病患者」
「なめるなあ!」
チャラ男が龍稀に向かって右ストレートを放つが――――――。
結果。チャラ男はあっさりと負けた。龍稀のカウンターが顎にヒットし、垂直に空を飛んでから地面に落ちた。
「・・・・・・よえ」
通行の邪魔だったチャラ男を蹴って移動させ、扉に手をかける。
そしてそれについていく少女。
「・・・・・・ついてくんな」
「やだ」
諦めた様にため息をつく龍稀。諦めたらそこで試合終了だぜ?
やがて二人は屋上から出て行き、後に残ったのはチャラ男だけだった。
「――――――どうだった?今回の話は」
黒ローブはまた歩き出す。
「ふう・・・・・・喋ると喉が疲れるな。まったく・・・・・・」
はぁ、とため息をつく黒ローブ。
「今度のど飴でも買ってこよう・・・・・・それじゃあ、また次の機会に会おう」
黒ローブが消え、光が消え、そして残ったのは暗い空間。
もうちょっと続きます。イェア。
今回は元ネタ解説はなしです。多分元ネタがあるものを使っていないので。