第59話~白い人はいじめるのが好きらしい~
「よう。気分はどうだ?」
「最低な気分をプレゼントしてくれてどうもありがとう」
気がついたら、例の白いアイツが目の前に居た。死ねばいいのに。
「まァそう言うな。で、どうだった?てめェがてめェになる瞬間の記憶は」
「あの時の俺の軽率さは思い出したくも無かったよちくせう」
子どもって好奇心旺盛って言うしなー・・・・・・。もうちょっと慎重に、尚且つ場に流されない力を身につけておけば良かった。
「・・・・・・やっぱり、てめェはまだ受け入れちゃいねェか」
「あん?何言ってんだお前」
なにやらボソボソと呟いている白い人。小声で言われたって聞こえないんですけど。
「・・・・・・よし。ンじゃ次、行ってみようか」
「は?」
またもや胸の前で手を握り、それをスッと横にずらす白俺。
そして俺の意識が再び――――――。
「ふんっ!」
目が覚めたら、どこかの路地裏でした。しかも暗い。
「チッ・・・・・・あの野郎。次は何をしやがった」
一寸先は闇、ってこういう事か?と言うほどひたすら真っ暗な・・・・・・あれ、ことわざの意味違ったっけ。まあいいや。
『なぁ君。おじちゃんここら辺の地理に詳しくないんだ。××まで案内してほしんだけど、できるかい?』
『えっ?でも・・・・・・知らない人にはついていくなって・・・・・・』
おや?どこからか声が聞こえる。
最初に聞こえたのは、結構低い声だったから、恐らく成人はしているであろう・・・・・・男か。
後に聞こえたのは・・・・・・忘れもしない。石を触った少年だな。
『まあいいじゃないか。どれ、この飴をあげよう。甘くておいしいよ』
『えっ!ほんとう!?わーい!』
声のする方へ向かってみれば、いかにもな感じの怪しい男が飴を手渡し、それを今まさに受け取った少年が居た。
飴に満足したのか、ホイホイとおっちゃんについていく少年。あーあ、可哀想にねぇ。
少年ではなく、おっちゃんの方が。
『あれ・・・・・・?ここ、どこ?』
『おじちゃんが行きたかった所だよ』
『でも・・・・・・さっき言ったばしょとはちがうよ・・・・・・?』
少年の不安げな声が聞こえる。
できれば今すぐにでもあの不審な男をもいでやる所だが(ナニをとは言わないが)先程公園の件であったように、身体が動かなくなってしまっていた。なんてこったい。
『もしかして・・・・・・』
『おや?気づいてしまったのかい・・・・・・だが、もう遅いよ』
確かこの時、町で不審な行動を取る男がいたとかで集団下校したんだっけな・・・・・・いやはや、懐かしい。
『おじさん、アブナイ人・・・・・・?』
その聞き方はマズいと思う。
『違う違う。おじちゃんはただ、自分に素直なだけさ』
言ってる事はカッコイイと思うだろ?
不審者なんだぜ、コイツ・・・・・・。
危ない人から逃げようとする少年だが、案内した先は袋小路。逃げ道は男が塞いでいるので、逃げる事は不可能。
まあ、普通のちっちゃな子どもならね。
『さあ・・・・・・君も、自分に素直になってみようか・・・・・・』
ゆらりゆらりと少年に近づく男。
『・・・・・・!』
じりじりと後退する少年だが、やがて巨大なコンクリートの壁にぶつかり、足を止める。
『さあ・・・・・・早く・・・・・・ハリー・・・・・・ハリーハリー!』
さすが不審者、目の色が危険だぜ。
と、少年が男に背を向け、コンクリートで出来た壁を睨む。
『おや・・・・・・?諦めたのかい?おじさんとしてはもう少し抵抗してくれた方が・・・・・・いや何でもない』
おっちゃん。お前は少年に何を求めていたんだい?
『えいっ!』
コンクリの壁に向けて、正拳突きを放つ少年。
・・・・・・が、即座にしゃがみこみ、涙目になってしまった。
うわあ、何やってんの。
『そんな事したって君が可愛くなるだけなのにね・・・・・・クス、クスクス・・・・・・』
おっさん、気のせいか、あんたの身体から黒いオーラ溢れてるぞ。
が、そんなおっさんのオーラが一瞬にして消し飛ぶ。
何故か?
コンクリの壁が、音を立てて崩れ去ったから。
『・・・・・・今だっ!』
壁に開いた穴から逃走する少年。そして子どもとは思えないスピードで走り去っていった。
『・・・・・・なん、だと』
唖然とするおっちゃん。うん、いやまあそうだろうね。
小学生にすらなっていないような子どもが、拳一つでコンクリの壁に穴を開けたんだから。
この時は自分でもマジ驚いた。まあ、手が若干切れていて血が出ていたので、おっさんが見えなくなった後すぐに泣いたんだけど。
「・・・・・・お、動ける」
動けるようになったので、おっちゃんにバレないように背後から近づく。
『・・・・・・』
未だに口を大きく開けポカーンとしているおっちゃん。
・・・・・・悪いが、そろそろ現実に戻ってきてもらおう。
「ふんっ!」
『おぐうっ!?』
男の股間目掛けて思いっきり蹴りを出す。
男はビクンビクンと痙攣した後、白目を剥いて泡を吹き出しながら気絶した。
いやあ、いいストレス解消になったぜ。
「よう。初めて力を使った時の感想はどうだ?」
「お前の顔を見るたびにストレスがたまる」
気がつけばまたもや目の前に居る真っ白な人。本当に死ねばいいのに。
「俺に会った時の感想を聞いてるんじゃねェんだかな」
「はいはい言やあいいんだろ言やあ。・・・・・・確か、すっげー驚いたのを覚えてるな。なんせ3、4歳でコンクリの壁をブチ壊したんだし」
素直な感想をぶつけてやる。それにしても、コイツは何故こんな事をやっているのだろうか。
アレか?心の弱い部分を見せてそこを強化しようってか?
残念だったな!俺のメンタル面は鉄壁なんてものじゃ言い表せれないほどの強固な壁となっているぞ。
「あのさ、何でこんな事しよるん?俺いじめて楽しいか?」
「凄く楽しいな」
この鬼畜外道!
「ってのは2割冗談として」
「2割?今コイツ2割冗談つった?」
半分以上本気で言っているのかコイツは。まさに外道。
「最初に言っただろ。てめェに強くなってもらいたいからやってるんだよ」
いや、これ以上強くなれとか言われても嫌なんだけど。
「てめェ自体が強くないと俺も張り合いがねェからな。それに・・・・・・」
それに?
「俺はてめェが本体と認めたわけじゃねェからな。てめェが俺より弱いと分かったなら、即座に首を掻っ攫う」
あらそう。怖い怖い。
「んじゃ・・・・・・まあ、不本意だが、首狩られるの嫌だし、大人しく付き合ってやりましょうかねえ」
肩をすくめ、やれやれだと言った仕草をする。
「ケッ、素直じゃねェ事で。オラ、次行くぞ」
またもや胸の前でどうのこうのなんで省略。
三度意識が闇に落ちた。
ぬーん・・・・・・クオリティが下がっている気がする今日この頃。
スランプ?冗談じゃない。この程度の小説書いてるぐらいでスランプなんてなってられるか!




