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語られない日常~隠蔽された最強のお仕事、中篇第二幕~

 あはは、まだ記念話のネタ出来てないやどうしよう。

















 夜。昼間は活気に溢れていた町だが、今は人一人おらず、静寂に包まれている。


 そんな暗い夜道を歩く少年が一人。



 まあ言わずもがな俺である。


 てなわけで皆さん、久しぶりのこんにちは。お元気ですか?俺は元気です。


 現在手紙に書いてあった時刻直前だったので移動中だよ。


 ちなみに指定された場所は町外れの古い洋館でした。脳内ヤ○ーマップで検索したから間違いないだろう。


 真っ暗で音一つしない道をてくてくと歩く。もし俺が彼女持ちとかだったら背後から襲われたりするのだろうが、生憎彼女なんていない。残念だったな貴様ら!はっはー!




「・・・・・・っとと。もう着いたのか」


 脳内コントやってるうちに着いてしまったようだ。目の前にはいかにもな感じがする古臭い洋館があった。


 確か呪われた館から脱出するゲームってあったよな・・・・・・イ゛エ゛エ゛ア゛。


「・・・・・・誰かいる?」


 近づくにつれてわかったが、洋館の入り口あたりに人がいることがわかった。


 人影が見えたからである。しかもかなり大きい。下手すりゃ俺よりあるんじゃね?


「・・・・・・」


 慎重に歩く。罠とかだったら嫌だし。


 と、大男(推測)がこちらに気づいたのか、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。


 念のため銀を刀へ変化させておく。いきなり襲われたりしたらかなわんし。



 こちらに近づくにつれて、段々とその全貌が見えてくる。


 推測した通り、立派な大男ですよ。2mはありそう。


 大男が突然胸ポケットあたりから何かを取り出す仕草をする。


 当然警戒しますよ、ええ。右手で刀を構え、左手で四次元ポケットに手を突っ込み、いつでもカノンを取り出せる状態にする。


 大男はポケットから何か四角い物を取り出し、それに何かをしている。暗くてよくわからん。


 と、手に持っていた四角い物をこちらへ差し出す大男。


 何事かと思ったが、その四角い物に、


『武器を納めてほしい』


 と書いてあった。なるほど、この四角い物はメモ帳か何かだったのか。


 銀の変化を解く。銀は即座に頭の上へ。相変わらず定位置だな。

 

 四次元ポケットに突っ込んでいた手もポケットから引っ込める。


『感謝する』


 メモ帳を見せる大男。ここでふと疑問。


「なぁ、あんた喋れないのか?」


 コクリと頷く大男。


 なるほど。だからこんなまだるっこしい事やってたのか。


『あの手紙をおいて置いたのは私だ』


 あの手紙、とはあのナイフ投げてくる奴と戦った後に見つけたアレだろう。


「するってーと、あんたが犯人を知ってるのね?」


 頷く大男。


『住民を殺した者は私が護衛を勤めていた。だから何をやっていたのかある程度わかる』


 この人は殺人犯の護衛なんてやってたのか・・・・・・異世界も不況なのかな。


 こんな人に護衛されたら誰も近づけないだろうから、むしろ仕事はたくさんありそうだが・・・・・・今は関係なし話。


「んじゃ、その犯人はこの洋館の中にいるんだな?」


 頷く大男。


『どうか、あのお方を止めて欲しい。あのお方はやり過ぎた』


 そんなメモを見せてくる大男。やり過ぎた?止める?何それ。


「まあ、要は死なない程度にボコボコにしろって事だろ?任せろ、専門分野だ」


 まあ、力加減間違えて死んでしまうかも知れないがな・・・・・・クク。


 おっと、つい本音が。


『ありがとう。そしてあのお方をよろしく頼む』


 メモを見せると同時に頭を下げてくる大男。


 身長2mはあろうかという巨大な人が頭を下げるとなんか壮観だ。


「ん、任せんしゃい。キッチリお灸を据えといてやる」


 大男は、俺が見えなくなるまで頭を下げていた。
























 どうやらこの洋館、古臭いのは見た目だけじゃなく中身もらしい。


 扉を開くたびにギギギ・・・・・・と嫌~な音がするし、足場だってさっきからギシギシと悲鳴を上げている。いつ壊れてもおかしくない。


「・・・・・・銀。一応変化」


『了解です主』


 銀を刀へ変化させてから、慎重に暗い洋館を歩く。


 あまりにも暗すぎて奥が見えない。というか自分の周りを見るだけで精一杯なのだ。


『しかし・・・・・・随分と不気味ですね』


「そうだな。これぐらい不気味だと、出るものも出るんだろうなぁ」


『へ?出るって・・・・・・まさか』


 手に持っている刀がブルブルと震える。銀はこの手のホラー話には弱いらしい。ちょっとイジメテヤロウカネ?


「ほらそこに赤い血痕が!」


『いいいいやあああああああああっ!!』


 いやなにもそこまで驚かなくても・・・・・・あれ?


 先ほど指差した所をじーっと見る。


「・・・・・・おいおい、嘘だろ?」


 そこには、冗談のつもりで言ったはずの血痕が確かにあった。


「はっは・・・・・・こりゃマジでいるかもな」


『ややややややめてくださいよ主!私がこういうのに弱いの知ってて言ってるんでしょう!?』


 初耳だけどね。


 いやでも本当にいるかもしれない。殺人犯探しに来たのに、今や心霊スポット巡りとさして変わらん事になってるような。


「・・・・・・この血痕、まだ新しいな」


 さらによく見ると、この血痕はまだ乾いてない事がわかった。つまり、これは最近出来たもの・・・・・・?


 この洋館、本気でヤバい。一旦広い場所へ出よう。




 一度入り口へ戻り、扉のノブを回す。


「・・・・・・ん、開かない?」


 つい先ほどは簡単に開いたのに、今は開く気配すらしない。


 そういえば血痕を見つけたあたりから空気が変わっているような・・・・・・。


 今までの空気は、どことなくジメジメして嫌~な空気だったが、今は違う。


 ピリピリとした何かが伝わってくる。これは・・・・・・殺気か?


 こんな狭い場所で戦闘はちょっと無理くさい。そうなるとこの扉を意地でも開けなきゃいけないのだが・・・・・・。


「開けゴマ!」


 まあ開くわけ――――――、



 ギギギギギ・・・・・・。


 ない――――――よ、ね?


「開いた・・・・・・だと」


 今にも崩れ落ちそうな扉がひとりでに開き、まるで誘うかのように広い場所へ通じる道が開いた。


『・・・・・・気をつけろ。なんかいるぞ』


 白さんがそんな事を言ってくる。いや知ってるから。俺もなんかヤバい空気は読めるから。KYじゃあるめーし。


「ここはあえて敵の罠に乗って油断しているところをフルボッコにするのが外道というもの」


 俺流ケンカ法その1。敵の罠にはあえて乗るべし。そうやって「かかった!」と思わせといてその罠を粉砕するのが流儀。


 いやあ、罠を壊した瞬間のポカーンとした表情がたまらなくてね。クク。


 言うなれば孔明が『今です!』と仕掛けた計略を軽々と打ち砕くようなもの。な?楽しそうだろ?



 っと。話が逸れたな。ちゃっちゃと帰って寝たいし、犯人捕まえてやりますかね。



 洋館の入り口の扉をくぐり、広場に出る。



 その直後、足元に何か刺さる音がする。


「・・・・・・っぶね」


 それはよく見ると銀色のナイフだった。ホントにあぶねぇ。当たったらどうすんだよ。










「――――――おやァ?今宵も新しい生贄がきたようですねェ?」


 どこからか、聞くものを不快にさせる声が聞こえる。


「誰だ!といわなくてもこちらは分かってるんだけどね」


 振り向けば、洋館の屋根の上に月明かりに照らされた人影が見えた。さっきのナイフはアイツだろう。多分。



「一つ質問な。最近巷を騒がせている殺人犯はお前でFA?」


「殺人犯?貴方は一体何を言ってるんですかァ?ヒャッヒャッ」


 何がおかしいのか笑い出す人影。何を言ってるんですかって・・・・・・いや、こっちが聞きたいです。


「とりあえず質問に答えろ。殺人犯はお前か?」


 先ほどより声を低くして言う。質問という名の脅しだったりする。


「おォ、怖い怖い。そんな慌てずとも、答えますよちゃんと」


 屋根の上からジャンプし、空中で三回転してから地面にスタッと着地。うわカッケぇ・・・・・・はっ!俺は一体何を考えているんだ。


「最近この館にも人が来なくなりましてねェ・・・・・・あまりにも暇だったので、つい手を出してしまったんですよ。ヒャヒャッ」


 












 今、コイツは何と言った?


 暇だから殺した?ざけんな。そんな理由で奪っていい命なんてあるか。


「・・・・・・もう一つ質問。テメェは誰かに泥棒しろと命令したか?」


「泥棒?・・・・・・あァ、あの臆病な人間ですか。私が殺そうとしたら生意気にも『何でもしますので命だけはお助けを』なんて言うもんですから、私に美しい物を献上しろと言ったのですよ。・・・・・・もっとも、貴方に邪魔されて失敗したようなので、私が殺してさしあげましたが」













 ・・・・・・ああ、そう。






「私に必死に『命だけは助けてくれ』と言っていた時のあの必死な表情!私はアレが見たかったんですよォ!ヒャッヒャッヒャッヒャッ」











 ああ、お前はもう喋るな。煩いから。







「・・・・・・まァ、殺した時の何が起きたのか分からないような表情は気に食わなかったですがねェ」


 






 それ以上喋るな、屑が。





「私はもっと苦悶に満ちた、そう!人の苦しそうな顔を見るのが大好きなのです!さァ、貴方は一体どんな顔をしてくれますかねェ!?アッヒャッヒャッヒャッヒャ!」













 ああ、もういいや。いい加減キレてもいいよな?


「恨みがあったから殺したっていう理由なら、半殺しで済ませてやったんだがな・・・・・・」


『主・・・・・・』


 刀の切っ先を、屑野郎に向ける。



「久々にブチ切れモードだぞこの野郎・・・・・・!覚悟は出来てんだろうなぁ!?全殺し確定だぞテメェ!!」



 狂ったように笑い続ける屑に向かって、俺はそう言い放った。

 ちょっと重たい話が続きますが、もうちょっとで終わる予定ですので、しばらく我慢を。



 ・・・・・・私だって耐えられないんだよ!出来るなら今すぐにでもギャグに走りたいよちくせう!


 何だってこんなタイミングでこんな重い話を書いたんだよ私いいいいいいい!!

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