第52話~嫌な予感が当たったときの絶望感は計り知れないもの~
ミノタウロス(推測)と目が合った。
牛らしきブモオオオオオオという雄たけびと共に突っ込んでくる。それはさながらトラックが突っ込んでくるかのよう。
・・・・・・あ。そういや俺、トラックか何かに轢かれて死んだんだっけ・・・・・・あはは。
軽く轢かれた時の記憶がフラッシュバックしてきた。そのせいで、もう目の前にいるミノタウロス(推測)に気づくのに少し遅れた。
「・・・・・・は?」
ミノタウロス(推測)が巨大な斧を天高く上げ、それを俺に向かって真っ直ぐ――――――
「ぬあああああああっ!!」
それを間一髪避ける俺。斧が当たった地面はクレーターのようになっており、あれが自分に当たってたらと思うと少し背筋が寒くなった。
だがしかし。当たらなければどうという事はない。
コイツは攻撃する時に大降りになるので、隙がありすぎる。まさに「足元がお留守」状態。
斧をもう一度高く振り上げるミノタウロス(推測)。
それが振り落とされる前に、ミノタウロス(推測)の脛を思いっきり、それこそ骨が砕ける勢いで蹴った。
ミシミシと骨が軋む音が聞こえ、ミノタウロス(推測)が吹っ飛ぶ。そして後ろにあった建物に当たり、ガラガラとそれが音を立てて崩れ、ミノタウロス(推測)に命中。
ミノタウロス に 180の ダメージ!
こうかは ばつぐんだ!
ミノタウロス(もうめんどいからこの先この中なしで)が瓦礫を振り払い、そして雄たけびをあげる。
怒っているのだろうか。しかしそれは俺にとって隙でしかなく、
「少し頭冷やしてらー。『スプラッシュ』」
頭上から大量の水を流してやる。少しして水を消し、そして再び水を落とし・・・・・・をしばらく続けた。
それにしてもこのミノタウロス、とんでもなく怒ってらっしゃる。
具体的に言うと、顔を真っ赤にして雄たけびをあげている。おお こわいこわい。
先ほどから雄たけびを上げるというワンパターンな事しかしてこない。そんな隙だらけの腹に拳を一発。
ガシッ!ボカ!牛男はしんだ!ミノタウロス(笑)になってくれると、俺もこれ以上疲れることはないので楽なのだが、現実はそうスイーツ(笑)ではないらしい。
何か身体の色を真っ赤に染めたミノタウロスが雄たけびを上げて突進してきた。それも物凄い速さで。
巨大なライオンかなにかを見ているように錯覚してしまった。それほどコイツは速い。とにかく速い。
だが甘い。
「町一番の速さと恐れられた俺をなめるでない!」
それを上回る速度でヒラリと避ける。ミノタウロスは頭から俺の後ろにあった建物に衝突。建物が粉々に砕け散った。なにその石頭。
「・・・・・・ロ・・・・・・」
ミノタウロスが何かを呟いた。てかコイツ喋れるのか。
「・・・・・・ロ・・・・・・ス」
すまん。お前が何を言いたいのか分かってしまった。だからその先は言わないでくれ。
「・・・・・・コロス!!」
巨大な斧をブーメランのように投げつけてくるミノタウロス。それは凄く・・・・・・大きいです・・・・・・と思わず呟いてしまうほど大きく、それ故に危険だということが分かった。
なので、無理をしない俺はそれを大人しく避ける。そして反転して再び襲い掛かってきた斧に乗るという荒業をやってみせた。
「はっはー!速い速い!!」
回転する斧の上で、俺は吐きそうになりつつも右手に力を込める。やがて右手から紅蓮の炎が噴出す。
「こんな牛男相手にしてられるか!俺はさっさと家に帰るぞ!」
あえて死亡フラグを立てるというとんでもない技を使いつつ、斧からミノタウロスに向かってダイブ。そして右拳をミノタウロスの顔面にぶつける。
「久々の『火龍拳』!!」
炎に包まれた拳はミノタウロスの顔面に見事にヒット。肉が焼ける臭いと共にミノタウロスはゆっくりと地面に倒れた。巨大な地響きをたてて。
久しぶりに更新できたので、今回はネタ成分がかなり入っています。全部分かったあなたは凄いです。二次元マスターの称号を与えようかと思います。
・・・・・・え?いらない?そうですかいらないですか。
投稿して即座に間違いに気づくという失態。ああ恥ずかしい。