第41話~後方から殺気!~
ヒュッ!!
突然どこから何かが飛んでくる。
カァン!!
刀で弾く。
「これは・・・・・・ナイフ?」
弾いたものを拾ってみると、ナイフのような形をしたものだった。
『主・・・・・・それ、毒が塗ってあります』
「え、マジで!?」
慌ててナイフを放り投げる。ちょうど落ちてきた岩にあたり、岩を粉砕。
『一応さっきの毒は触れただけでも死ぬような猛毒だったんですが・・・・・・』
「・・・・・・うん。何ともないねハハハ・・・・・・」
毒で死なないってよ、俺。最近やけに人外の階段を上るスピードが上がってる気がする。
「・・・・・・ん?」
岩に隠れて見えないが、後ろの方から人の気配がする。さっきのナイフを投げてきた人だろうか。
「・・・・・・試してみるか」
四次元ポケットの中からある物を取り出す。
「出でよ『カノン』!!」
某食いしん坊な旅人の持つ、大口径のリボルバー。二つ持ってたんで一個譲ってもらった。
「秘技!一秒に五連射あ!!」
放たれた五つの弾丸が、岩に命中。そして粉砕。ついでにさらに後ろの岩にあたり粉砕。
「あちゃーバレちゃったかー・・・・・・」
誰かが出てくる。
「・・・・・・ん?あんたどっかで会ったような・・・・・・」
そう。どっかで会った事が・・・・・・事が・・・・・・。
「んー覚えてないかな?ほら、前に失踪事件のヒント教えたんだけど・・・・・・」
「・・・・・・あ。ああ、アンタか。いやあ、あの節はどうも」
「いやいや。僕としても、さっさと解決してほしかったからね」
「で。何でナイフなんて投げるん?」
「・・・・・・それはね、」
言いながら、ナイフを取り出すいつぞやの人。
「君を、殺す為だよ」
ナイフがこちらに向かって飛んでくる。
キィン!!
刀で弾く。
「・・・・・・おいおい。随分と物騒な話だな」
「ちょうど魔力もほとんど無いみたいだし、容赦なく行かせてもらう、よっ!!」
ナイフが飛んでくる。弾く。
「ええいちょこまかと・・・・・・鬱陶しいんじゃボケえ!!」
残っていた魔力で魔法を放つ。
「ははは!!焼き払え『フレアバースト』!!」
チュドオオオオオン!!
「なっ!?くっ!!」
体勢が崩れる・・・・・・アサシンでいいか。アサシン。
「半径20kmが俺の射程範囲だ!!」
カノンを構え、撃つ。
「がはっ!!」
吹っ飛ぶアサシン。さて、コイツはどうしたもんか・・・・・・。
「・・・・・・殺さないのかい?」
「んー。今それを考えてるとこなんだけどさ」
『主。とりあえず誰がこの人をけしかけたのかぐらいは聞きませんか?』
「そうだな。なあ、あんたの依頼主は誰だ?」
「言えないよ、そんな事」
「ですよねー・・・・・・」
どうしようコイツ。生かしておいたらまた狙われるかな・・・・・・。
「しゃーない。殺すか」
カノンを構え、撃つ。
「・・・・・・?ありゃ、弾切れか」
弾が出てこない。恐らく弾切れだろう。
「最近あんまり使ってなかったしなー・・・・・・。あ、そう言えば掃除もしてねえ・・・・・・」
一日一回は掃除しておけって言われたっけ・・・・・・。
「はぁー・・・・・・帰ろ」
「・・・・・・僕は殺さなくてもいいのかい?」
「弾切れだっつってんだろ。何?あんた死にたいの?殺されたいの?命は大切にしようぜ?それにその出血量だ。ほっといても死ぬだろ、あんた」
そう。このカノンは本来一発撃つのに時間がかかるし、何より掃除が大変だ。でも威力がとても高い。一応リボルバーですから。
「・・・・・・ま、そうだね」
「じゃな。もう会わないだろうけどさ。というか会いたくない」
そして、今度こそ学園に向かって走る。
「・・・・・・馬鹿だね。これくらいの傷、治せないとでも?」
少年が走り去った後、ちゃんと気配もなくなってから呟く。
身体を淡い光が包み込み、出血が止まる。
「それにしても・・・・・・任務失敗かー。これは怒られるかもなー・・・・・・」
動けるのを確認してから、ゆっくりと腰を上げる。
「ま、いいや。得意の平謝りでもすれば何とかなるでしょ」
そして、最初からそこには何もいなかったかのように、『消える』。
失踪事件
解 決