第37話~闇~
この少女は今、何と言った?
売られる?捕まった?
一体どういうことだ。
「できればもう少し詳しく」
「わかったわ」
そしてゆっくりと話し出す。
「私は元々あの学園の生徒だったの。でも、いつだったか、突然見知らぬ男に襲われて。気づけば薄暗い洞窟の中。助けは来ない。聞こえるのは男の醜い声と女の嬌声だけ。そこで私は分かったの。ああ、ここは奴隷を集めている場所なんだって」
奴隷、ね・・・・・・。
「随分と腐った話じゃないか」
「そう。とても腐ってる。正気の沙汰とは思えない。でも、実際これで金を稼いでいる人間もいれば、夜のお供にして満足する人間もいる。稼いだお金で幸せに暮らしている人間もいる。口減らしのために売られた人間も。こういう腐った世界がなければ、この国は成り立たない」
「・・・・・・そうだな。確かに、こんな腐った事をして私腹を肥やす奴もいるか。だけどさ、」
息を吸う。
「そんなことをしないと成り立たない国は、国じゃない。腐った所は排除すべきだ」
はっきりと告げる。
「・・・・・・そんなことをしたくても出来る人はまずいないわ。よっぽどの権力を持つ人か、ここを壊滅させるほどの力を持っている人か」
「力なら持ってるさ。非常に不愉快だけど」
基本俺は穏便に事を済ませる派だ。まあ、こんな力を持ってしまったので、最近はこちらを有効利用してるが。
「そんな・・・・・・無理よ!この洞窟の大きさを知ってるの?私のような人が何千人いても足りないのよ?」
「ああ、それくらいなら余裕だな。ちょいと魔法をぶっ放せばそれでお終いだ」
「で、でも・・・・・・「いたぞー!!」っ!!」
「それに・・・・・・四の五の言ってられない状況になっちまったしさ。やるしかないのよさ」
『主、私はいつでも大丈夫です』
「俺はこれからここを完全に消滅させる。それまでにここを逃げるか、俺についてくるか。どうする?」
「・・・・・・ここにいても殺されるだけ。それなら、まだあなたと一緒にいた方がましだわ」
「うむ。いい返事だ。『音無』」
銀を刀に変化させる。
「さって。俺は結構本気で怒ってるんでな。死んでも文句は言うなよ?」
まず、いきなり魔法を打とうしていた奴の腕を切り落とす。魔法は基本杖がないと使えない。ならば持てなくしてやればいい。
「うっ、うわあああああああ!!」
「次はテメェだ、屑」
パニックになり、突撃してきた奴の足を切り落とす。これで移動は不可能だろう。
「なんだ、たった三人しかいないのか。準備運動にもならないぜ」
「あ、ああ・・・・・・」
「ま、どうでもいいや。はい最後」
最後に残った奴の全身を切り刻む。当然殺してはいない。まあほっとけば出血多量で死ぬけど。
「うへぇ・・・・・・血がついちまった。後で洗わなくては」
「あなた・・・・・・結構酷い性格してるわね」
「よく言われる。っと、追っ手が来る前にさっさと行くで?」
そして、走り出す。
奴隷云々は飛ばしてもらっても構いません。多分。
まあ、人間扱いされてないことに怒ったと思えば、少しは気持ちが理解していただけるでしょうか。