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第110話~最終決戦!オワリ~

 ラスト付近でとある電撃文庫の小説に影響され似たような書き方になってしまった死にたい。どうせなら最後もオリジナルな書き方で終わらせたかった・・・・・・。




















 背後から飛んできた黒剣が魔力の嵐という壁に阻まれどこかへ飛んでいく。


「一度見せた技が二度も三度も通じるとでも?」


 余裕のある笑みを浮かべる俺と、その間逆に笑みの無い魔王。


「――――――さあ、な!」


「! っとと」


 魔王が身体を後ろへ引き、それに釣られて前へつんのめりそうになる。


「ふっ!」


 魔王が俺の腹に狙いを定め、勢いよく黒剣を突き出すが、キィン! と黒剣が魔力の嵐という壁に阻まれ金属音を響かせる。


 攻撃が通じなかったからか魔王が後方へ飛んで距離をとり、追いかけようとすれば空を飛ぶ無数の黒剣がそれを阻止するように暴れる。


「どうした魔王。随分と焦っている様に見えるが」


「それは気のせいだろう」


 僅かに額に汗を浮かばせている辺り、今の言葉は強がりか何かだろう。


「ピンチになると覚醒する。ジャンプみたいなシナリオだが――――――まあ、悪くは無いな」


 ゆっくり、と。


 飛んでくる黒剣を気にもせず魔王へ向かって歩く。


「魔王。アンタは確かこの世界じゃ悪役だったんだよな」


「・・・・・・だったら、どうした」


 そうか。


「なら、悪役らしい最後を送らせてやるよ」


 銀を刀から元の狼のような姿に戻す。


『え・・・・・・』


 銀も突然の行動に驚いたのか、呆けた声を出した。


「銀。悪いがちょい離れててくれないか」


 首根っこ辺りを掴んで持ち上げながらお願いをする。


「出来るだけ遠くへ走ってくれ。『巻き込みたくは無い』」


『・・・・・・必ず、後を追いかけてきて下さいね』


「ん、了解。カカッと追いかけてやるよ」


 銀を優しく透明な床へ下ろすと、銀はこちらを一度見上げた後、透明な床を走っていった。


「・・・・・・さて、と」


 銀が見えなくなるのを確認した後、内に潜むもう一人の自分へ呼びかける。


「(白、起きてるか)」


『・・・・・・あァ、起きてるよ。やンのかアレ?』


「(やる。やると言ったらやる。拒否権はないぜ俺)」


『なら最初から聞くンじゃねェよ。・・・・・・まァ、やるがな』


「(頼むぜ)」


 思えば、最初の出会いは最悪だったな。

 

 何せ出会い頭に「てめェを殺す」だ。これで好感度が上がるかと言えばむしろ下がる。


 それが今となっちゃあ力を貸してくれる程の仲になっちまった。まあ、結局アイツも俺なんだから、俺に俺が力を貸すのは当たり前の事なのか?


「・・・・・・いい加減しつこいぞ魔王。さっさと諦めてくれないか」


 先ほどから何本も黒剣が飛んできては魔力の嵐がそれを防ぐ。


「残念だが、我の辞書に諦めるという言葉はないのでな」


 やや苦しげな表情を浮かべながらそう返す魔王。表情が苦しげなのは、俺に攻撃が効かない事への焦りか、それとも別の何かか。


「そうかい。じゃあ俺が刻んでやるよ。諦めるって言葉の意味をな」


 左手に尋常じゃない量の魔力が流れ、溢れた魔力がとある形を創り出す。


 ――――――それは、真っ黒な一振りの刀。


 これはアイツの・・・・・・いや、白の力。


 そして、今度は自分の意思で右手に魔力を流す。


 溢れ出た魔力が形作ったものは、白い一振りの刀。


 黒と白を合わせるように両手を頭上へゆっくりと動かす。


 やがて頭の丁度天辺あたりで出会った白と黒の刀に変化が起きる。


 ズアッ! と突然縦に二本の刀が勢いよく伸びる。


 ――――――その長さは、空にかかる雲を切り裂くほどの長さ。


 白と黒は決して混ざらず、そして反発する事もせず、お互いにぴったりとくっつきゆらゆらと小さく揺れる。


「――――――この技にはまだ名前がない。何せ、まだ完成すらしていなかったからな」


 魔王に言うわけでもなく、自分に言い聞かせるわけでもなく呟く。


「何だ・・・・・・その、あり得ない魔力は。我が与えた魔力を超えているぞ・・・・・・」


 魔王が顔に驚愕の表情を浮かべながらそう言った。


「何だ、知らないのか? 人は変わる生き物なんだぜ? いつまでも同じ姿でいると思うな」


 その言葉で魔王の顔がさらに歪んだ。


 が、次の瞬間にはその顔に喜色を浮かべながら笑った。


「は、ははははははは!! 素晴らしい! 何という力だ! お前こそ我が――――――」


「お前、さっきの話聞いていなかったのか?」


 魔王の台詞に強引に入り込む。


「俺はお前の〈後継者〉なんざやらねえって。さっき言っただろうが」


 表情の無い顔でそう告げる。


「・・・・・・そうか。まだそんな事を言うのか」


 魔王が身体をゆらり、と揺らしながら呟く。


「ならばこの魔王! 全力を以てしてお前を屈服させる!!」


 ゴウッ! と魔王から黒い魔力が吹き荒れる。


 ――――――だが、それは黒と白の巨大な刀には遠く及ばず。


「魔力だけで我に勝てると思うなよ――――――!」


「上等。こっちもそれだけで勝てるとは思っちゃいねえさ」


 魔王が己の全力の魔力と共に走る。


 近くの黒剣を通り過ぎるたび黒剣がピシピシと音をたてながら割れ、それが魔王の魔力として吸収される。


「我が全力! 受け止めてみろ〈後継者〉あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 魔王が強く笑いながらこちらへ突っ込んでくる。


 対し俺は目を瞑り、黙想。


 ――――――黒と白の、無音の世界。


 魔王が近づくにつれ段々と動きがスローになる。口が何か動いているが、何と言っているかは分からない。


 魔王から放たれた黒い魔力が俺を包み込み、圧倒的な『死』が来ると予告する。


 ――――――だが、それに俺が屈する事は無く。


 カッ! と目を見開き、纏わりつく黒い魔力を無視し全力で巨大な刀を魔王目掛けて振り下ろす――――――!


「お、おおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


 






















 カッ!! と、眩しい光が辺りを包み込んだ。


 それは空に浮かぶ城をも飲み込むほどの圧倒的な光だった。























『! あれは・・・・・・』


 魔王の分身がいた偽の玉座の間を走っていた銀が空を見上げる。いや、正確には己の主がいた場所を見る。


『主の魔力・・・・・・』


 そこに映ったのは、黒と白の巨大な刀が雲を切り裂きながら天へと伸び、それが振り下ろされる瞬間。


 巨大な刀が振り下ろされた直後に目も開けられない程の量の光が突然現れ広がり、銀を呑み込んだ。


『っ! 目が・・・・・・』


 目を閉じるのが少し遅かったせいか、瞳の奥がじんじんと痛んだ。


 光は収まることを知らず、海の上から世界へと広がっていった。
























「! ・・・・・・『俺』め、とうとうやったか」


 何かを感知したように一瞬ぴくんと身体を震わせた分身体だったが、


「っとと・・・・・・今はこの眠り姫さんを運ばないとな」


 両手で大事そうに抱えた少女の事を思い出し、海の上を走るというトンデモな移動方法で国へ向かっていった。


「・・・・・・てかまぶしっ!? ヤロウやり過ぎだろどう見ても! 帰ってきたら〆る!」


 分身と言えどもそれぞれに感情はあるらしく、本体に悪態をつくというやっぱりトンデモな事をしつつも走る足を休めない分身体であった。























「・・・・・・」


 視界が真っ白に染まり、意識すらも白く塗りつぶされそうな中ぼんやり考える。


「銀は・・・・・・無事に逃げたかね」


 身体に下から上へ吹き上げる風を感じた。今自分がどうなっているかすらも分からない。何せ視界が白いままなのだから。


「分身は・・・・・・送り届けた、かな」


 息をするのが苦しくなってきた。地に足をつけている感覚が無い事から、ようやくここが空の上だと知る。


「・・・・・・今、落ちてるのか」


 気づいた所でもう遅い。


 先ほどの技の影響か、身体が指一本すら動かせない。口だけは辛うじて動いているようだが。


「・・・・・・これで二度目の死、か?」


 今どれほどの高さにいるかは分からないが、落ちれば確実に死ぬだろう。


「まあ、いいや・・・・・・楽しんだし」


 目を閉じても、視界は白いまま。


「・・・・・・はは。やっぱ嫌だな、このまま死ぬのは」


 俺が死んだとして、銀はどうなる? リリアは?


 頭が上手く回らない中必死に考える。


「悲しむ、かな?」


 リリアは、俺が何度か大怪我をして帰ってきた後、泣きながら包帯を巻いてくれた。


 銀は、リリアからもらい泣きをした事があったな・・・・・・。


「なら、生きないといけないのかな」


 目を再び開けると、白かった視界に徐々に別の色が混じり出し、やがて青い空が見えるようになった。


「いいぜ。なら絶対に生き残ってみせる。死亡フラグなんざへし折ってやる」


 自分でも聞き取れない程小さな声で魔法を唱える。


 すると急降下していた身体にふわっと柔らかい風が吹き、それがゆっくりと下へ身体を降ろして行く。


 下を見れば、あの魔王の城があって。


 徐々に細部が見える頃には、ちゃんと待ってくれていた相棒がいて。


 ゆっくり、ゆっくりと城の床へ着地し、飛び込んできた銀を胸の前で抱きしめてやる。


「――――――ただいま、銀」


『お帰りなさい、主』


 白い光は、いつの間にか消えてなくなっていた。

























「・・・・・・あ、もう駄目だコレ(バターン!)」


『うぇえ!? ちょ、主!!』


「・・・・・・ぎーん。今まで禁じていたけどこの際だから人型にする。ちょっと運んでくだちい・・・・・・俺もう動けない」


「わっ・・・・・・久々の人型。というか運べとかなんて無茶を!?」


「ごめん悪いけどよろしく。反動を考えていなかったー・・・・・・」


「主! 寝ちゃ駄目ですよ! その状態だと本当に死にますよ!?」


「んーいっそ死にたい・・・・・・それじゃよろしく」


「うああああああ!! 誰か! 誰か担架ー! もしくは衛生兵ー!」


 慌てふためく人型の銀の姿をしっかりと脳内データフォルダに残し、ゆっくりと瞳と意識を閉じた。

 最後が締まらないのは秋時雨クオリティ。


 もうグダグダと長くは語りませんよ。

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