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第90話~いざ行かん新天地へ~




















 ストレスから解放されてついカッとなってはっちゃけてから三日がたった。


 時々それを思い出して落ち込む事はあったけど俺は元気です。まる。


 落ち込みつつも国を見て回り、色々なものを見た。


 その後色々と考えた結果、この国を出る事にした。


 ・・・・・・ほら、一つの国には三日しか滞在しないってルール作った人もいたし。ちょうどいいかなって。思いっきり三日過ぎてるけど。


 『天下一武道会』に出られないのは非常に残念だが、まあ仕方ない。もし出て目立っちゃってそれが悪魔たちに見つかったりしたら確実に終わる。または面倒な事になる。


 で、現在宿屋の一室で地図を広げているのだが。


「・・・・・・陸路はなし。行くなら船か?」


 現在俺たちがいる場所は地図の左下。飛び出してきた国が左上。


 そして海らしき青い線を挟んで右上、右下に国がある。どう見ても歩いていけそうな場所ではない。


「・・・・・・んー、この国に船とかあるのかな」


 地図を丁寧に畳んで四次元ポケットにしまい、宿屋の主にチェックアウトを告げて宿屋を出る。


「確か、どっかに港があったような気がするんだよなぁ・・・・・・」


 この国に来てから色々あったせいで、あまり詳しい事を覚えていない。


「まあ船がなくても最悪跳べばいいんだけどさ」


 そう言った直後、あの意味不明な行動を思い出して落ち込む俺がいたり。
























「はぁ? 船が出せない?」


 あれから色々と歩いて回った結果、港はあった。


 そして、普通ならそこから船で海を渡るらしいのだが・・・・・・。


「少し前から巨大な魔物が現れてよ。そのせいで船が出せないんだ。だから諦めてくれ」


 船主らしき屈強なムサいおっさんにそう言われた。


「その魔物はいつになったらいなくなるんだ?」


「さあなぁ・・・・・・。アイツが現れたせいで俺たちの商売はあがったりだよ」


 そう言ってため息をつく船主。


 んーどうにか出来ないもんかね。


 ・・・・・・あ。


「なあ、その魔物が出るのはどこら辺なんだ?」


 そう言って畳んだ地図を取り出して船主に見せる。


「ああ、確か・・・・・・ここら辺で目撃されたらしいぞ」


 そう言って、地図の何も無い中心部分の大分下を指差す。


 俺はそこに取り出したペンで×印をつける。


「なあ、ここだけ避けて進む事は出来ないのか?」


「それが駄目なんだ。ここを大きく外れると突然激しい嵐が吹き荒れて戻されるんだ」


 そうか・・・・・・。


 じゃ、俺がやるしかないか。


「じゃ最後に質問。この魔物が出るあたりまで船を出せないか?」


「出来ない事もないが、そんな事をしてどうするんだ?」


 はっ、決まってるじゃないか。


「ちょっとその生意気な魔物とやらにお話してやるのさ」


 もちろん肉体言語でな。と付け足す。


 そう言うと船主は、


「アンタ死にたいのか!? 相手は魔物だぞ!!」


 と叫んだ。どうやら俺は自殺願望者にでも見えてるのか。


「ちなみにどんな姿してるんだ?」


「あっ、ああ・・・・・・確か、巨大なイカみたいな姿をしていたらしいぞ。本気で行くのか?」


 なるほど、イカか。まあ、海に出る魔物と言えばそこら辺が妥当か。


「もちろん行くぞ? 何ならイカ焼きにして持って帰ってきてやろうか?」


 巨大と言うからには相当大きいのだろう。


 ・・・・・・すっげー歯ごたえありそうだな。


「というわけで頼む」


「冗談じゃない! そんな事出来るか!」


 そう言うと、船主はどこかに行ってしまった。


「駄目かー・・・・・・かくなる上は跳んでいこうかね」


 そう呟いた直後、























「話は聞かせてもらったぞ!」


 突然、目の前に何かが飛んできた。


「うおっ」


 思わず驚いてしまった。何だよ突然。


「ふっふっふ・・・・・・お困りのようだな?」


 その飛んできた何かは、黒いマントについた埃を手で払った後、


「船が無いなら我ら『クロック海賊団』が出してやるぞ!」


 『クロック海賊団』を名乗る黒いマントに派手な衣装の人は、俺にそう言った。


「すみませんが変態や不審者に助けられるほど困ってはいないので。それでは」


 やけに丁寧な口調になってしまったが、まあいい。


 不審者に構ってるほど暇じゃ・・・・・・あれ、結構暇だ。


「話ぐらい聞いてもいいんじゃないのか!?」


「だが断る。ではサラバダー!」


 某世紀末の人のごとく飛び去ろうとしたが、謎の黒マントが右足にしがみついてきた。


「ちょっ、何だしお前! 粘着質は嫌われるよマジで!」


「お願いだから無視しないで! さっきのはちょっとしたお茶目ポイントだったんだ!」


 いきなり人の目の前に飛んでくる事のどこがお茶目ポイントなんだ。


「ええいHA☆NA☆SE! しまいにゃ蹴り飛ばすぞゴルァ!」


「それだけは勘弁してください!」


 ものすごく必死な不審者A。


 凄く関わりたくないが、この先船を出してくれる人がいるかどうかも分からない。


 ・・・・・・くっ。ものすごく不服だが、しょうがない。話ぐらいは聞いてやろう。


「分かったからその腕を離せ! 動きづらいじゃねえか!」


 そう言うとようやく手を離した不審者。


「・・・・・・で? 話って何でござんしょ?」


「よくぞ聞いてくれました!」


 俺が質問すると、突然元気になる不審者。


「我ら――――――」


 シュバッと、突然不審者の隣に誰かが現れ、謎のポーズを決める。


「『クロック海賊団』が――――――」


 現れた誰かの反対側に再び誰かが現れ、不審者を挟む。


「――――――あなたのお悩み、解決してしんぜよう!」


 そして最後に不審者が中央でポーズをとり、その背後で謎の爆発。


 その爆発は本当に起きたのかと見紛うほどにリアルだ。


「げほっ! げっほげっほ、うぇっほ!」


「ちょっ、火薬多すぎ! こっちまで被害きてるから!」


 ――――――そんな不審者たちの言葉を聞く限り、どうやら本当に爆発させやがったらしい。誰だそんな事したやつ。


「・・・・・・ごめん、俺アホな奴に付き合ってる暇ないんだわ。じゃあねー」


 そう言って立ち去ろうとすると、


「ごめんなさい! 真面目にするから許して!」


 不審者Aが飛びつき、残りの二人が飛びつき・・・・・・ええいうっとうしい!


「離さないと次はマジで蹴り飛ばすぞあんたら」


「「「それだけは勘弁してください!」」」


 一体何なんだ、コイツらは。


 軽く眩暈がしたような気がした。























「船を出してくれるってか? そりゃ有難いな」


「そうだろうそうだろう! もっと私をほめてくれたまえ! ハッハッハ!」


「よっしゃ。そうと決まれば善は急げだ。早速船を出してくれ」


「・・・・・・え、無視? 無視ですか? それはちょっと酷くないですか?」
























 青い空、白い雲。そして飛び交うカモメらしき生物。


 見渡す限りの青い大海原に、息を吸えば潮の匂いが広がる。


 はい、そうです。現在俺は広い海のど真ん中におります。


「どうだ私の船は? 中々快適だろう?」


 そう言って微笑む不審者A・・・・・・もとい、『クロック海賊団』団長。


 ちなみに海賊と聞いてまず最初にめっちゃ横暴な奴らかと思ったが、実はそうでもなかった。


 普通海賊と聞くと財宝を奪ったり団員が乱暴な筋肉だるまだったり腕が伸びたりする人達が思い浮かぶだろう。え?最後のおかしいって?気にしない気にしない。


 が、彼らはそんな事はしないそうだ。


 確かに財宝を探したりはするそうだが、それを貧しい人達に分け与えていたりするらしい。確かこういうのを義賊と言うんだったか。


「で、その魔物が出るのはどこら辺なんだ?」


 団長がそう問いかけてくる。


 俺はポケットから地図を取り出し、


「ここら辺で目撃されたって情報があるんだ」


 赤い×印がつけられた場所を指差す。


「ここか・・・・・・。ここは最近潮の流れが強かったりやたらと海草が流れてきたりと異常な事が多かったんだ。魔物の影響かもしれないな」

  

 団長はそう言って頷いた後、どこかへ歩き去ってしまった。


「さってと・・・・・・。はたしてどんな奴が出るのかね」


 俺がそう呟いて少したった後、


「カグラ君! そろそろ目的のポイントだそうだ!」


 団長の声が後ろから聞こえた。


「あいよー! じゃ船を止めてくれ!」


「わかった! 後は君に任せるぞ!」


 会話を少し交わした後、銀を刀に変化させ、居合いの構えをとる。


「・・・・・・ふぅ・・・・・・」


 息をついた後目を閉じ、神経を集中させる。


 少し前まで聞こえていたカモメの鳴き声、海のざわめく音が聞こえなくなり、辺りが静寂に包まれる。


 そして、景色の色がなくなり、白と黒に変わる。


 もう少しいけるか・・・・・・?


 さらに集中する。ただし、身体は楽に。力を限界まで抜く。


 とある人物に聞いた話だが、居合いは力を抜けば抜くほど威力が増すらしい。


 無音の白黒の空間。


 そして、その空間に巨大な異物が現れた。


 姿は分からないが、気配で分かる。恐らく魔物だろう。


 その魔物は現れてからしばらく動きを止めた後、俺に向かって八本の足を突き刺そうと勢いよく伸ばしてきた。


 もし貫かれれば即死だろう。


 だが、恐怖はない。


 限界まで力を抜き、集中――――――!


 やがて、伸びてくる足がスローモーションになった。


 俺の身体が貫かれるまで後数メートル、数十センチ、数センチ――――――!


「――――――ふっ!」


 カッと目を見開き、限界まで集中し力を抜いた身体に、一気に力を入れて刀を振り抜く。


 目の前には真っ白な巨大な足が迫っていたが、それが俺の身体に突き刺さる事はなく。


 突き刺さる直前で無数の切り傷が八本の足全てに走り、瞬間、それら全てが弾けた。


 八本の足はボトボトとあたりに落ち、イカのような魔物が悲鳴らしきものを上げる。


 そして何も出来なくなったイカの顔の目の前まで一気に跳び、


「チェック――――――」


 刀を縦に振りかぶり、


「――――――メイトぉ!」


 それを一気に振り下ろす!


 イカのような魔物に縦に一直線の線が走り、やがて真っ二つに身体が裂け、水中へ音を立てて沈んでいった。


「うおっ、と・・・・・・ととっ」


 イカと一緒に海に落ちる前に空中に魔法で足場を作り、そこに着地。


 後ろから団長とその他の歓喜の声が聞こえる。


 あそこまで派手にやったんだ。もう二度と出てくる事はあるまい。


 魔法で作った足場を蹴って跳び、船へ着地。


「凄いな君は! あんな大きな魔物を倒してしまうとは! 魔物の足が君に突き刺さるんじゃないかと内心ハラハラしていたんだよ」


 船へ戻った直後、団長からそんな言葉。


「すっげー疲れるけどな」


 俺はそれに笑いながら言葉を返す。


「しかし、あの細長い剣にあの構え・・・・・・あれは一体何なんだ?」


「ん? 居合いの事か? 俺じゃ説明出来ないので勘弁してくれ」


 居合いの事を教えてくれた人は色々と言っていたが、かなり昔の事なのでもう覚えていない。


 理論なんて考える前に直感でやってるから、どう説明すればいいかなんて分からんね。


「アレは居合いと言うのか・・・・・・しかし君は凄いな。おかげで漁師や船渡しの人達も仕事出来るようになるだろう」


 めっちゃ感謝されてる気がするが、実際俺はこの先に行きたいから倒したわけで。


「まあ感謝されるんならされるでいいや。それはそれで嬉しいし」


 それより身体が異常に痛い。ものすごく痛い。筋肉痛の痛みを三割増しにしたかのような痛みだ。


 まあ準備運動もなしにいきなりあんな大技ぶちかませばそうなるかね。


 そしてものすごく眠い。これは集中しすぎたせいだろうか。


「悪いけど休めるとこってある? 眠い、身体痛いと結構重症なんだわ」


「ああ、それならこっちに・・・・・・」


 団長に導かれるままに船を歩き、ベッドがたくさんある場所にたどり着いた。


 そのうちの一つを適当に選び、そのままダイブ。


 やけに柔らかいベッドだなあと思いつつ、身体を休めることにした。

 最後の方でちょっぴり主人公無双。といっても相手は一体ですけどね。


 元ネタ・・・・・・は既に説明した気がするので割愛します。


 最近文章がやけに長い気がする・・・・・・大丈夫か私。大丈夫だ問題ない。この小説では使い古されてますね。

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