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第81話~国を見て回る事に~




















 あれから色々と聞き込みをしてみた。


 だが、どれもこれも俺の知っている情報ばかりで、欲しい情報は一つもなかった。


 だが、一つだけ収穫があった。


「『天下一武道会』、だと・・・・・・?」


 そう。


 あのサイヤ人が出た大会と全く同じ名前の大会が、近いうちにここで開催されるらしい。


 さすがにサイヤ人が出るとは思わないが、名前が名前だけにそれに近い存在が出てきそうな気がする。後かませ犬的存在の人とか。


 ちなみにこの情報を教えてくれたのは、あの甲冑たちだ。


 別れ際、近々大きな大会があると言われて軽く調べてみると、この『天下一武道会』だったのだ。


 別にこの旅は急ぐようなものではない。と思う。


 探している以外特に行動を起こしているような情報はないし、近いうちに起こすといったものもない。


 なら、これくらいの寄り道はしても大丈夫だよな?


 ・・・・・・いや、別に出てみたいとかじゃなくてだな?ただ暇潰しになればなーとか思ったから出るんだからな?


 戦うために出たいとか、そんな戦闘狂みたいな考えじゃないからな?な?


『えっと・・・・・・誰に話しているんですか?主』


「・・・・・・はっ!あれ、俺何か言ってたか?」


 あれ、何か『天下一武道会』という言葉を見てからの記憶が曖昧だ。まさか・・・・・・若年性健忘症・・・・・・!?いや、それはないか。


「とりあえず、これには出てみようと思うんだ」


 そう言って、銀に『天下一武道会』の案内が書かれている紙切れを見せる。


『これは・・・・・・何か、サイヤ人が出てきそうな名前ですね』


「なんだ、お前もそう思うのか。流石に世界の壁を越えて来るとは思わないけど、何となく心配なんだよね。これに近い存在が出てきそうな・・・・・・そんな感じ」


『いや、さすがに出てくるのはありえないですって。気のせいじゃないですか?』


「んー・・・・・・まあ、そんなもんか。大会はもう少し後で開催されるみたいだし、まずはこの国を見て回ろうぜ」


『そうですね。何か面白い発見があるかも知れませんし、〈後継者〉についての情報も何かあるかもですし』


 ああ、そういやそんなのもあったっけ。完全に忘れてた。


「あ、おっちゃん。その串焼き一本」


「あいよ!銅貨17枚ね!」


 とりあえず近くからいい匂いがしたので、それの元を購入。焼きたての牛肉のようなものが刺さった串にかぶりつく。・・・・・・うん、うまい。というかまんま牛肉の味だこれ。


 いい感じに塩胡椒がきいてるし、焼き加減も絶妙だ。思わず○王が降臨しそうになったが堪えた。


「よし。小腹も満たされたし、行動再開と行きますか・・・・・・」


 肉を全て食べ、残った串を掌に呼び出した炎で燃やし、炭となったそれを近くのゴミ箱らしきものへ、


「そおいっ!」


 勢いよく振りかぶって投降。放たれた串は、突き刺さるようにしてゴミ箱の中へ。ナイス俺。


 何となく気分が良くなったので、もう一本購入。食べつくした串を今度は燃やさず、


「左手は添えるだけ・・・・・・」


 ゴミ箱に背を向けて串を投降。くるくると回りながら山なりに放たれた串は、吸い込まれるようにゴミ箱の中へ。・・・・・・おお。すげえ。


 それを見ていた周りの人達から拍手をされた。いや、恥ずかしいからやめて・・・・・・。


 拍手に適当に答えつつ、逃げるようにしてその場を後にした。























「・・・・・・お?」


 そうしてしばらく歩いていると、ある一軒の武器屋が目に止まった。


 見た目は見るからに古臭く、触っただけで崩れ落ちそうな程ボロボロだ。


 だが、その武器屋の中からは物凄い巨大なオーラのようなものが見える。


 あのオーラみたいなの何だろ。すっげえ気になる。


「・・・・・・思い立ったら即行動。というわけでお邪魔しまーっす」


 迷う事無く決断した俺は、ボロボロの扉を開けて中へと入った。


 武器屋の中は見た目に反し、やけに綺麗だ。ざっと見渡してみたが、埃らしきものが一つもない。


「・・・・・・ほう?こんなオンボロな武器屋にお客様ですかな?珍しい」


 と、突然そんな声が聞こえた。


 声の聞こえた方を見てみれば、杖をついた一人の老人がいた。


 そこは先ほどまで全く人の気配などなかった・・・・・・この老人は、まるで最初からそこにいたかのように、突然現れたのだ。


 ・・・・・・このじいさん、ただ者じゃなさそうだ。


「まあそんな所だな」


 さっきの巨大なオーラは、どうやらこのじいさんから放出されているようだ。


 老いてなお元気に走り回る事が出来そうな・・・・・・そんな感じのオーラ。


 武器を見て回るふりをしつつ、じいさんの方を気づかれないようにチラッと見る。


 じいさんは俺が武器を買いにきたと思っているのであろう。目を閉じ、静かに最初にいた場所に佇んでいた。


 まさかあんた目当てで来たとか言えないしなあ。


「・・・・・・ほう。貴方は随分と珍しい武器を使っているようですな。その形状・・・・・・異国の武器ですかな?」


 ・・・・・・突然なんて事を言い出すんだこのじいさんは。


 俺はただ武器を見ていただけだぞ?それなのに、何故俺の使っている武器の事を言い出す。


「その顔・・・・・・信じられないと言ったような表情ですな。いやなに、私には分かるのです。その人の身のこなしを見ると、どんな武器を使っているのか、どんな戦闘スタイルなのかを。・・・・・・貴方の使っている武器は見た事がない。形状はレイピアに似ていますが、突く事に特化した武器ではない。ごく普通の剣のように扱う事も出来れば、大剣のように重さを利用しての斬撃も出来る・・・・・・なんとも不思議な武器ですな」


 このじいさん、見てもいないのに刀の特徴をすらすらと述べやがった。マジで何者だこの人。


「よろしければその武器、このご老体に見せてはいただけませぬかな?想像で物を言うのと、実物を見るのとでは大分結果が違ったりしますからな。・・・・・・いやなに、それを奪う事などしませんし、出来はしませんぞ」


「・・・・・・銀。『音無』」


 そう俺が呟くと、頭に乗っていた銀が体を光らせながらジャンプ。光が晴れると同時に俺の目の前へ。そうして現れた一本の刀を手に取り、じいさんに見せる。


「・・・・・・ほう。これは素晴らしい・・・・・・。一体どんな鉱石を使って作られているのか見当もつきませんな。いや、もしかするとこの世界には存在しない鉱石ですかな?『音無』と呼ばれましたか。この武器の名前ですかな?」


「まあ一応」


 初めてこの姿を見た時ふと頭に浮かんだ言葉をそのままつけただけだからなあ、この名前は。


「振っても音が鳴らないから『音無』。安直だろ?」


「いいや、そんな事はございませんぞ。名は体をあらわす、と言うではありませんか。その名前はこの武器にはふさわしいと思いますぞ。・・・・・・手にとって見てもよろしいですかな?」


「ん。ほれ。ただし取り扱いに気をつけるように。刃先に触れたら指が真っ二つになるからな」


「ほっほ。それは何とも恐ろしい武器ですなあ」


 そう言ったじいさんに、剣の柄の部分を握らせるようにして渡す。


 じいさんは手に取った刀を観察するような目でしばらく見た後、軽くそれを振ってみる。


「・・・・・・ほう。本当に音が鳴らないとは・・・・・・それにこの重量・・・・・・重すぎず、軽すぎず、しっくりとくる。・・・・・・では、お返ししよう」


 そう言って、俺がした時と同じように、柄を握らせるようにして俺に返してくるじいさん。


「しっかし・・・・・・じいさん何者なんだ?見ただけで使う武器が分かるなんてよ」


 どう見ても普通のじいさんではない事は確定的に明らかである。


「ほっほ。私はただのしがない老人の一人ですぞ。昔そう言った仕事をしていたのです。おかげで今もその観察眼が残ってしまっておるのです」


「ふーん。まあいいや。結局物買わなかったら・・・・・・この場合冷やかしになるのか。冷やかししてすまんかったなじいさん」


「いえいえ。素晴らしい武器を見せてもらいましたし、いい暇つぶしになりました。このような店でよければ、またいらしてくださいな」


「おう。気が向いたらな。じゃあなじいさん」


 そう言って店の入り口である扉を開けて外に出る。


「・・・・・・あれ、俺この店に何しにきたんだっけ。まあいいか」


 そんな疑問が浮かんだが、すぐにどうでも良くなり、引き続きこの国を見て回る事にした。

 このスーパーおじいちゃんの出番はこの先多分ありません。ダシタカッタダケー。



 さて元ネタ解説いきましょうか。


「天下一武道会」


「サイヤ人」


 このキーワードを見ればすぐ分かりましたよね?そうですドラゴンボールです。



「左手は添えるだけ」


 使った場面では特に意味のなかった台詞。イッテミタカッタダケー。元ネタはスラムダンク。






「確定的に明らか」


 こちらは前話でも散々織り込んだブロント語より。


 最近こういった言葉を使う事から、私が影響されやすい性格であることは確定的に明らか。

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