第66話~悪魔退治は俺に任せろー!~
漆黒の玉は、こちらに向かってゆっくりと、しかし確実に迫る。
さてどうしよう。『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』をもう一度作り出すには時間がかかるし、かと言って魔法は効かないし。
右手に伝わる、確かな重み。
そうだ、これを忘れていた。やっぱこれだよね。
「やるぞ、銀」
『了解です主!』
刀を腰だめに構え、居合いの形をとる。
目を閉じ、神経を集中させる。
すると、世界から音が消え、あるのは漆黒に染まった空間。
自分を中心に円形に広がる空間。
その中に、一つの異物が入る。
それは、先ほど放たれた漆黒の玉。
それに向かい、刀を鋭く、素早く振るう。
「――――――せいっ!」
振るわれた刃は見事に命中し、漆黒の玉は煙のように消え去った。
「ケッ、中々やるじゃねえか。さすがは〈後継者〉といったところか」
〈後継者〉?何ぞそれ?
「ん?てめぇはまだ知らないのか・・・・・・まあいい。どうせてめぇはここで殺されるんだしな」
「どうやらお前はよっぽど自信があるらしいな」
「当たり前だ。誰がてめぇみたいな女々しくてひ弱そうな奴に負けるかっての」
女々しい・・・・・・?ひ弱・・・・・・だと?
ブチッ
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ
「おう悪魔さんよ・・・・・・貴様は今、触れてはならぬ逆鱗に触れてしまったようだな」
「あん?何言ってんだてめぇは」
「最近そう言ったフレーズを聞かなかったからな・・・・・・その分、俺の怒りが有頂天だぜ?」
久しぶりに聞いた『女っぽい』に関する単語。どうやらコイツは知らないようだ。
「覚悟しろよこの虫☆野☆郎!」
「けっ!俺はどっちかってーと蝙蝠だっつの!」
悪魔退治は俺に任せろー!バリバリ!
『やめて!』
銀が何か言っているが気にしない。
「ふんっ!」
「うおっと」
常人には見えない速度で悪魔の懐に潜り込み、刀を横薙ぎに振るう。
悪魔はそれをバックステップで回避。
「そらお返しだぁっ!」
「甘い!」
勢いをつけての突進攻撃を半身を反らして回避。通り過ぎようとした足を掴み、
「ほいやっさ!」
「ぐふっ!」
勢いをつけて地面に叩きつける。
悪魔を中心とした小さなクレーターが生まれた。
「立てよ。俺の怒りはこの程度じゃ収まらんぞ?」
「チッ・・・・・・舐めやがって!」
悪魔が立ち上がるまで待って挑発。見事に引っかかる悪魔の図。
「うらうらうらぁっ!」
「ほっはっほいっと」
その鋭い爪を振り回して襲い掛かってくるが、半身をずらしたり刀で弾いたりして回避。
「あらせっと」
「うおっ!?」
足元がお留守だったので足払いをして転ばせ、
「どっせい!」
「ぐおっ!」
無防備な腹へ拳を一撃。悪魔が再び地面にめり込み、またもや小さなクレーターが出来上がる。
「HAHAHAHAHA!先ほどまでの威勢はどうした!?はったりか!?え!?何か言ってみろやゴルァ!」
『主・・・・・・それじゃヤクザと変わらないですよ・・・・・・』
何か言ったか銀?
「貴様の実力はその程度か?温い!温すぎる!ぬるま湯より温い!」
拳に炎を纏わせ、最近よく使っている技を悪魔に向かって放つ。
「『火龍拳』!」
「ぐっふぁっ!!」
さらに大きなクレーターが出来、その中心にいる悪魔は白目を剥いた後、動かなくなった。
「ふっ・・・・・・弱い。弱すぎる。貴様は誰に喧嘩を売ったのか分かっているのか?」
『最初に名前聞いたんですから誰に売ったかは分かっているかと・・・・・・』
雰囲気作りだ。気にするな。
「しっかし、何なのかねコイツらは」
『さあ・・・・・・?主の事を〈後継者〉と呼んでいましたが・・・・・・』
「そこだよ。そこが問題なんだよ。でどういう意味なんだ?――――――白い方」
近くの茂みから気配がしたので、そちらに振り向きつつ言う。
「! ・・・・・・まさか気づいていたとは」
「当たり前だ。気配の隠し方が上手くないな。それじゃすぐにミッション失敗になるぞ?」
今度蛇先生に気配の隠し方を教えてもらうといい。
「いや、それはどうでもいいんだ。〈後継者〉って何なのさ」
「・・・・・・それは、僕の口からは言えない」
「吐け!吐くんだジ○ー!」
『いやそれ別人ですから』
冷静に突っ込むな銀。
「そもそも、僕は今まで〈後継者〉などといった言葉は聞いた事すらないんだ。吐くも何もないよ」
チッ・・・・・・使えん奴め。
「じゃあ、結局何しにきたんだよお前ら」
「――――――迎えに来たのさ」
どこから?
「魔王城から」
WHY?
戦闘描写がみずかしい・・・・・・。もっと細かく描写出来るようにしないと・・・・・・。
それはさておき、さあ元ネタ解説ですよ!
「俺の怒りが有頂天」
元ネタ不明。ただ、有頂天という単語から東方関係かな~と予想。
「虫☆野☆郎」
ご存知の方はご存知戦士魂の犠牲者ことHA☆GA君。あれはちょっとかわいそうだったなぁ・・・・・・。
「悪魔退治は俺に任せろー!バリバリ!」
「やめて!」
「支払いは俺に任せろー!バリバリ!」「やめて!」が元ネタ。というかこれ歌なんですよね。元ネタを知ると若干悲しくなります。
「吐け!吐くんだジョ○!」
「立て!立つんだ○ョー!」が元ネタ。すぐ分かりましたよね?