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【第一章完結!】猫又でーす、異世界にいまーす。  作者: くろこげめろん
第一章 GotoもしくはComefrom

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23 アタシ強いんだから!

「我ガ名は――」

「『フレイムスピア』! 『フレアウェーブ』! ついでに銃撃うりゃあああ!」


 アタシはなぜか暗いところに閉じ込められていた。とりあえず、目の前にいる魔人へ攻撃を仕掛けることにする。


 目の前にいる魔人がそれを魔法でさっさと防ぎ、呆れたようにため息をついた。……ムカつく。

 魔人は、体が薄い金色の金属みたいなものでおおわれていて、まるでゴーレムみたいだ。見た目の割には滑らかに関節も動いているけど。


「人間ハまともに話を聞くコトモできナイのか? 哀レだな」

「ふん、いきなりこんなところに閉じ込めたくせに、どの口が言うのよ」


 挑発には乗らず、いったん距離を取ったままで、話を聞いてやることにする。


「で、何が言いたいの?」

「我ハ魔王軍『プロミネンス・オペラ』の一員デ、『鋼鉄の翼(グロースシュタール)』の二つ名ヲ授カリシ者。アシュア・ペテルブルグ!」


 結局名を名乗りたかっただけみたい。

 アタシはたいして必要性を感じないし、ルミネアでも名乗りが大事なんて教わった覚えはないけれど……魔人の流儀なのかな。


「自己紹介どうも。アタシはアイ、これでも勇者なんだから」


 アシュアはそれに対して反応を見せない。情報を前もって得ていたのだろう。


 アタシが名乗ってやると、アシュアはようやく武器を構えた。手を宙にかざすだけでそこから巨大な黒いハンマーが現れる。


 見た感じ黒雲母かな、ハンマーにするなら鋼の方がいい気がするけど……まあ魔法で強化されてるんだろう。

 仕組みは知らないけど、あんな感じで武器をしまっておける魔道具があるって習った気がする。


「サッサと終ワラセテやる」

「どっちが終わるかね」


 ハンマーを横薙ぎで振るアシュア。

 アタシは全力の風魔法でそれを遮り、間髪入れずに『フレイムスピア』と銃弾をお見舞いする。


 ただ、それらの攻撃も簡単に防がれてしまった。すぐ追撃を仕掛けてくるアシュアから逃れようとし――


「『インステッド・オファーズ』」

「がっ!?」


 強い衝撃を感じ、横へ吹き飛ばされた。

 なんでだ、ハンマーの当たる範囲からは明らかに離れていたはずなのに。


 アップヒルは「僕ってコピーした魔法ならすぐ分析してタネが分かるんだよー」なんて言ってたし、本当にコピー能力はうらやましい。と、ない物ねだりをしても仕方ないね。


「何その魔法。冥途の土産に教えてくれない?」

「我らハ油断をしない。敵に塩ヲ送ル馬鹿がドコにいる」


 教えてくれないみたい。残念ね。


 そうやって回避している間にも、アシュアは『インステッド・オファーズ』とやらで次々と攻撃を仕掛けてくる。


 上下左右にぼかぼかと吹っ飛ばされまくり、なんか格ゲーの即死コンボにはまったみたいだ。


「『ザ・インパルス』!」


 流石に痛かったので一回の攻撃をすり抜ける。攻撃を避けた瞬間、白い何かが視界に映った。

 ……なるほどね。


「腕を出現させる魔法かな、アンタのは?」

「サア、どうだかナ」


 動揺も一切見せないアシュア。これなら違うのかな、って思うかもしれないけど、さっき見えたのは確実に手だった。それが個別にハンマーを握って、攻撃してきたのだ。


 ハンマーで殴られるのは痛いっちゃ痛いけど、勇者としての訓練で多少は強くなっているからね。


 日本にいた頃よりは、痛みで動けなくなるようなこともない。そう思えばアタシって成長したねー。


「まだマダ行クぞ、『インステッド・オファーズ』!」

「『フレイムスピア』!」


 攻撃を仕掛けられるその瞬間、勘で右側に炎の槍を放つ。


 空中に浮かんでいた腕がハンマーを振ろうとしていたが、槍に貫かれ地へ落ちた。……本体とは違って、アタシやユーくんみたいな人間と同じような手だ。


 ただ、血が通ってないみたいに真っ白だけど。


「っつ……!」


 アシュアの右腕からも多少の血が流れる。どうやら『インステッド・オファーズ』で出現する腕は、使用者のものとリンクしているみたいだ。


 素手の負傷の具合を見るに、いくらかダメージが少ないけど。


「タネは見破った。どう? 来る?」

「フン、マアいい。こちらハコノ体だ、攻撃は通用しナイ。ならばソノまま行ケバいいだけノこと」


 魔法を使わずに直接戦闘を仕掛けてくるらしい。それなら、アタシも応じるまで!


「さあ『エクスプロージョン』! 吹っ飛べ!」


 アップヒルの大好きな魔法『エクスプロージョン』。十八番をパクるのはちょっと気が引けるけど、今は『フレイムスピア』よりこれの方がいいと思った。

 どうせ見てないしいいよね。


 アシュアは飛ばされはしたものの、くるりと宙で態勢を整えてすぐにハンマーを振るう。


「『スパークフィールド』!」


 アタシを起点として数メートル円状に電気が飛ぶ。

 敵もまひさせられるから強力な魔法だけど、アタシ自身もちょっと痺れる。

 痛みとはまた違った感触で、これに関してはまだ慣れない。


「『インヘイル』!」

「っ……『エクスプロージョン』っ!」


 敵の魔法で魔力が奪われ、電気が溶けて消える。

 続いて放った『エクスプロージョン』もやや威力が足りない。


「『インヘイル』を喰ラッテも魔法ガ撃てるカ……勇者なダケはアルヨウだナ」


 真上からハンマーが振り下ろされた。微弱な結界を使って何とか防ぐが……これはキツイ……。

 結界にひびが入る。

 まずい、逃げられない――そうだっ!


「『ウィンドドリル』! 叩き割れぇえええええええええええええ!」


 全力を注ぎこんだドリルがハンマーに対抗する。そして……


「バカなッ!?」


 ハンマーが真っ二つに砕けた。


「貴様……『インヘイル』を喰ラッテなお……!?」

「ううん、劈開よ。雲母や方解石のような鉱物は、特定の方向から衝撃をくわえられると簡単に割れる……力が出なかったからそれを利用させてもらったの」


 言葉を区切ると同時に、回復した魔力でフルパワーの『フレイムスピア』をぶっ放す。


 油断していたアシュアの体を、いともたやすく槍は貫いた。


「く、そォ……ガハッ……」


 腹に風穴の開いたアシュアが力を失って倒れるのと同時に、暗い空間がガラスのように崩壊し、もといた戦場に戻ってきた。

 同じように訛りの入った言葉を話すメアヴェノとアシュアですが、メアヴェノは『りんゴガうマい』みたいに規則無く、アシュアは『シカタがナイ』みたいな感じで、単語か文節か知りませんが、一区切りをまとめてカタカナにするように努力してるつもりです。

 それと、劈開やらなんやらの話については、なにぶん作者が無知なのでおかしいところもあると思います。メッセージや感想などでしらせてくれるとありがたいです。

 あと次の話は『ラリルくんVS敵』と『雄太郎VS敵』のふたつを搭載する予定ですので、少し長めです。お楽しみに~。

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