表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章完結!】猫又でーす、異世界にいまーす。  作者: くろこげめろん
第一章 GotoもしくはComefrom

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/68

16 勇者様

「……」

「おっ、心当たりがあるみたいだね。同郷かな?」


 僕が頷くと、予想が当たったラリルくんは嬉しそうに微笑んだ。


「宇宙人の勇者はこれまでの歴史でもたびたび登場する。それぞれは破格の能力と知能を持っていることが多いけど、欠点としてこの世界の事をほぼ知らない……だから、情報操作だってしやすい」


 真剣な表情に戻るラリルくん。ちょっと嫌な予感が背筋を伝い、それはまさに次の言葉で的中することになる。


「宇宙人はふたりとも、ルミネアにて保護された。きみと戦闘になる可能性は非常に高い。昼くんを宿敵と思っているルミネアの上層部のデータを見てみたけど、そういう教育を行っているみたいだ」

「っ……!」


 日本人の勇者様と、僕が敵対関係にねえ……。やだなあ。


 日本人じゃない勇者もふたりいるらしいし、その人たちを残して今のうちに日本人たちを叩くべきか。

 そう思っていると顔に出ていたのか、ラリルくんが制止してくる。


「ああ、間違っても、こちらから勇者に攻撃を仕掛けちゃいけないよ。勇者は大事だから、いくらルミネアが嫌われ者国家でも、世界中の国が昼くんと敵対せざるを得なくなってしまう。やるなら、じっと待ち構えて襲い掛かってきたところを反撃するんだ」

「むむ……」


 相手はいつでも仕掛けられるのに、こちらは仕掛けられない……ぐぬぬ、もどかしい。


 それを察してか、ラリルくんは勇者に関する情報をいくらかくれた。


「勇者は強いからね、対策ぐらいしておいた方がいいだろうし」


 ひとりめ、橋掛雄太郎(はしがけゆうたろう)。三十代の男で、武器は剣二本の二刀流。

 魔法は『インペリアル・コート』。相手にダメージを与えた際、罪の重さに応じてかなりの倍率で攻撃力が上がる。


 ふたりめは、(こがらし)アイ。十代後半の女で、武器は二丁の銃だ。

 アイの固有魔法『ザ・インパルス』、発動すると短時間だけ、攻撃が一切当たらないかわりに攻撃できなくなる『スペクテイター状態』になるというもの。


 どれも、かなり厄介そうだ。


「『インペリアル・コート』の方は……昼くんは犯罪を犯した事はあるかな」

「うっ」


 未成年飲酒はよくやってた。最近はやってないから……大丈夫……?


 あとは、騎士団に対する傷害罪というのもカウントされるのだろうか。そうだったらあれは結構重罪だし……。


「はあ、まあいいよ。きみが魔法のことを言いふらしたせいで、あっちにはきみが魔法をコピーできるというところが伝わっているとみていいだろうね。これを教訓にしようね」

「うぐ……」


 肝に銘じておきます。




 しばらく話し込んでいると、ディッパー大臣とギルガメッシュくんが返ってきた。


「おなかすいたでしょ? おねえも、さんどいっち、はい」

「フォフォフォ。ギルガメッシュくんは食いしん坊でしたねぇ」


 ありがと、と礼を述べて、ギルガメッシュくんのお土産を受け取る。魚と野菜のサンドイッチらしい。


「……ふん」


 そらちゃんもサンドイッチを受け取り、少しずつ食べ始めた。お土産を食べてくれたのでギルガメッシュくんは嬉しそうだ。


 僕も食べる。


「おいふぃいね!」

「でしょう。私の甥の妻がぁ、経営しているサンドイッチ屋なんですよぉ」


 ふーん。ディッパー大臣の甥の妻は料理が上手みたい。調理器具とか調味料とかは日本の方が優れているだろうに、日本のサンドイッチにも負けず劣らずのおいしさだ。


 あっという間に全部食べ終わってしまう。


「もうない?」

「うん、ごめん……」


 悲しそうな顔をするギルガメッシュくん。僕が慌てて「大丈夫だって」と言いつつ頭をなでると、そらちゃんは面白くなさそうな表情を浮かべる。


「そらちゃんもよしよし」

「……ん」


 少しだけにして隠そうとしているみたいだけど、背伸びして僕の手に頭を押し付けてるのがバレバレだ。うーん僕の妹はかわいい。すごくかわいい。


 ちょっぴり力を込めてなでてあげると、そらちゃんは目を細めて気持ちよさそうにしている。


「……自分には?」

「あっ!」

「……フォフォフォ、忘れていましたねぇ」


 机に突っ伏したラリルくんであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ