天才女優の妹に将来コネで仕事を貰おうと考えてる姉 そのためにも仕事で手は抜きません
私の名前は倉敷愛華。
芸能界で芸能活動をしている。
今は次の仕事まで時間があるので休憩していた。
「次の仕事まで一時間ほどあるので、ゆっくり休んでください」
「はーい」
この人は私の担当マネージャーをしている。
名前は笹野留美。
彼女のおかげで私の仕事スケジュールを管理してくれている大変頼りになる子である。
「そう言えば、今日って舞華の主演ドラマが始まるっけ?」
「はい、これで今年は二本ドラマに出てますね、たくさんのドラマに出て欲しいという声もありますが勉学と両立させるためにはある程度抑えてますからね」
「学生だからね、勉学を疎かにさせたくないんだろうね、お母さんそういうところちゃんとしてるし」
私には妹がいる。
名前は倉敷舞華。
現在高校生だけどあの子は演技の才能が恐ろしいほど高いのよね。
そのせいでドラマの主演にすぐ決まったりとかするのよね。
「まあ、あの子は素人が見ても才能があるってわかってしまうくらいだからね、おまけに現役高校生だし、今が一番売り出す時って考えもあるけど、皆お母さんを敵に回したくないしね」
「元大女優で現在は事務所の社長ですからね、人脈も深いと言いますし」
「その点私は才能がそんなにないし、いくらか気楽にやれるけどね」
「思ったのですが、愛華さんって妹が自分より有名なのに嫉妬とかしませんよね?」
「しないよ~、むしろ舞華にはどんどん有名になってもらいたいからね~」
「どうしてですか?」
「決まってるじゃない、将来有名になったあの子のコネで仕事を貰うつもりだからよ!!」
ドヤッ!! 決まったわ。
「・・・・・・やっぱり、そこに辿り着くんですね」
「そうよ、あの子が誰もが知っているくらい有名になれば将来私の仕事が減ってもコネで仕事が貰えるじゃない」
そう、妹の演技はまだ若いのに周りの若手など相手にならないほどの恐ろしい才能がある。
だったらこのまま妹が演技の道を進めば必ず有名になる。
妹のように何か一つ飛び抜けた才能がない私は今は仕事を貰えてるけど、いつ仕事がなくなるかわかったものじゃない。
だから将来私は妹のコネを頼るつもりだ。
そのためには妹にどんどん有名になってもらわねば。
「妹や弟に嫉妬する姉や兄っているけど、あの人達はバカだと思うよ、だって飛び抜けた才能を持ったのが家族にいるなら、貶めるよりも利用しない手はないでしょ?」
「毎度毎度、同じ事言いますけど、最低ですね」
「だって、コネがあるなら、使わなきゃ損じゃない」
「舞華さんが聞いたらショックですよ」
「え? もう言ってあるよ」
「言ったんですか!?」
「うん、少しだけ凄いドン引きされてた」
「当たり前じゃないですか!! 姉に将来コネで仕事貰うつもりだからって言われてドン引かない妹がどこにいるんですか!!」
「ちなみにお母さんにも言ったよ」
「社長にも言ってたよ!!」
留美が何かにツッコむがその手は空を切ってたよ。
「全く本当に予想外過ぎますよ、テレビで妹に嫉妬してるんじゃない? って司会者に振られて将来仕事なくなったら妹のコネで仕事貰おうと考えてるとか言った時は心臓止まりそうでしたよ」
「でも、皆爆笑してたし、ネット上でも炎上したけど今じゃ問題なく皆受け入れてるでしょ? 仕事場でも普通に世間話程度になってるし」
「本当に不思議ですよ、最初こそ皆嫌悪感で炎上してたのに、今じゃ愛華だから問題ないだろって言われてますよ」
「でしょー、皆何だかんだ受け入れてくれる優しい人達なんだよ」
「そうですね」
何か留美が半ば諦めてるって感じがしてるけど、気づいたらもう次の仕事の時間が近づいていたよ。
「あ、そろそろ時間じゃない?」
「そう言えばそうでしたね」
「よーし、次の仕事もしっかりやりますかー」
「コネで仕事貰うつもりって言っておきながら、仕事はちゃんとやりますよね」
「だって、ちゃんと仕事頑張ってるってアピールしておかないと、いくらコネでもやってもらえないでしょ? これはいわば将来楽して仕事を得るために今を頑張るのよ!! コネのために仕事の手は抜きませんから!!」
ドヤッ!! また決まった。
そして私は今日も仕事を頑張るのだった。
全ては、将来仕事がなくなった時に天才女優の妹のコネで仕事を手に入れるために。
~留美視点~
愛華さんは将来妹の舞華さんのコネで仕事を貰うと言っていましたが、仕事はちゃんとしているんですよね。
どんな現場に行っても、どれだけダメ出しされても、彼女は嫌な顔をせずに真剣にやるプロそのものなんです。
だから私は前々から思っているのですが。
「これだけ頑張ってれば、コネ必要ないんじゃ?」
どう考えても舞華さんが有名になる頃には愛華さんも有名になっている気がしてならないと私は今日も思うのでした。
読んでいただきありがとうございます。
好評だったら連載を考えている作品です。