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隷属令嬢と最低婚約者と別れたい

「俺は、公爵令嬢アイナと婚約破棄する。」


それは、卒業パーティの喧騒をかき消すほどの大きな声で私に伝えられた。


私が長年辞めたいと思っていたこの婚約。

ついに念願の婚約破棄が宣言されたのであった。


その時、腕についていた忌々しい腕輪が、砕け散りながら腕から外れた。


この腕輪もつけて6年になっていた。

ようやく、この隷属の腕輪から解放されたのだ。


(やったー。これでついに、あの第3王子との関係も切れるわ。)


私は喜びを悟られないようにしながら、この腕輪を付けられた時のことを思い出していた。





/*****/


第3王子の、わがままで振り回されていた前の婚約者が過労で倒れて婚約破棄になったことから、なぜか私に婚約者の役割を押し付けられてきた。


父は申し訳なさそうな顔をしながらも。


「王家の正式な頼みだったので、無下にもできない。ここは家のためにアイナ頼む。」


「でもお父様、私はあのわがままな第3王子は好きではありません。他に候補の令嬢はいらっしゃらないのですか?」


「いや他の令嬢には、この時期が時期のため婚約者が居るのだよ。幸いうちには魔法を極めたいと言って、婚約を全部断っていたアイナしか該当者がいなかったんだ。申し訳ない。」


「えっ。でも絶対に嫌です。」


「分かった。ではこうしよう。この隷属の腕輪を付けてくれ。」


「お父様、止めてください。燃やしますよ。」


「あー。待て待て、話だけでも聞いてくれ。この隷属の腕輪は奴隷につけるものだが、これを王立学院を卒業するまでの6年つけてくれるだけでいい。その際、婚約破棄などを向こうからしてくれれば、外れるように細工もしておく。その腕輪が外れたら、公爵家の事など気にせず。どこへでも魔法の研究に行っていいから。頼む。」


「本当に研究に行っていいの?」


「ああ、6年だけ我慢してくれ。あの王子の事だ。絶対浮気する。過労で倒れた原因もココだけの話。浮気が関係している。」


「お父様、そんな国の機密事項、一令嬢の私に伝えても良かったのでしょうか?」


「あー大丈夫。隷属の腕輪をつけていたら、余計なことは言えないから。それより、この婚約破棄が上手くいけば、わが家は王家に貸ができる。頼んだよ。アイナ。」



/*****/


それから腕輪をつけた私は王子の婚約者として、当然のふるまいをしながら学院で生活を送っていた。


ところが、あのわがまま王子は事あるごとに、生徒会の仕事を私に全部ぶん投げたり、人が生徒会の仕事で忙しい隙に男爵令嬢と密会をしていたり、他にも細かい悪行を挙げていたらキリがありません。


特にあの男爵令嬢とあった後は分かりやかった。

何せ、あの趣味の悪い令嬢の香水の香りをプンプンさせながら、生徒会室に戻ってくるんですから。


(思い出していると段々腹が立ってきましたの。)


それから6年間、いい思い出なんて一つもただの一つもありませんでした。

このまま何も起こらずに、無事6年勤めあげる予定だったのに、王子ったら最後の最後でやりましたね。


よりにもよって、皆さんの記憶に残る学院の卒業パーティで婚約破棄をするなんて。


しかも裏方で一生懸命、動いていた私を呼び出すなんて、裏のスタッフの生徒が指示担当が居なくて困っていますよ。


でも、それももう関係なくなるの。

だって、隷属の腕輪が婚約破棄によって消えたから。


「俺は、公爵令嬢アイナと婚約破棄する。」


(嬉しい。やっとこの王子から解放されるわ。)


裏の生徒には同情するけど、さっさと逃げるわ。


「アイナは、許せないことをした。私の大切な男爵れ・・・



おい。待てどこに行く。」


「・・・」


「えっ。待ってくださいよぉ。断罪イベント終わってないじゃないですかぁ。」


なんか、王子とピンクな香水の濃い娘が叫んでいたけど。私はもう関係ありません。


扉を抜けて廊下を走るわ。

(令嬢に不和しくない行為って、私はもう自由なの。公爵家も関係ないし、私はもう魔法の研究しか考えたくないわ。)


さっき、隷属の腕輪が取れたおかげか、なんだか体の調子も良い。

肌の張りも戻ったし、髪もなんか艶々になっている。


このまま王都の外まで走るわ。


ドン。



「痛たた。誰?」


「おお。弟の婚約者のアイナさんではないか。」


「げ。第2王子のアンダーソン様。」


「げ、とはどういう意味だい?おや、それにアイナさん今日はなんかいつもよりキレイじゃないか。まだダンスは終わってないんだろ。1曲踊りませんか?」


「踊りたいのも山々なんですが、ちょっと急用がありまして今からちょっと遠出を。」


「何を言ってるんだい。アイナさん。」



だだだ。

複数の足音がする。


「アンダーソン様こんなところにいらっしゃったんですか。今すぐその女をこちらに渡してください。」


(まずい、王子付きの衛兵達だ。)


「その女って、アイナさんをどうして連れて行くんだい?」


「いえ。その。第3王子のマルス様が、今すぐ断罪するから連れてこいと、婚約破棄の続きをするとおっしゃているので。」


「なっ。アイナ。婚約破棄されたのかい?」


「はい。残念ながら、破棄されました。」


「分かった。アイツにはキツイお仕置きが必要だな。」


(王子の笑顔が黒すぎる。このままだとまずいわ。)


「アンダーソン様、私は血を好みません。寛大なご処置をお願いします。」


「アイナさんは優しすぎるな。そこがいい所なんだが。うーん。俺の一存では決めかねるが、よし王位継承権の放棄ぐらいにはなるだろうな。まあ弟の処分など、どうとでもなる。」





「それよりアイナさん結婚しないか?」


「えっ。アンダーソン様の婚約者さんは。」


「あー、昨日に同盟国の王子に奪われたよ。」


「えー。・・・」


(なんか流れがおかしくない。私は魔法の研究に行きたいのに。

それにアンダーソン様って美しいけど、微妙に好みとは違うの。)


「まあ僕は今婚約者は居ないから、浮気にはならないよ。

それに君にも婚約者は居ない。

まあ今、OKするか。

あとになって、婚約の打診が来てからOKするか。

その差なだけだよ。

あー逃げてもダメだよ。

僕からは逃げられないから。」


「・・・失礼します。今は色々ありすぎて・・・もう少し考えさせてください。」


たたた、


「あっ。まて逃がすなー」


「待ちたまえ。衛兵諸君。

私の婚約者に触れるな。

それに、捕まえるならマルスだ。

あと件の男爵令嬢も妖しいので身柄を押さえておけ。」


アンダーソン様が衛兵を止めてくれている。

良いところあるわね。


ようやく王城から外に出て城門まで近づくと、

宰相の息子や

騎士団長の息子など

色々な人が待ち構えていた。


そして、口々に「結婚してくれ」と言われた。


(何なのこれ?もしかしてモテ期到来なのかしら?)



早く王都から抜け出したいのに、私はいつになったら魔法の研究ができるの?


私は王都を抜け出すために、夜道をひたすら走っていた。





Side マルス第3王子


あの後、兄上がやって来て。

「王から後で申し渡されるが、廃嫡になるだろ。」


「何故です。俺は男爵令嬢をいじめていた。悪女を裁いていただけです。」


「兄上にも止められる。けんr・・・」


どが。


「痛い。兄上なぜ殴られるですか?」


「アイナさんは、私の婚約者にする。

いくら弟といえども愚弄するのは許さん。

あとそこの女は取り調べる。

その香水確か違法な物のはずだ。

つれていけーーー。」


「待ってー。

なんで。

ゲームにこんなシナリオなんて無かったのに。

嘘。

痛い。

もっと優しくして。」


な。なんだと。廃嫡になりかけているのも、こうなったのも全部アイナのせいだ。

兄上にバレないように刺客を送らないと。

このままではいけない、何としても廃嫡を免れないと。

この行動が、のちにもっと酷いことになるのを、マルス王子はまだ知らない。


(許さないぞーーーーーー。)







アイナは隣の町まで逃げ出したけど、第2王子の放った検問から逃げたり、第3王子の放った刺客をやっつけたり、実家の妹が

「お姉さまだけ、公爵家から出れるなんてずるい」

って言われたりするのは、また別のお話。



/*****/

あとがきのコーナー


ご覧いただきありがとうございます。

京安藤しーぷです。


もしもこの作品が面白い、また違う話が読んでみたい等、思われましたら。


ブクマや評価の★を押していただけると私のモチベーションが上がり更新頻度が上がるかもしれません。


余談のコーナー


今回はなんかどっかで読んだことがある、テンプレ満載な感じにしてみました。



「醜いブタの王子様」

いっぱいのPVありがとうございました。


4ケタになったので王道に立ち返り、王子ざまぁも書いてみたのが本作です。


よろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
[一言] 面白そうな感じのするプロローグ 短編にするには盛り込み過ぎかと
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