少年と三つの武器
ある街に、一人の平凡な少年がいました。
少年は、王国兵士を目指していました。試験は十五歳になった年の冬です。
そんなある日、少年は三つの武器を手に入れました。
敵を斬って倒すための剣。
魔法を練るための杖。
遠くの的を射抜くための弓矢の三つです。
少年は、その三つともを頑張って極めようと決意しました。
武器を手に入れてから二年。少年は、三つとも、それなりに使えるようになりました。
踊るように剣戟を放ち、勉学の努力の末に魔法を扱えるようになり、そこそこの距離の相手を射抜けるようになりました。
十四歳の時でした。
そんな時、少年はあることを知りました。
王国兵士は、剣の試験ではなく、魔術の試験になったと。
また、少年は気づきました。
剣を扱う傭兵は、痺れるほどにかっこいいと。
少年は決意しました。王国兵士、いや、王国魔術師になって、家族の助けになろう、と。
少年は決意しました。あのかっこいい傭兵さんと、肩を並べて戦えるようになろう、と。
しかし、一つだけ、悩みがありました。
ーーこの弓矢はどうしようか、と。
剣は楽しい。悪いことの一切を忘れて、夢中になれる。
杖は楽しい。努力して、勉強した先にある新たな魔術を使えるようになるのは心地いい達成感がある。
では、弓矢は?
弓矢は、極めるのに長い長い年月が必要だと、少年は悟りました。
少年は決意しました。ーーこの弓矢は、ここに置いておこう、と。
少年は断念しました。あの二つを極めるために、一つの武器を減らしました。
しかし、ある日、少年はその弓矢を手に取りました。
それが何年後かは、皆様のご想像にお任せします。