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〜 春風と小悪魔 〜 第三話

 †GATE3 石化の瞳 毒の吐息


 春風に揺られ草原を彩る花達が揺られ踊っている。豪華な馬車に駆け寄る二人の少年の姿があった。

 

 二人は護衛の衛士に声を掛けた。その話を伝えに一人の衛士が豪華な馬車の主に伝え豪華な装飾の馬車が止まると二人がクラウス公爵の下に向った。

「急に停まれとは何事かね?」

 クラウス公爵が怪訝そうな顔をした。

「申し訳ございません。失礼は承知の上で恐れながら進言致します」

 ランスがただならぬ様子で伝えた。

 その様子に疑心を感じながらもクラウス公爵が尋ねた。

「進言とは穏やかではないな。いったいどうしたと言うんだね」

「この先にコカトリスがいるとの情報が入りました。斥候をお出しするようお願い致しに参りました」

 ランスは片膝を地面に着き深々と頭を下げた。

「それは確かな情報かね?どこからの情報なのかね」

 不確かな情報で妄りに護衛を減らし時間を無駄にはできない。

「それは……」

 ランスは口籠ってしまった。

 シオンと鬼妖精の事を話せない。

 そんな様子を見てクラウス公爵が言った。

「お前が嘘や根拠の無い事を言う者ではない事は知っているが、根拠の無い事を聞く訳にはいかんのだよ」

「お父様、ランスの言う通り斥候をお出しになって見てはいかがしら?」

 ティアナが口籠るランスに助け舟を出した。

 予定より早いけど作戦開始かしらと思ったのだ。


 護衛の衛士を減らしその隙をついて鬼妖精が化けた魔物に襲わせシオンが追い払う。

 ティアナはそう思ってい、ティアナが言葉を続ける。

「もし、本当にコカトリスがいたら大変です。最悪、全滅するやもしれません」

 護衛から進言されクラウス公爵も暫らく考えた。確かにコカトリスがいて暴れだせば全滅もあり得るのだ。

 護衛の衛士に魔法の使い手は居る先手を取り倒せればいいが、手傷を負わせて暴れられたり先に気付かれれば、この数の護衛と自分の魔法だけでは確かに厄介な相手だった。


「解った。斥候を出そう」

 クラウス公爵が言うと側に控えていた衛士を呼び二人の斥候を出した。斥候が帰るまではその場で待機である。

 シオンとランスは自分達の乗っていた馬車に戻ると鬼妖精の話を聞く事にした。

「なあ、後に話すて言ってたけど、いったい何を話してくれるんだ?」

 シオンは鬼妖精のに尋ねた。

「コカトリスとやり合う羽目になった時の対策よぉ」

「そんなに厄介なのか?」

「コカトリスてのは鱗はあるけど薄いから剣の刃も通るし知能も低いんだけど、奴の吐くブレスと邪視(Evil Eye)はかなり厄介なの」


 コカトリスは鶏冠のある雄鶏の体に蝙蝠の様な翼、蛇の尾を持ち鱗もある胴体は蛇の様で鳥の脚を持つ

同じ系列に八本足のトカゲ「バジリスク」がいる。コカトリスのブレスは植物を枯れさせ、飛ぶ鳥を落とすし睨まれた者は石になると言われている幻獣。


「ブレス自体は速くないけど範囲は広いの。触れれば植物は枯れ弱い生き物が少しでも吸っちまったら死に至るし人間でも大量のブレスを弱い者が吸い込んだなら即死する事もあるから気をつけないといけないんだよ」

「毒のブレスは風の魔法で逸らすか火の魔法で焼けばいいけど、もし吸い込んだら直ぐに解毒薬か治癒の魔法で解毒しないと駄目なの」

 「一番厄介なのは……邪視。いい? 戦闘になったら絶対に奴と目を合わさまい事、石化するから。奴の石化は魔法で解除できないから目を合わせ睨まれたら最後だからね」

 鬼妖精はシオン達にそう言うと話を続けた。

「アイナとランス、あなた達は戦闘になりそうになったら眠りの魔法で私とシオン以外全員眠らせて、人間て意識があると無意識で気になるもんを見てしまうから。二人も目隠しか盲目の魔法掛けておいてね」

「そんな事したらアイナ達が魔法使える事がばれるですぅ」

 アイナがそう言うと鬼妖精が言った。

「大丈夫! 他の連中は四大系統だから二人の使う四大元素のとは違う。精霊の振動は感じないはずだけど魔力を感じる奴はいるかも知れない、ゆっくりでいいから深く眠らす必要も無いよ。その後はシオンの援護ね。二人はブレスだけに対応して解った?」

「目が見えんですぅのに――ぃ、どうやるですぅ」

 アイナが言と鬼妖精が答えた。

「私が空から鳴き声で指示するよ」

 鬼妖精はその後の事をアイナとランスと打ち合わせた。

「俺はどうすんだ」

「お兄ちゃんはコカトリスと戦うの。でも魔法を使えば簡単だけどお兄ちゃんは、まだ魔力が不安定だから寝てる奴らを起こし兼ねないね。最悪巻き込んじゃう。魔法はもう少し慣れてからにして剣で戦って」

「戦うんだな剣でって……ちょい待てぇ――なんで俺だけ? 俺剣持ってないぞ?」

「その辺で眠った衛士の剣拾えばいいじゃん」

「……そうねて、おい!」

「二人も戦うよ。援護だけだけど。私のゴーレムに勝ったんだから出来るよ……ところであのゴーレムは?」

「あの時にお前のゴーレムと一緒に粉々になった」

「……じゃあ、剣で戦ってね」

「勝ってねぇよ」

「勝てる。お兄ちゃんの動きなら奴の死角に回り込める」

「お前のゴーレムと剣でやり合ったなんて未だに信じらんねぇしあの時は無意識で動いてたからな」

「俺よりお前の方がいいんじゃないか? お前には厄介な奴でもないんだろ?」

 シオンは腑に落ちないので鬼妖精に言った。 

「私なら奴の邪視の射程外から魔法でけり付けるかな? ゴーレム作る暇ないし」

  話を聞いていたランスが不思議に思う点を鬼妖精に尋ねた。

「ゴーレム作るのは時間掛るけど、きみの魔法なら一撃じゃない?」

 「お前が行って倒してこい」

 シオンが言うと鬼妖精がしょんぼり答えた。

「だってぇ――お兄ちゃんに半分取られちゃってるもん」

「わ、悪かったな……」

 申し訳なさそうにシオンが言った。

「いいよ。別に気にしてないから」

 鬼妖精は、ぺろりと舌を出しにんまりと笑みを浮かべた。

「例え、魔力が半減していても私が本気で魔法戦をしたら地面無くなるかも」

 どんな魔法使うつもりなんだろ? と三人は思った。

「俺に魔法使った時はなんで威力押えたんだ」

「押えてないよぉ。あの時、私はお兄ちゃんを限定して“破壊”を付与していたの。けど、不思議な事に私の魔法とお兄ちゃんの不思議な力が交差した時、私の魔法は不思議な力に、たぶん魔法だけど私の魔法が破壊され威力が落ちたの。自分で使っといてそんな事も解らないの?」

 鬼妖精が笑った。

「コカトリスの後ろに回って奴の首を薙ぎ払えば危険が少ないよ。奴の視界は広いけど短いから正面からは絶対に行っちゃ駄目だよ」

 

 斥候に出た二人の衛士は話しながら偵察に向っていた。

「本当に居ると思うか?」

 一人の衛士が疑念を含んで言った。

「さあな、居ないに越した事無いが」

 もう一人の衛士が言うと視界に何かが映し出された。

「何か、居るぞ」

「でかい鶏みたいだな」

「コカトリスだ。本当にいやがった」

「俺は報告に向う。くれぐれも不用意に仕掛けるなよ」

 そう言い残し一人が報告に戻って行った。

 

 鬼妖精のアドバイスが終わり暫らくすると斥候に出ていた内一人が戻ってきたて公爵に報告している。

「おおよそ二・五キール程先にコカトリスを確認しました」

 その報をクラウス公爵は驚きの面持ちで聞いていた。

 ランスの進言に疑念を抱いた。ティアナに促され偵察に斥候を向けたが本心は疑っていた。

 報告を待ち聞いても何故、この先にコカトリスが居る事にランスが気付いたのか理解出来なかったが、事実いたと報告を受けている。

 クラウス公爵に傍に控えた衛士が声を掛けた。

「いかがなされますか。先手を打ちコカトリスを倒しに魔法の使い手を向わせますか?」

「いや、このままやり過ごす。もう一人の斥候の報告を待つ」

 クラウス公爵が言った。

「解りました」

 衛士は後ろに控えた。

 先頭で見張っていた衛士が前方の以上に気付く。

 毒々しい灰色の煙の様なものが見え、辺りの植物が枯れていくのが見えた。

 コカトリスのブレスだった。

 残って様子を窺っていた斥候が近付くコカトリスに気付かれたと思い恐怖の余り矢を放ったのだ。

 矢はコカトリスの翼の皮膜に刺さり激高したコカトリスが暴れこちらに向っている様だ。

 

 周りの衛士達は一気に慌ただしさを増した。

「来たみたい。いいかさっき言った事、忘れないでね」

 鷹の姿に化けた鬼妖精がそう言い残し空に飛び立った。

 それが合図かの様にシオンが馬車から飛び出すしアイナとランスが眠りの魔法を静かに唱え出す。

「眠りを誘う精霊よ我の訴えに答えよ」

 この騒ぎの中、アイナとランスの魔力を感じる者はいなかった。

 魔法の使い手の衛士も詠唱に入っていたので幾人かの魔力が交錯していた為だ。

 周りが眠りの魔法で静けさを取り戻していく中、シオンはコカトリスの位置を鬼妖精から指示を受け、

コカトリスの位置を窺う。

 二人も鬼妖精の指示で動くが戦闘経験のない上に目隠しをしている二人はぎこちない。

 馬車から降りる際、アイナは転んでスカートが捲れお尻丸出しになったが、眠りの魔法で皆眠りに入っていて誰も見ていないので、ホッとしていると誰かに掴まれた。

「いたいですぅ――」

 アイナが言うと脇を抱えて起こしてくれた人物がいた。

「ありがとでぇすぅ? えぇ?」

 聞き慣れた声がする。

「なにやってんだ?」

 シオンの声だった。

  シオンが鬼妖精の指示で飛び出しコカトリスの後ろに回ろうと馬車の陰で次の指示を待っていたところにアイナが転げ落ちてきたのだった。

 勿論、コカトリスの後ろから回り込む手はずなのでシオンは目隠しをしてない。

「み、みみ、見たですぅ?見たですかぁ」

 アイナは飛んだ失態を見られてしまったのだ。

「なんとか言いやがれですぅ。アイナのケツ見えたですかぁ」

「見てねぇよ。今日は水色花柄だったなんてしらねぇ」

 シオンが遠回しに事実を伝えた。

 アイナはコカトリスの事なんて頭の中から吹っ飛んだ。

 シオンに見られた。シオンに見られた。シオンに……と恥かしさで頭は一杯だったが、シオンがアイナに言った。

「そんなの気にしてる場合じゃないぞ」

「そりゃ、気にしますよぅ」

「来るぞ。ブレスだ」

 シオンが叫ぶ様に声を張り上げた。

 アイナが考えている暇は無いと思い直し呪文を唱える。

「流れを司る風の精霊よ流れを変えよ」

 コカトリスのブレスはアイナの魔法で流れを変え天に向かって逸れていった。

 ランスも一行に流れるブレスを流し逸らし焼き払う。

 コカトリスは激高してブレスをと処構わず吐き散らしている。

 

 鮮やかに緑に満ち咲き誇っていた花が見るも無残に枯れていった。


 To Be Continued

最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございました。<(_ _)>


次回をお楽しみに

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