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8 殲滅

 ボロボロの勇者遺体を鎧と剣ごと食べる。

 鱗が白銀染まっていく、そして剣が先端にある触手が生える。キモい


 剣の触手10本が身体からとれて徐々に大きくなっていく。

 おお! 右手に剣を持った俺になったぞ! 色は白銀ではない。


 強さはドラゴンを強奪した時位かな? 散らばって蹂躙して貰おう。



 セドリックに謝らないとな。



 砦に戻るとセドリックが大喜びで両手を広げている。

「素晴らしい! 邪魔者も居なくなり、これで全力で戦える!」

「ごめんね、セドリック」

 パックンチョ。胴体の口で上半身をごっそり喰った。

「なぜだ? ヨルム、裏切るのか!」

 訂正、右手が無くなっているセドリックが横にいた。不意討ちをかわすのか……さすがは幹部。

「俺が勇者になったんだよね」

「なっ!? 報告せねば」

 触手をかわしながらセドリックは霞のように消えていった。


 逃げられたか……次はドラゴンの連中だな。

「それでは魔王軍の兵士諸君、さようなら」

 俺の周囲に風が舞い、竜巻となる。とばされた奴等は落ちて死ぬだろう。


 そのまま空を飛び生命感知で山々を探していく。最初の喰った場所の近くでデカイ反応を多数見つけた。

 ドラゴンの巣かもしれない、魔法やブレスの嵐が飛んで来るが鱗でそれていく。

 こちらの魔法も大して効かないだろうから首に巻き付いてへし折っていく。光線も使わなくていいぐらい弱いな。



 ―――



 分体10の内、5体が迷宮に潜った。残りは都市に降り立って破壊の限りを尽くしていく。後に蛇の悪夢とでも言うべき事件では、都市があったと言われても分からない位の更地になっていた。


 始まりは都市の中央に蛇の化け物が空から降りてきたことから始まる。化け物が一般人が気絶するほどの魔力を放出すると、都市を囲う壁からゴーレムが産み出され、人々は地面にプレスされ、肉塊になっていく。都市全体を覆う魔力にて建物から家具、石、木材、金属、全てが大きな人型にまとまり牙を向く。



 ゴーレムは肉の山を積み上げて散っていく。

 時にゴーレムはモンスターや冒険者を殺し、逆に破壊され、村を潰す。

 都市全てが喰われ、化け物は飛び去り、また次の都市が無くなる。



 迷宮の5体はひたすら最深部へと目指し、モンスターを飲み込んでいく。罠などでは止められない、門番たるボスも剣でひと撫で。

 ダンジョンコアを丸飲みする姿は蛇そのものである。



 ―――



 ドラゴンを殲滅した後、魔王軍の集団を前に黄昏ていた。分体が頑張っているみたいだ、魔力がさらに上がっている。

 信長の野望で7割占領した後の加速度ぐらい、強くなりすぎた感じがする。


「セドリック」

 セドリックと4人が前に出て来る。そこそこ強いみたいだな。

 オーガみたいな奴とカブトムシの甲冑を着ているような虫人、植物のツタの人型、魔導書を持った3つ目。


 オーガと虫が前衛のようだ。しっぽで凪ぎ払うと、虫は小さくバラけて元通りに戻って、オーガはしっぽを殴って止めた。

「くそっ、通らねぇ!」

「対勇者武器を使いなさい!」

 手のひらから広域拡散ブレスを虫に放つ。小さくなろうとブレスに耐えられなければ燃える。オーガは全力で耐えたみたいだ、ナックルを装備している。

 虫は相性悪かったな、燃えて消え去った。

 オーガが殴り、セドリックは剣で切り裂くが鱗で止まる。俺の身体はツタで動けない。触手は3つ目と魔法合戦。

 植物に光線を当てるとツタの拘束も無くなり、オーガに殴り返す。

 殴った瞬間魔力を通す。多分相手の技を真似てみた。俺は魔法の効かない鱗で魔力が通らなかった、通したオーガはどうなるのか。


 殴った腹部が弾ける。触手の魔法をオーガに切り替えて、自身は3つ目に向かう。魔法が体を撫でていく、一番勇者と戦えない魔法主体の3つ目だが、その額の目が赤く光る。3つ目をパックンチョ、何とも無いのは強奪で耐性スキルでもあったのか?


 振り返るとオーガは魔法でミンチと化して、残るは満身創痍のセドリックのみ。

「勇者にも勝てないのに無理に決まってるじゃん」

「かもしれないですが、私と死んだ幹部の全てを使って貴方を殺します!」

 ほう、切り札があるのか。楽しみだ。



 ……ん?



「何故?! 何故反応しないのだ!」


 ……あー、死者の力を活用する能力か。死者の力は強奪されてて使えないよね。


「ごふっ!」

 10本の剣に背後から刺されてセドリックは死んだ。


 お帰り、剣の触手よ。最後は魔王だ。



 ―――



 魔王の屋敷まで進む途中なのだが屋敷側から各属性の魔法攻撃が終わりなく飛んで来ている。鱗で弾くことも出来ない位のエネルギー量が一発に込められていて、それを連発してくるのだから普通勝てないだろ。


 俺が通った後の地面はクレーターだらけ、しかしジリジリと進んで屋敷に入った瞬間屋敷が吹き飛んだ。


 剣の触手を杭として地面に刺さなければ一緒に飛んでったかもしれない。周囲一帯がクレーターで何も無い、俺と魔王だけだ。


 触手が魔法を反らして剣触手で切り払う。

『まさかここまで強くなるとはな、だが残念ながらこれを使えば持たないだろう』

 肉塊の周りを4つの結晶が回り始め、増大する魔力。

「ぐっ! 洒落になんないぞ!」

 威力が倍に増して球数も増えていく。

 回避しても鱗を削っていく弾幕に、5つの尖った結晶が背中を突き破り自動迎撃してくれる。魔王の真似事だがダンジョンコアを喰っておいて良かった。

 結晶を抜けた魔法は剣で対応し、触手は今まで食べた武器に魔力を込めて打ち出していく。魔王の属性結晶のバリアに当たり、限界まで込めた魔力が破壊を産み出す。


 一発で幹部なら死ぬ威力もバリアに防がれバチバチと空気がはぜる。

 半日で武器が尽きた。ダンジョンコアは1つ魔力補充中、触手で殴っているがバリアで触手の方が潰れる。

 剣の扱いが慣れたのか魔法の対処は楽になった。

「割れた!」


 均衡が崩れる一瞬の変化に魔王の余裕も無くなり、世界が震える――




 

普通のゲームならクソゲー確定の魔王。

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