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6 魔王軍

 セドリックと言う魔王幹部にスカウトされた。


「軍に入るのはいいが、人間を滅ぼすのか?」

「ある程度、管理出来るまで減らすことを魔王様はお望みです」


 現在、蛇版のケンタウロスみたいな得体の知れない姿に翼が生えたが、この長い蛇の胴体は飛べるのか?お!魔力を消費して浮かんだ。これ、翼の意味は何だよ!


「それで、何処に行くんだ?」

 セドリックは俺の蛇の背中に乗って指を差す。

「あちらの小競り合いが続いている砦に向かいます」

 あー、ギルドの仕事のやつか。

「人間の町を攻めた方が早くないか?」

「人間は数が凄いですからね、全面戦争にならないように調整しているのですよ。損耗に注意すれば勝てますから。勇者は別として……ですが」


 空を蛇がくねらせて進む。勇者ね……強奪したら魔王殺して王にでもなるか。



 飛行にも慣れた頃、目的地の砦が見えてきた。

 本当に数の差が酷いな、5倍差ぐらいあるぞ。

「あの差で勝てるのか?」

「あれは補充の効くゴブリン共ですから」

「成る程、あれで人間が満足すれば良し、しなければ本隊が出る訳か」

「それでは私は先に砦で説明してきます、軽く人間と戦ってて下さい」

 そう言って下に落ちて、セドリックが豆粒サイズになっていく。流石に頑丈だな。幹部相手はまだ苦戦しそうだ。まだ……ね。

 先が割れている舌で唇を舐めている自分に気付き、化け物の思考に引き摺られていることを再認識する。



 人間の軍陣に向けて火蓋を切る。自分の蛇胴体の前側が4つに割れて口を開く。

 此方に弓矢と魔法が飛んで来るが、ドラゴンの鱗に大したダメージは入らない、無視して始める。

 さて、竜の息吹きの威力確認だ!

 魔力をエネルギーに口から陽炎(かげろう)が揺らめく。口の先にいる人間がいきなり全身から赤い炎を吹き出し倒れていく。


 進む先の人間達がどんどん燃えて、髪焼ける匂いが飛んでいるこちらまで来る。


「うひょー」

 ……火炎放射器を予想していたんだが、直接魔力当てて燃やすのか。火属性付加の魔力咆だな。


 触手を20本出して殺した兵士を胴体の口に放り込んでいく。

 ついでにウインドカッターを周りに撃ち込む。四肢、胴体をバラバラになった元人間の物が大量に大地にばら蒔かれ、鉄の匂いが広がっていく。

「特に強奪した感じが無いな、弱すぎるのか」

 既に戦意喪失して逃げ惑う人間を横目に砦に向かうことにした。後はゴブリン共が片付けるだろう。



 砦には大きさ、見た目もバラバラな種族とセドリックが待っていた。

「素晴らしい力だ!そういえば何と呼べばいいかな?」

 蛇だし元の名前で呼ばれるのもなー。

「ヨルムと呼んでくれ」

  「それではヨルム、魔王様に謁見しに参りましょう!数日後には勇者が戦線投入される予想ですから、それまでに……ね」


 また背中に飛び乗り指を差すセドリック。

 空を飛び、指の方角へと進んでいく。

「どのくらいかかるんだ?」

「この速さなら1日で着きますよ」

「えらく近いな、大丈夫なのか?」

「伝達が早い戦場近くの方がいいのですよ」

 そうか、無線みたいな伝達手段なさそうだし、元の世界とは戦争も違うのか。


 徐々に荒れ地へと変わっていく風景、休憩無しの夜も寝たまま飛行で1日掛かった。近くないよ。


 ごちゃごちゃした家が乱雑に建てられた、その中央に大きな屋敷が存在しており、そこから魔力が感じられる。魔王だろう、魔力が桁違いだ。これは勝てないな、眠ってた本能が目覚める感じでビリビリする。


 屋敷の前で降りる。セドリックが門番と話して門が開かれる。

「さて、行こうか」

 セドリックについて中に入るとホールに階段が無い。

 ジャンプで二階に上がるセドリック。自分も飛行して上がる。



「セドリック参りました」扉の前で声をかけると扉が開かれて中が見える。


 そこには浮遊する肉塊と、それの周りを回っている4色の結晶があった。

「新たなる仲間を連れて参りました、ヨルム」セドリックがこちらを向いて名前を呼ぶ。

「ヨルムと申します」

『うむ、軍でその力、存分に使うとよい』

 頭に魔王の言葉が響く。


 屋敷を出てセドリックに話しかけられて正気に戻る。

「……あれが魔王なのか」

「驚いたみたいですね。我々とは系統が違った御方、その力も計り知れない。この寄せ集めの世界でいくつもの文明が滅びる前からおられるのだ」


 砦に戻りながら考える。

 4つの結晶は各属性、火水風土だろう。魔法主体の生物、その進化の成れ果て。そんな所だろう。


 現状は勝てないな。

 勇者次第で考えを改める必要があるかもしれない。



 砦は無事だった、どうやらにらみ合いの最中の様だ。軍の方角からチカッと光った瞬間、翼の先端が消え去った。

「何だ?!」

 落下速度を落として不時着する。

「勇者は斬撃ですから、仲間の能力ですね」

 連発されると厄介な威力だが、限度はあるはずだ。

「勝てるのか?」

「勇者も人間です。助けられる範囲は限られる」

「勇者以外を攻める……」

「そうです、砦に来ないよう囮は必要ですが」

「俺が時間を稼ぐ適役か」

「その回復力、期待しています」



 期待以上にヤって見せよう。

 再度上昇して触手も出す、全力だ!



エヴァゴジラの熱線、格好良いよね。あれの透明版みたいなイメージです。

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