3 鉱山
アーサー君はこの世界の良心。
派手な左腕をマントで隠してアーサー君と道を戻っていく。
前から4つの光が此方に進んでいるのが生命探知で見える。モンスターは倒したから冒険者じゃなかろうか。
「アーサー君、前から誰かくるよ」
「そうですね。あぁ、馬車で一緒だった人ですよ」
無言君かな?仲間いたんだ。
アーサー君に追い付く前に無言君がアーサー君に話しかけている。喋れたのね。
アーサー君は耳に手を当てて聞こうとしている。声小さいのか。
突然アーサー君が首から血を吹き出し、驚いた顔をしている。
魔法使いの弱点を突くとは俺らを狙ってたな。
タイミング良いね君たち。
「アーサー君!」
ダッシュでアーサー君の心臓へ剣を突き刺して、そのまま無言君まで押してみたが、剣の長さが足りなくて軽症みたいなので。アーサー君を蹴り飛ばして転んだ無言君の首に剣を刺す。
「ファイアボール!」うわっ、魔法撃ちやがった。
魔法使いに剣を投げて魔法を岩に隠れてかわす。
「ウィンドカッター」アーサー君直伝!
逃げてる1人に撃った魔法は背中に当たったみたいだ。最後の1人はツルハシを振り下ろす。剣で受けようとしているが、受けれる武器ではない。頭部に穴が開いて倒れた。
ウィンドカッターでは死んでいないみたいなので実験を行う。
「ファイアボール」
「ぐがっ!」高温のボールを当ててるだけ、燃焼はよっぽど乾燥してないとダメ。
「ウィンドカッター」首に当てると切断できた。一般の斬撃よりは弱いけど遠距離でこの威力なら使える。
いや、強奪していけば威力は気にする必要ないな。
何ということか!アーサー君が暴漢に殺されてしまった!しかし、仇はとったぞ!
お?左腕か疼く。巻いてるマント取って見ると人の手に戻っている!有難いけどなんで?
うーん?倒した奴らのスキルか?変装とか持ってそうだもんな。
金品は奪って……と、さぁ人手を借りに戻りましょ。
新しい空間の報告と、ロックワーム討伐とアーサー君の尊い犠牲を報告してロックワーム回収を依頼しておく。
明日の馬車で町に帰るとしよう。
もしかしたら本登録できるかもしれないし、ロックワームの換金までゆったりするのもいいでしょ。
▽▽▽▽
町に着いたのでギルドに報告に行く。
「クエストの報告にきました」
「ギルドカードをお願いします。はい、鉱山ですね。報告書を受けとります。討伐部位は裏手の窓口に渡して下さい。カードは返却します。一時間後には報酬をお渡しします。」
ギルドの木板と紙を渡す。耳とか入れた臭い袋は裏手の別口ね。
次は服屋だ、左腕無くしてダメにしたからね。
ギルド近くの宿に行く。前に泊まった冒険者用の安い所に3日分払う。
後は飯にするか、鉱山は量多いだけだからな。近くの店へ入る。
「ご注文は?」
「日替わりで」
まともな飯が日替わりだけの店、元の世界のサービスが懐かしい。多分住民エリアの店はもう少しまともだろうけど、品数が増えるぐらいだ。
謎の肉炒めと酸っぱいスープとポロポロのパン、普通の日本人がこの食事食べたら1週間耐えられないだろうな。肉もうす塩で本来の肉って感じだし。
俺が旨い料理を作ってやるとか言いたいけど材料ないもん。塩とハーブだけでどう旨いもん作るんだよ。現代料理知識は材料縛りで封印となりました。
次は武器屋に向かう。流石に拾い物の剣はボロボロだ。これ以上は上がった筋力に耐えられないだろう。現時点でも素手の方が強いからね、汚れるからやらないけど。
「いらっしゃい、どうしたね?」
「武器を買い換えたいんだが」
「ツルハシはないぞ」背中を見て店主が言った。
何処にツルハシ武器にするやつがいるんだよ。
「打撃武器と剣2本が欲しい。重くても問題無い。」腰の剣を渡す。
「ボロボロだな。そこのデカイハンマー持てるか?」
隅に置いてあるハンマーを両手であげる。ギリギリ片手でいけそうだけど、それやったら化け物だな。
「くそ重いな、振り回せるやついるのか?」
「いないな、昔の強化魔法使えるやつの武器だ」
ハンマーの横に立ててある金属の棒を見つけてそちらを持ってみる。
「親父、この棒は何だ?」
「ん?こん棒じゃないか?多分」
適当だな、おい。しかし、六角で重さも十分だ、バットの変わりに使える。ハンマーなんて使いこなせる気がしない。
「打撃はこれにしよう。持ち手に皮巻いてくれないか?」
「おうよ。後の剣は三種類あるぞ。今のと同じランク、上のランクで軽いやつ、上のランクで重くて強度があるやつ」
「重いやつで」
「全部で銀貨50ってとこだな」
「高いな、こん棒だけでいくらだ?」20枚しかないぞ。
「銀貨2枚」
ほぼ剣だけの値段かよ!仕方ないのでこん棒だけ買った。
剣引き取りで安くして貰った。
何だよ、こん棒とツルハシ装備の冒険者って意味分かんない。
あ、アーサー君の報告忘れてた。
受け取りついでに言っとかないとな。
そんな訳でツルハシ背負った冒険者はギルドへ報酬を受け取りに行くのだった。